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2025/07/30

町田市のクラウドシフト。Azure や Microsoft 365 など Microsoft Cloud でデジタル化を加速

町田市では 2021 年に「町田市デジタル化総合戦略」を策定。外部ベンダーや有識者と協業しながら年度ごとにリニューアルを繰り返し、デジタル技術を活用した行政サービスの改革に着手。クラウドシフトや生成 AI 活用など、先進的かつ継続的な DX 施策に取り組んでいる。

パブリック クラウドのひとつに Microsoft 365 と Azure を選択。Windows をデファクト スタンダードと位置づけて、デスクトップ仮想化サービス Azure Virtual Desktop やクラウド サービスの Microsoft 365、Azure OpenAI Service などを導入。業務 DX や市民サービスの向上に役立てている。

業務システムの 100% クラウド化を達成し、リモートワークやオンライン会議などの新しい働き方にも対応。ペーパーレス化を促進するなど、働き方改革が大きく進展。フルクラウド化の成果として、システム構築や運用の手間削減を実現した。生成 AI の活用も進み、3D アバターと生成 AI を組み込んだ市民向け AI ナビゲーター サービスは多くの市民が活用し始めている。

Machida City

毎年バージョンアップを重ねる町田市デジタル化総合戦略

東京都の最南端 (諸島を除く) に位置する町田市は、交通の便に優れ商業施設が充実していながら、自然を感じられる環境も豊富な「住みたい街」として人気の高い自治体です。子育て環境の充実に継続的に力を注いでおり、政令指定都市を除くと年少人口 (0 〜 14 歳) の転入超過は全国トップ 5 の常連です。

同市では、2021 年に「町田市デジタル化総合戦略」を策定。基礎自治体としては全国的にも早い段階から DX 推進に着手するなど、デジタル技術を活用した行政サービスの改革にも積極的に進めてきました。その取り組みは、東京都が主催する「Tokyo 区市町村 DX Award」で表彰されるなど、高い評価を受けています。

町田市デジタル化総合戦略は毎年バージョンアップを重ねており、2024 年度版においては「クラウド サービスへのシフト」「20 の基幹業務システムの標準化」「バーチャル市役所に向けた DX の推進」の三本柱を据えて、先進的かつユニークな取り組みを展開しています。

町田市政策経営部 デジタル戦略室長 (CIO 補佐) の高橋 晃氏によると、業務システムのクラウド化はすでに 100% を達成。基幹業務システムの標準化も一部を除いて順調に進んでいるといいます。そしてバーチャル市役所の実現に向けては、アバターやメタバースといったトレンド技術の活用や、バーチャル市役所ポータル「まちドア」への「AI ナビゲーター」導入などの DX 施策が進められています。

10 年以上前からクラウドシフトを見越した取り組みを継続

ここまで順調に DX が進んでいる理由のひとつとして高橋氏は、10 年以上前から進めてきた、クラウドシフトを想定した取り組みを挙げます。「2012 年に今の庁舎が建てられたタイミングで、業務システムをすべてプライベート クラウドに集約して、データセンターと自前のマシンルームで運用していました」(高橋氏)

実は当時、パブリック クラウドで運用する構想もあったと高橋氏。「技術的には可能だったのですが、2012 年当時はデータセンターが日本に置かれておらず、セキュリティの懸念から実現できませんでした」(高橋氏)

このように早い段階でクラウドでのシステム運用を想定していたために、のちに国から示されたクラウドシフトの方針にもスムーズに対応できたのだろうと分析します。

2010 年代にここまでクラウドの有用性を予見していた自治体はそこまで多くはありませんでした。政府がクラウド ファーストを提唱する今でも、システム移管の手間や運用の複雑さを理由として、クラウドシフトが思うように進められない自治体は少なくありません。

「プライベート クラウドとパブリック クラウドの混在など、中途半端なクラウド化が最もコストも手間もかかってしまいます。クラウド化するのであれば 100% を目指すべきだと思います」(高橋氏)

クラウド化することで、業務量や検討することが増えると考える方が多いといいますが、決してそうではないといいます。オンプレミス、外部のプライベート クラウド、外部のパブリック クラウドを混在すると、工数は増加してしまいます。しかし、パブリック クラウドに一本化できると、作業はシンプルになります。

「オンプレミスのプライベート クラウドは、サーバの性能以上のことができない不自由さがあります。それに対してパブリック クラウドは、足りなくなったら増やせばいいし、使わなくなったら減らせばいい。従量課金のメリットが大きいです」と、クラウド化のメリットを強調します。

DX の現場で陣頭指揮を取る立場の町田市 政策経営部 デジタル戦略室 係長 和田 進吾氏も、高橋氏の説明に頷きます。

「パッチの適用ひとつとっても、以前は業務の制限を調整したり、適用終了を見届けたりといった負荷がかかっていましたが、クラウドならベンダー側で対応してもらえますから、私の業務も相当楽になりました」(和田氏)

さらに町田市では、各システムの特性に最適化されたマルチ ベンダー・マルチ クラウドのシステム構成を採用。コストや手間の削減、柔軟なスケーリングなど、クラウド化のメリットを十二分に享受しています。

「もはやシステムがどこにあるか意識することなく、ブラウザでネットサーフィンをする感覚でクラウド サービスを扱っています」(高橋氏)

