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2025/07/02

キーワードは事業継続。スカパーJSAT はセキュリティ強化に向け Microsoft 365 E5 への短期移行を実現

スカパーJSAT株式会社 (以下、スカパーJSAT) では、昨年 (2024) の7月に世界的に発生した大規模な EDR (Endpoint Detection and Response)のインシデントなどを体験し、「事業継続」を見据えた新しいセキュリティ対策への移行を検討。万一、APT攻撃などが発生した際に、より確実にリスク コントロールが行えるよう、組織全体の セキュリティマネジメントを徹底できるソリューションを求めていました。

複数のソリューションを検証した結果、Microsoft 365 E5 にセキュリティ環境を統一して、エクスポージャー マネジメントを採用することを選択。メール・EDR・ID 保護を優先して導入を行い、既存のセキュリティ環境からの切り替えをわずか 3 か月で実現しています。

Microsoft Defender for Endpoint や Microsoft Intune、Microsoft Entra ID Protectionなどを活用することで組織内の IT 資産を明確に把握・管理できる体制を整えたスカパーJSAT では、今後さらに Microsoft Security Copilot などを活用して、ログの相関分析などの充実を図っていく予定であるといいます。

SKY Perfect JSAT Corporation

最新の情勢に合わせたセキュリティへ

スカパーJSAT は従来からサイバーセキュリティの徹底に留意し、対策を行ってきました。しかし、セキュリティ対策には終わりがなく、攻撃者は法もモラルも無視して、より悪質な攻撃手段を生み出し続けています。そうした状況の中で、スカパーJSAT では「事業継続」を最優先事項と位置づけ、APT 攻撃などの脅威が発生した際にもリスクを最小限に抑え、確実に組織を守るためのセキュリティ環境の強化が不可欠だと判断しました。

スカパーJSAT でセキュリティ対策を担う経営管理部門 ITセキュリティ統括部阿曽村 一郎 氏は「もっとも大切なことは、セキュリティ インシデントが発生した際にも事業を止めることはできないということ」だと強調します。

「例えば APT攻撃 (Advanced Persistent Threat) を受けた際には、いつ・どこから・どのような攻撃を受けて、ネットワーク内のどこまで侵害されているかということを即時に把握してリアルタイムに対策を行い、リスクを最小限に抑えることが重要になります。そのためには常日頃から、社員が利用する PC などのデバイスの状態からネットワーク環境など一元的に管理する必要があります。私はセキュリティ分野での経験から、『IT 資産の管理体制とセキュリティ対策が不十分な企業』ではインシデントが発生するリスクが高いことを強く認識してきました。IT 資産をきちんと管理していないこと、そして適切なログ収集と攻撃検知の仕組みが整っていないと、いざ攻撃を受けた際にも、どこで何が起きているか把握することができず、被害の範囲を特定できないためにリスクが最大化してしまうのです」

さらに阿曽村 氏はデバイスの管理およびエンドポイントの防御に関して「個別最適化された複数のセキュリティ製品を導入すると、それぞれから個別にアラートが上がってくるため、それらの関連性を把握するのに時間がかかっていました。Microsoft 365 E5 にセキュリティを統一することで、各アラート間の関連性が明確になり、セキュリティ対応の判断速度を高めることができます。また、シンプルな構成となるため、システム全体の管理もしやすくなります。事業継続の観点から見ても、統合されたセキュリティ製品を採用することによって、確実に対応できると考えました」と続けます。

「また、システム面での別の懸念もありました。Windows のアップデートに対し、管理者権限を必要とするエージェント型のセキュリティ製品のアップデートが追い付いているかという問題です。もしもエージェント型の製品と Windows の最新状況に齟齬が生じた場合、組織内の PC すべてにトラブルが発生し、事業継続に支障をきたす恐れがあります。これも私たちが避けるべきインシデントの一つでした。そこで私たちは、セキュリティ対策の統合化とともに、アップデート管理の一元化も重要な課題と位置づけました。継続的な脅威対応と同時に、システム自体の安定性も確保することが、真の意味での事業継続には不可欠だと考えたのです」

