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2025/07/15

肥後銀行が VMware による仮想環境の災害対策に Azure VMware Solution を採用、災害時の切り替えを 2 時間で実現

情報系システムの仮想化にいち早く取り組み、2024 年 3 月には VMware Horizon を利用した第 3 世代のシステムをリリースしている肥後銀行。ここで改めて議論になったのが、情報系システムの災害対策をどう実現するかでした。熊本県はこれまで何度も大地震を経験しており、2016 年にも震度 7 を 2 回観測した熊本地震が発生しているからです。この際には肥後銀行の事務センターも損傷を受けたため、情報系システムの災害対策は喫緊の課題となりました。

メガ クラウドを利用した大規模災害対策サイトの構築を検討した結果、最終的に Azure VMware Solution の採用を決定。その理由は、既にマイクロソフト製品を多用しており、一括購入契約 (Microsoft Enterprise Agreement) も結んでいたため、比較的低コストで災害対策サイトを実現できるからです。また Azure 上の各種サービスや、Microsoft 365 とシームレスに連携できることも評価されました。

事務センター停止を想定した切り替えテストでは、目標にしていた「2 時間以内での切り替え」が可能であることを実証。これに貢献しているのが、切り替え時に本番環境と同様の状態で仮想マシンを立ち上げられることと、行内ネットワークの延伸 (L2 延伸) によってクライアント側の IP アドレス変更を行わずに切り替えを実施できることです。このように「オンプレミスとフラットな位置付けで利用できる」特性を活かし、今後は災害対策以外の領域でも Azure VMware Solution 活用が検討されています。

The Higo Bank Ltd

大地震を数多く経験してきた熊本、情報系の災害対策も重要課題に

1879 年に設立された第百三十五国立銀行を前身とし、1925 年に肥後協同銀行として設立、1928 年に現在の商号となった株式会社 肥後銀行 (以下、肥後銀行)。熊本県熊本市に本店を置き、2025 年に株式会社帝国データバンクが発表した調査結果によれば、主な営業エリアである熊本県で 58% 以上のメインバンク シェアを獲得しています。2015 年 4 月には株式会社鹿児島銀行と共同で株式会社 九州フィナンシャルグループを設立しており、2024 年 4 月に第 4 次グループ中期経営計画をスタート。そのテーマとして「躍進」を掲げ、「地域価値共創グループ」への進化を目指す取り組みを積極的に推進しています。

このように九州で強固な営業基盤を築き、地域経済の発展に大きな貢献を果たしている肥後銀行ですが、IT 領域でも注目すべき特徴があります。それは最先端のテクノロジーを、常にいち早く採用し続けているということです。たとえば Microsoft 365 は、Office 365 としてのサービスが開始されたばかりの 2011 年に導入。Azure も、2014 年に日本国内で東日本リージョンと西日本リージョンが追加されていますが、その翌年には利用を開始しています。

システム インフラの仮想化にも、かなり早い時期から取り組んでいます。当時 FAT 端末で運用したため、製品バージョンの管理コストが増えたことが要因となり、管理コストを削減するために 2001 年には SBC 方式 (Server Based Computing) 技術である Windows ターミナル サービス (リモート デスクトップ サービス) を導入しているのです。

「デスクトップ仮想化の目的は、情報漏洩防止と生産性向上を両立させることです」と語るのは、肥後銀行 IT統括部でデジタル基盤開発グループ長を務める竹下 潤昌 氏。仮想化のために使用しているソフトウェアも時代とともに刷新されており、2024 年 3 月には VMware Horizon (Omnissa Horizon) を採用した第 3 世代のシステムがリリースされていると説明します。

このタイミングで議論されたのが、オンプレミスの仮想環境で運用されている情報系システムの災害対策をどう実現するかでした。熊本県はこれまでも数多くの大地震を経験しており、2016 年にも震度 7 を 2 度観測した熊本地震が発生しています。肥後銀行でも、熊本地震の際には 1985 年に建設された事務センターがかなりの損傷を受けているのです。

「情報系もデータに関しては、テープにバックアップして遠隔地に送るという運用を行ってきましたが、データセンターがダウンすればデータだけあっても復旧させることはできません」と言うのは、肥後銀行 IT統括部 デジタル基盤開発グループで調査役代理を務める冨永 隆之 氏。既に勘定系システムは、2019 年 7 月に新システムの稼働を開始した際に「2 センター体制」となっていたこともあり、改めて情報系システムの災害対策が注目されることになったのだと言います。

藤田 忠士 氏, 執行役員 IT統括部長, 株式会社 肥後銀行

“オンプレミス環境を設置している事務センターは竣工から 40 年が経過しており、先の熊本地震で損傷を受けたこともあり、いつまで利用できるのかわかりません。このような状況でここに機器を増設するのは、合理的ではないと考えています。Azure VMware Solution ならオンプレミスとフラットな位置付けで利用でき、今後はオンプレミス環境と Azure VMware Solution の両環境をバランスよく利用していくことを検討しています”

藤田 忠士 氏, 執行役員 IT統括部長, 株式会社 肥後銀行

Azure VMware Solution の採用で低コストな災害対策サイトの構築が可能に

その検討に向けた取り組みに着手したのは 2024 年 2 月。この頃には前述の第 4 次グループ中期経営計画の策定が進んでおり、その一環として情報系システム災害対策の構想が練られていきました。

「経営会議の中でも、ミッション クリティカルな勘定系の災害対策の話が出た際に、情報系はどうなっているのかという議論になりました」と語るのは、肥後銀行 執行役員でIT統括部長を務める藤田 忠士 氏です。「情報系の一部は既に SaaS へと移行しており、この部分は熊本で災害が発生した場合でも利用を継続できるはずですが、オンプレミスで運用しているシステムには災害対策サイトが必要になると考えました」。

