This is the Trace Id: 169c6e5b2b381314685be53806ad1894
2025/07/31

ウィーメックスが Azure 上でクリニック用レセコン一体型クラウドカルテ「Medicom クラウドカルテ」を提供、厚生労働省が掲げる「電子カルテ普及率 100%」へ貢献

厚生労働省が 2022 年より推進している「医療DX令和ビジョン2030」。ここには「2030 年までに電子カルテ普及率 100%」という目標が盛り込まれています。これを実現するには、電子カルテ未導入の医療機関やこれから開業するクリニックでも、手軽に導入および運用できる電子カルテが不可欠。そのためにウィーメックスは、完全クラウド型のクリニック用レセコン一体型クラウドカルテ「Medicom クラウドカルテ」を開発しました。

クラウド基盤には Azure を採用。その理由は、社内の開発エンジニアが .NET や C# での開発に慣れておりスキルセットにマッチしたことと、他のサービスでも Azure を利用しておりそれらとの連携が容易になると考えられたからでした。また Azure には必要な機能が揃っているためセキュリティを担保したサービスの実現が容易なことや、柔軟性や拡張性が高く、プロジェクトの規模や要件の変化にスムーズに対応できる点も評価されています。

Azure のさまざまな機能を活用し、高いセキュリティを担保したサービスとして、直感的に使える画面設計、AI 自動算定機能搭載によるレセプト算定/会計の効率化、確実な医療 DX 対応・サポートという、3 つの特長を備えた電子カルテを実現しています。ユーザー数の増大に対して段階的にスケールし、リソースの柔軟性や拡張性も高いため、プロジェクトの規模や要件の変化にスムーズに対応。さらに強力な認証基盤によりユーザー管理の効率化と運用負荷を軽減し、医療体験を向上させる DX の実現を目指しています。

Wemex Corporation

小規模クリニックでも導入を容易にするため、完全クラウド型電子カルテの開発へ

患者の診療情報を電子データとして管理し編集することで、病院やクリニックの業務効率化、情報共有の促進、過去の検査データと紐付けた診療などを容易にする電子カルテ。この市場を「Medicom」ブランドによって、25 年以上にわたって牽引し続けているのがウィーメックス株式会社 (以下、ウィーメックス) です。電子カルテ以外にも、レセプトコンピュータや薬局経営のサポートなども提供。医療 DX の取り組みに力を入れており、医療 DX の基盤となるオンライン資格確認でも、既に 5 万件以上の医療機関や薬局への導入実績があります。

このウィーメックスが 2025 年 4 月にリリースしたのが、同社初の完全クラウド型クリニック用レセコン※1 一体型クラウドカルテ「Medicom クラウドカルテ」です。同社はこれまでにも、オンプレミス型 (院内据え置き型) の電子カルテや、オンプレミスとクラウドを連携させたハイブリッド型電子カルテを提供してきましたが、これらに加えて「完全クラウド型」の電子カルテの提供も開始しました。

「厚生労働省が 2022 年より推進している『医療DX令和ビジョン2030』には、電子カルテの普及率を 2026 年に 80%、2030 年までに 100% にすることを目指すと記載されていますが、令和 5 年時点のクリニックにおける電子カルテの普及率は 55%※2 に過ぎません」と開発背景を語るのは、ウィーメックス ヘルスケアIT事業部 プロダクトマネジメント部 医科プロダクト課で課長を務める松永 錦弥 氏。2030 年までに残りの 45% にも電子カルテを普及させるには、新たな取り組みが必要だと考えたのだと振り返ります。

(脚注)
※1 レセコン:レセプト コンピュータ。医療機関で診療報酬明細書 (レセプト) を作成するシステムのこと。
※2 出典:厚生労働省 「電子カルテシステム等の普及状況の推移」
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000938782.pdf

「電子カルテの普及は大病院を中心に進んできましたが、普及の伸びしろがあるのは小規模な開業医 (クリニック) です。新規に開業を検討されている若い先生方において、クラウド型サービスを好む傾向がありましたが、近年、紙カルテで運用しているクリニックが電子化を検討するケースにおいても、クラウド型サービスを選択するケースが増えています。当社はこれまで、オンプレミスならではのカスタマイズ性を持ちながら、ロケーション フリー/デバイス フリーといったクラウドの特性も併せ持つ、ハイブリッド型の電子カルテで先生方のニーズに応えてきました。今後短期間で多くのクリニックに電子カルテの普及を促進させるため、シンプルかつ直感的に利用できる UI を兼ね備え、手軽に導入ができる完全クラウド型のラインアップも揃えることにしたのです」。