こうしてスカパーJSAT では 2024 年 8 月から新しいセキュリティ環境の検討を開始。複数のソリューションを比較検討した結果、選ばれたのが Microsoft 365 E5 に含まれるセキュリティ製品群でした。

阿曽村 一郎 氏, 経営管理部門 ITセキュリティ統括部, スカパーJSAT株式会社

“セキュリティ対策の統合化とともに、アップデート管理の一元化も重要な課題と位置づけました。継続的な脅威対応と同時に、システム自体の安定性も確保することが、真の意味での事業継続には不可欠だと考えたのです。”

阿曽村 一郎 氏, 経営管理部門 ITセキュリティ統括部, スカパーJSAT株式会社

わずか 3 か月の短期移行を実現

一口に「セキュリティ環境を切り替える」と言っても、実際の作業は簡単ではありません。しかし、スカパーJSAT では、物理的な IT インフラを担っていた OA インフラチーム (2024 年度当時) の総力を挙げてプロジェクトを遂行。2024 年 10 月に Microsoft 365 E5 にセキュリティを統一させていく方針を固めると、まずは メールを保護する Defender for Office 365、およびエンドポイントで脅威を検出・応答する Defender for Endpoint、そしてユーザー ID を保護する Entra ID Protection の 3 点を優先して導入することを決定。驚くことに同年 12 月には一部運用を開始し、翌 2025 年 1 月には正式な運用を開始しています。

このスピード感について阿曽村 氏が「現場には無理なお願いをした」と振り返ると、 実際に切り替え作業を担当した経営管理部門 ITセキュリティ統括部 OAインフラチーム 小林 正法 氏は次のように説明します。

「メールを保護するセキュリティ製品を切り替えるに当たっては、ネットワーク環境の設定変更から始まり、メールの送信テストなどの準備を極めて短期間のうちに行いました。また、当社内では 仮想デスクトップである Azure Virtual Desktop と、リッチクライアントである Windows 10 / 11 を混在活用していましたので、そのすべてで Defender for Endpoint が支障なく稼働することも確認する必要がありました。Entra ID はすでに導入済みでしたので、Entra ID Protection の導入と、MDM である Intune でのデバイス管理の徹底は比較的スムーズに完了できたと思います」

杉田 誠雄 氏, 経営管理部門 ITセキュリティ統括部 OAインフラチーム, スカパーJSAT株式会社

“Microsoft 365 E5 にセキュリティを統一することで、いざという時のサポート窓口も一元化できたことは非常に意義深いと思います。複数社のソリューションを混在活用している時には『ここまでは A 社の領域で、ここからは B 社の領域』と問い合わせ先も分断されるので、リアルタイムでのリスク コントロールが難しかったのです。”

杉田 誠雄 氏, 経営管理部門 ITセキュリティ統括部 OAインフラチーム, スカパーJSAT株式会社

強化された検知力。高度なリスク コントロール

こうしてセキュリティ環境が Microsoft 365 E5 に切り替わったことで「脅威に対する検知力が格段に高まった」と話すのは、経営管理部門 ITセキュリティ統括部 OAインフラチーム 杉田 誠雄 氏です。

「1 月から運用を開始して、フィッシングメールなどの脅威に対する検知力が高まったことを実感しています。まだこれから導入する製品も控えていますが、Microsoft 365 E5 にセキュリティを統一することで、いざという時のサポート窓口も一元化できたことは非常に意義深いと思います。複数社のソリューションを混在活用していた時には『ここまでは A 社の領域で、ここからは B 社の領域』と問い合わせ先が分断されるので、リアルタイムでのリスク コントロールが難しいという課題がありました。さらに言えば、当社内のセキュリティ担当者にも、各社の製品に精通することが求められるという負荷もありました。今は、1 つのコンソール画面を確認するだけで全体の状況を把握できます。これは大きな変化です」

スカパーJSAT のセキュリティ対策が進化したのは、技術面だけではありません。Microsoft 365 E5 への統一が本格的に進む 2025 年度がスタートするタイミングで、サイバーセキュリティ統括部と情報システム部、そして内部統制推進部/個人情報保護・情報管理チームが統合された新組織「ITセキュリティ統括部」が誕生したのです。