その設置場所としては、当初からメガ クラウドの利用を想定。Azure を含む 3 社のクラウドベンダを選定し、それらの比較検討が進められていきました。

この中で最終的に選ばれたのが Azure です。オンプレミスで VMware 製品による仮想化対応が進んでいたため、Azure 側で Azure VMware Solution を動かし、オンプレミス環境がダウンした場合にはクラウドで、短時間で復旧させることを目指したのです。

災害対策サイトとして Azure を選択した理由を、竹下 氏は次のように説明します。

「以前から Windows Server をはじめとしたマイクロソフト製品を多用しており、Enterprise Agreement 契約も締結していたため、Azure なら比較的低コストで災害対策サイトを実現できます。また Azure ExpressRoute でオンプレミス環境と安全に接続できることや、Azure 上の各種サービスや Microsoft 365 とのシームレスな連携が可能になることも評価しました。現在では Azure OpenAI Service に Azure ExpressRoute 経由にてアクセスしています」。

また、金融業界においてデータの厳格な保護が求められる中、ISO/IEC 27001 や FISC セキュリティ ガイドラインなど Azure の高度なセキュリティ基準に準拠した環境により、セキュイリティやコンプライアンスを高いレベルで確保しながら安全なクラウド管理を実現できる点も選択を後押ししました。

2025 年 1 月には災害対策サイトの構築をスタート。そのわずか 3 か月後には運用を開始しています。システム構成は図に示すとおりです。

平常時は各営業店から事務センター (オンプレミス) ある仮想基盤にアクセスし、Remote Desktop Session Host (RDSH) による仮想デスクトップや、バックエンドの各種仮想サーバーで業務を遂行。その一方で、Azure で稼働するAzure VMware Solution 上にバックアップ用の仮想マシンを配置し、オンプレミスの仮想基盤からデータをコピーしています。災害によって事務センターが停止した場合には Azure VMware Solution 上の仮想マシンを起動させ、各営業店から本店の高性能サーバーで稼働する RDSH を経由して、これらにアクセスします。

竹下 潤昌 氏, IT統括部 デジタル基盤開発グループ長, 株式会社 肥後銀行

“以前から Windows Server をはじめとしたマイクロソフト製品を多用しており、Enterprise Agreement 契約も締結していたため、Azure なら比較的低コストで災害対策サイトを実現できます。また Azure ExpressRoute でオンプレミス環境と安全に接続できることや、Azure 上の各種サービスや Microsoft 365 とのシームレスな連携が可能になることも評価しました。現在では Azure OpenAI Service に Azure ExpressRoute 経由にてアクセスしています”

竹下 潤昌 氏, IT統括部 デジタル基盤開発グループ長, 株式会社 肥後銀行

災害発生時には 2 時間以内での切り替えが可能、今後は災害対策以外での活用も

本番運用の直前には、災害による事務センター停止を想定した切り替えテストも実施しています。これについて冨永 氏は次のように語っています。

「Azure ExpressRoute と VPN サービスを組み合わせることで L2 延伸1しているため、営業店側ではアクセス先の IP アドレスを変更する必要がありません。VPN サービスの中で使用しているスイッチの設定変更だけで、迅速に切り替えを実行できるのです。当初から 2 時間以内での切り替えを目標にしていましたが、切り替えテストでこれが可能であることが実証されました」。

この段階で最初に災害対策の対象となったのは、ターミナル システムを動かしている RDSH サーバーとオフィス系アプリケーション、ファイル サーバーです。これらがダウンすると日常的な業務が止まってしまい、SaaS にもアクセスできなくなるからです。「今後は災害対策の対象システムを段階的に拡大していく計画です」と竹下 氏。Azure VMware Solution はリソースの増強を柔軟に行えるため、このようなことも容易だと指摘します。

##脚注

※1 L 2延伸 (レイヤ 2 延伸):離れた場所にある異なるネットワークどおしを広域回線で統合し、1 つの LAN であるかのように見せる手法のこと。

冨永 隆之 氏, IT統括部 デジタル基盤開発グループ 調査役代理, 株式会社 肥後銀行

“Azure ExpressRoute と VPN サービスを組み合わせることで L2 延伸しているため、営業店側ではアクセス先の IP アドレスを変更する必要がありません。VPN サービスの中で使用しているスイッチの設定変更だけで、迅速に切り替えを実行できるのです。当初から 2 時間以内での切り替えを目標にしていましたが、切り替えテストでこれが可能であることが実証されました”

冨永 隆之 氏, IT統括部 デジタル基盤開発グループ 調査役代理, 株式会社 肥後銀行

さらに、Azure VMware Solution を災害対策以外に活用することも視野に入っています。情報系の新規アプリケーションをリリースする際に、オンプレミスではなく Azure VMware Solution で提供することが考えられているのです。

「オンプレミス環境を設置している事務センターは竣工から 40 年が経過しており、先の熊本地震で損傷を受けたこともあり、いつまで利用できるのかわかりません。このような状況でここに機器を増設するのは、合理的ではないと考えています。Azure VMware Solution ならオンプレミスとフラットな位置付けで利用でき、今後はオンプレミス環境と Azure VMware Solution の両環境をバランスよく利用していくことを検討しています」と藤田 氏は語ります。

Azure VMware Solution 上に新たな仮想環境を構築した結果、オンプレミスだけのシステム構成と比較して自由度が向上したと藤田 氏。リスク管理に対するアプローチの選択肢は大きく拡大し、IT 部門もこれまで以上に動きやすくなったと言います。「このように検討の幅が広がったことも、Azure VMware Solution 導入の大きなメリットだと考えています」。

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