企画に着手したのは 2022 年 4 月。2023 年 1 月から開発準備を開始し、設計思想やコンセプトの議論を行うと共に、マーケットリサーチも進めていきました。その一環として、30 名を超える開業医へのインタビューと、200 名を超える開業医へのアンケート調査も実施しています。

そのうえで、2023 年 10 月に全社プロジェクトとして、「Medicom クラウドカルテ」の開発プロジェクトをスタート。2024 年 10 月に実証実験も兼ねた先行受注を開始し、300 件以上の製品デモ申し込みを経て、2025 年 4 月 1 日の正式リリースに至りました。

松永 錦弥 氏, ヘルスケアIT事業部 プロダクトマネジメント部 医科プロダクト課 課長, ウィーメックス株式会社

“「Medicom クラウドカルテ」には大きく 3 つの特長があります。1 つめは、直感的に使える画面設計 (ユーザー インターフェイス) と、現場に即した機能搭載により、先生方の業務を大幅に効率化できること。2 つめは AI 自動算定機能を搭載しており、レセプト算定と会計も効率化していること。そして 3 つめ は、確実な医療 DX 対応とその支援を行うための、地域に密着した 150 を超えるサポート拠点があり、導入や日々の運用はもちろんのこと、問題発生の際にも迅速なアフター サービスやメンテナンスを提供できることです”

松永 錦弥 氏, ヘルスケアIT事業部 プロダクトマネジメント部 医科プロダクト課 課長, ウィーメックス株式会社

2 つの理由からクラウド基盤に Azure を採用、手厚いサポートも高く評価

「Medicom クラウドカルテ」のクラウド基盤として選ばれたのが Azure です。その採用理由について、ウィーメックス ヘルスケアIT事業部 プロダクト&サービス開発部でSenior Tech Leadを務める橋本 吉治 氏は、次のように説明します。

「Azure を採用した理由は大きく 2 つあります。1 つは、これまでの電子カルテ開発で C# を中心とした .NET の開発環境を利用しており、既存のスキルセットとマッチすることです。今回のクラウド化ではデスクトップ版の開発エンジニアの大半が投入されることになったため、エンジニアが慣れ親しんだ環境であることが重要でした。もう 1 つは他の既存サービスでも Azure を採用していたことであり、これらとの連携も容易になると考えました」。

システム構成は「ベーシックな Web 3 層のシステムを採用しました」と橋本氏。バックエンドのアプリケーションは Azure App Services 上で動いており、その背後に Azure Cache for Redis や Azure Cosmos DB for PostgreSQL、Azure Blob Storage といったデータストアが稼働していると説明します。

またユーザー認証には Azure Active Directory B2C、各種権限管理には Entra ID、API 管理は Azure API Management を活用。非同期のバックエンド処理にはAzure Functions も使われています。もちろん医療機関向けのサービスなので、セキュリティにも細心の注意が払われています。適切な情報隔離を行うために Azure Virtual Network 構成を工夫するほか、Azure Application Gateway の WAF 機能の利用、Azure Key Vault による各種クレデンシャルの管理、Azure Blob に対するウィルススキャンまで実施。さらに各種ログ分析のために、Azure Application Insights や Azure Monitor、Azure Log Analytics も活用されています。

「Azure は幅広い製品ラインアップを持っており、なにか新しいことを実現したいと考えた際に、必要なツールやサービスがほぼ揃っています」と橋本 氏。たとえば Microsoft Entra ID を活用した強力な認証基盤は、セキュリティ面での信頼性を高めるだけではなく、ユーザー管理の効率化にも大きな貢献を果たしていると語ります。「このような機能が揃っていることで、プロジェクト全体のセキュリティ要件を満たしながら、運用負荷を軽減できました。またリソースの柔軟性や拡張性も高いため、プロジェクトの規模や要件が変化しても、スムーズに対応することが容易です」。

これに加えて、マイクロソフトの手厚いサポートも、高く評価されています。

「技術的な課題や疑問が発生した際に迅速かつ的確なサポートを受けられるのは、プロジェクトを円滑に進めるうえで非常に重要な要素だと感じています。たとえばパフォーマンス チューニングを行った際には、.NET や PostgreSQL の有識者でタスクフォースを組み、アーキテクチャの見直しも含めた対応をしていただきました」 (橋本 氏)。