「私たちはこれまで情報システム部として IT 資産とセキュリティに向き合ってきましたが、今回の組織再編によって対応する業務領域が広がりました。この変革も、Microsoft 365 E5 の機能をフルに活用していくことにつながっていくでしょう」(阿曽村 氏)

「Microsoft 365 E5 には、まだまだ多くのセキュリティ製品が揃っています。私としても、今後さらに多くの製品を追加導入していくことが楽しみでもあります。それに、マイクロソフトの方でも、さまざまな機能追加が行われていくと思います。その点を非常に期待しています」(小林 氏)

小林 正法 氏, 経営管理部門 ITセキュリティ統括部 OAインフラチーム, スカパーJSAT株式会社

“Microsoft 365 E5 には、まだまだ多くのセキュリティ製品が揃っています。私としても、今後さらに多くの製品を追加導入していくことが楽しみでもあります。それに、マイクロソフトの方でも、さまざまな機能追加が行われていくと思います。その点を非常に期待しています。”

小林 正法 氏, 経営管理部門 ITセキュリティ統括部 OAインフラチーム, スカパーJSAT株式会社

SIEM の切り替えと SOC の運用開始へ

こうして、新たな体制を整えたスカパーJSAT ですが、セキュリティ環境刷新のプロジェクトは、まだスタートに立ったばかりだと、阿曽村 氏は言います。

「今後の計画として、一番重要なポイントとなるのが SOC (Security Operation Center) の確立と、すでに稼働している IR (Incident Response) チームの機能強化です。まずは 2025 年度中に外部の IT パートナーに依頼して SOC の運用を開始します。この際に重要な役割を果たす SIEM(Security Information and Event Management)には、現在他社の製品を利用しているのですが、段階を追って Microsoft Sentinel に移行する予定です。また、Microsoft Defender for Cloud Apps も導入することで、攻撃者がどのようなデータを盗んでいったのかを確実に把握して脅威の全容を可視化できる環境へと強化させていく予定です。」

IR チームについては「SOC 運用開始後に、さらに連携強化を図り、対応力を高めていきたい」と阿曽村 氏は言います。その背景には生成 AI である Microsoft Security Copilot への期待が隠されていました。

Security Copilot によるログの相関分析徹底にも期待

「これまでのセキュリティ運用を考えれば、Microsoft 365 E5 で取得できるログだけでは対応できない事態も想定されます。例えば APT 攻撃によって長期間潜伏していたマルウェアなどが動き出した際には、過去のシステム ログと突き合わせて相関分析を行う必要があるでしょう。当社に存在する膨大なログを迅速かつ効率的に分析する際には、疲れを知らない 生成 AI = Security Copilot が大いに役立つのではないかと期待しています。SOC との連携を含め、Security Copilot を活用することで、現在の IRチームの対応力をさらに向上させることができるでしょう。そうした、さまざまな可能性を検証しながら、今後のプロジェクトを進めていきたい。」と阿曽村 氏は言います。

さらに「スカパーJSAT 単体のみならず、グループ全体のセキュリティ レベルを引き上げていくというミッションが残っている」と阿曽村氏は続けます。

「当社のセキュリティは、プロジェクトを通じて確実に強化されていくでしょう。しかし、グループ全体を見れば、まだ課題が残っています。攻撃者は、セキュリティ レベルの低い場所を狙ってきます。グループ会社のセキュリティに盲点があれば、そこを突かれてしまうことになります。そのためにまず私たちの方から、グループ全体に適用するセキュリティ ポリシーをリリースして、各社へのヒアリングを行って対応を固めていきたいと思います。こうした取り組みのすべてが、当社の社員が安心して働ける環境を実現するだけではなく、『スカパー』をご利用いただいているお客様、そして宇宙事業を含めてお取引いただいてる各社様のご安心につながるものと理解しています。その点においても、マイクロソフトが提供する機能の進化向上、ならびにサポートの充実に期待しています」

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