橋本 吉治 氏, ヘルスケアIT事業部 プロダクト&サービス開発部 Senior Tech Lead, ウィーメックス株式会社

“Azure を採用した理由は大きく 2 つあります。1 つは、これまでの電子カルテ開発で C# を中心とした .NET の開発環境を利用しており、既存のスキルセットとマッチすることです。今回のクラウド化ではデスクトップ版の開発エンジニアの大半が投入されることになったため、エンジニアが慣れ親しんだ環境であることが重要でした。もう 1 つは他の既存サービスでも Azure を採用していたことであり、これらとの連携も容易になると考えました”

橋本 吉治 氏, ヘルスケアIT事業部 プロダクト&サービス開発部 Senior Tech Lead, ウィーメックス株式会社

開業医への事前調査を踏まえ、現場に即した機能と直感的に使える画面を実現

それでは、正式リリースされた 「Medicom クラウドカルテ」には、どのような特長があるのでしょうか。松永氏は次のように語ります。

「『Medicom クラウドカルテ』には大きく 3 つの特長があります。1 つめは、直感的に使える画面設計 (ユーザー インターフェイス) と、現場に即した機能搭載により、先生方の業務を大幅に効率化できること。2 つめ は AI 自動算定機能を搭載しており、レセプト算定と会計も効率化していること。そして 3 つめは、確実な医療 DX 対応とその支援を行うための、地域に密着した 150 を超えるサポート拠点があり、導入や日々の運用はもちろんのこと、問題発生の際にも迅速なアフター サービスやメンテナンスを提供できることです」。

まず 1 つめの画面設計 (ユーザー インターフェイス) は、ウィーメックスがこれまで培ってきた開発力や現場で得た知見をもとに設計されています。また、2023 年 1 ~ 3 月に実施した開業医へのインタビューとアンケート調査の結果が反映されており、先行モニターのクリニックも、特に操作性の高さや画面のわかりやすさについて高く評価しています。画面は 3 つの領域で構成されており、左側は過去の診療内容などの参照情報の表示エリア、中央は紙カルテのイメージをそのまま再現した入力エリア、右側は入力支援ツールの表示エリアとなっています。特に注力したのは右側の入力支援ツールであり、頻用する入力については自動的に学習をしていくことに加え、セット化した入力内容をグルーピングしておくことで、わずかなクリック数でカルテの記載が完了できる工夫が施されています。「入力支援領域においては、近い将来には Azure OpenAI Service の活用も考えています」(松永 氏)。

2 つめの AI 自動算定機能は、ワンボタンで算定可能な診療報酬を表示することが可能です。レセプト機能が電子カルテと一体化されているため、入力時のチェック機能や会計時の算定機能も充実しています。ウィーメックスは日本で初めてレセコンを開発・提供しており 50 年以上の歴史がありますが、そこで蓄積されてきたルールやロジックが活用されています。「なおこのルールやロジックの作成とメンテナンスは社内の専門家が行っていますが、これも将来には自動化できる部分については、生成 AI の活用を考えています。特に当社実績の観点で Azure OpenAI Service の活用を検討しています」(橋本 氏)。

3 つめ の医療 DX 対応とサポート体制も、初めて電子カルテを導入する開業医にとって、大きな安心材料になると言えるでしょう。医療 DX の皮切りとして始まったオンライン資格確認や電子処方箋は、当然ながら、今後の医療 DX 施策への対応も必要となってまいります。しっかりとしたサポートを希望する医療機関向けにはプレミアム プランを、IT リテラシーが高く、医療機関自身で導入運用できるクリニックに対しては、オンラインサポートを中心としたベーシック プランを用意しています。

「この 『Medicom クラウドカルテ』と同時に、Web 予約/問診システム『Medicom 診療支援』の提供も開始しています」と松永 氏。これも Azure 上で開発および運用されており、電子カルテと一緒に導入されるケースが多いと言います。「電子カルテのみならず、医療機関や薬局と患者さんを繋ぐサービスの強化や、医療体験を向上させるためのサービスにも力を入れていきます」。

このような新たな電子カルテサービスによって、電子カルテの普及拡大にどれだけ貢献できるのか。ウィーメックスの挑戦に、これからも目が離せません。

次のステップに進みましょう

Microsoft でイノベーションを促進

カスタム ソリューションについて専門家にご相談ください

ソリューションのカスタマイズをお手伝いし、お客様独自のビジネス目標を達成するためのお役に立ちます。

実績あるソリューションで成果を追求

目標達成に貢献してきた実績豊かな製品とソリューションを、貴社の業績をいっそう追求するためにご活用ください。

Microsoft をフォロー