高橋 晃 氏, 政策経営部 デジタル戦略室長 (CIO 補佐), 町田市

“プライベート クラウドとパブリック クラウドの混在など、中途半端なクラウド化が最もコストも手間もかかってしまいます。クラウド化するのであれば 100% を目指すべきだと思います”

高橋 晃 氏, 政策経営部 デジタル戦略室長 (CIO 補佐), 町田市

マイクロソフトのクラウド サービスを活用して DX を推進

町田市では前述のとおり、2012 年からプライベート クラウド環境を構築しており、シンクライアント システムとして Windows Virtual Desktop を活用していました。パブリック クラウドへのシステム移管に際しても、後継サービスである Azure Virtual Desktop (以下、AVD) を採用。その理由について高橋氏は「業務システムが Windows ベースなので、実質一択でした」と、Windows をデファクト スタンダードとして捉えた結果だったと語ります。

「AVD ではストレージの容量を簡単に変えられるのもありがたいですね」(和田氏) 

プライベート クラウド時代は容量を増やす場合はハードディスクを積み直さなければならず、調達や設定に半年から 1 年かかっていたのが、今はボタンひとつで容量を増やすことが可能になりました。

また同市では、統合オフィス ツールとしてマイクロソフトのクラウド サービス Microsoft 365 の導入に踏み切りました。和田氏はその理由について説明します。「表計算ソフトやグループウェア、チャットなどがバラバラに導入されており、使い勝手が悪く、管理の手間もかかっていました」(和田氏)

そこで同市では、AVD と同時に Microsoft 365 も導入。あわせて、4000 台の端末も刷新し、これまでのデスクトップ型 から、ノート型 PC に入れ替えを実施しました。部長職以上は Microsoft Surface に入れ替えられました。

Microsoft 365 の導入によりコミュニケーション ツールが統一され、ノート PC の採用と Wi-Fi の整備により機動性も向上し、職員の働き方は大きく変化したといいます。

「クラウド ツールですから、セキュリティ対策も自動で更新されますし、サポート期限を迎えるたびにソフトを入れ替える手間もなくなりました」(和田氏)

ここでもクラウドのメリットを実感しています。

またペーパーレス化も大きく進展しました。会議資料は Microsoft Teams で共有され、議会の答弁でも Surface をタブレット モードで使用するなど、紙の利用シーンが目に見えて減った結果、紙の使用量はノート PC 導入以前より半減。電子決裁の導入や稟議や契約書の電子化などが同時に進められたこともあり、庁内の複合機を半分に減らす見通しが立ちました。

こうした町田市の DX 施策の恩恵は、職員だけでなく市民にも還元されています。和田氏は市民サービス向上の効果を語ります。

「以前は窓口ではインターネットが使いづらい環境でしたが、今は一台の端末で AVD を切り替えることにより、LGWAN 接続系、マイナンバー利用事務系、インターネット系を安全に使えるようになり、窓口でのお問い合わせにもすぐ答えられるようになりました」(和田氏)

和田 進吾 氏, 政策経営部 デジタル戦略室 係長(基盤 DX 担当), 町田市

“以前は窓口ではインターネットが使いづらい環境でしたが、今は一台の端末で AVD を切り替えることにより、LGWAN 接続系、マイナンバー利用事務系、インターネット系を安全に使えるようになり、窓口でのお問い合わせにもすぐ答えられるようになりました”

和田 進吾 氏, 政策経営部 デジタル戦略室 係長(基盤 DX 担当), 町田市

生成 AI の積極的な活用により市民サービスを向上

町田市では生成 AI の活用にも積極的に取り組んでいます。2021 年から AI に関わる調査研究を開始し、2023 年には株式会社NTTデータとのジェネレーティブAIの利活用に係る連携協定を締結しました。そして両者の共創により、ガイドラインを策定したうえで Teams に Azure OpenAI Service (以下、AOAI) の組み込みを実施。全職員が生成 AI を業務で活用できる環境を整備しました。

そして 2024 年 7 月、生成 AI を活用した市民向けサービスとしてバーチャル市役所ポータルサイト「まちドア」に、3D アバターと生成 AI を組み合わせた「AI ナビゲーター」を搭載。これは、チャットで質問すると、市のデジタル サービスや公式ホームページ内に掲載されている関連情報の要約と、情報が掲載されているページのリンクを AI が案内する仕組みです。

まちドアは、2025 年 3 月末時点で約 5 万 4 千回の利用があり、そのうち AI ナビゲーターの利用は約 1 万 5 千回。和田氏によると、AI ナビゲーターの満足度調査では 88% が高評価とのこと。まちドアと AI ナビゲーターを 2025 年 4 月にリニューアルしたことで、利用者はさらに増えると予想しています。「今後は音声によるやり取りにも対応するなど、継続的に機能改善をおこなっていく予定です」(和田氏)

「AI ナビゲーター」の 3D アバターを用いたインターフェイスは親しみやすさの演出にもつながると高橋氏。「敷居が高い印象を与える市役所のサービスを、より身近に感じてもらえると考えています。また、若い世代ではゲームなどのバーチャルな体験から、アバターとコミュニケーションをとることに慣れています。ゆくゆくはこのインターフェイスがひとつの標準になっていくのではないでしょうか」(高橋氏)

2025 年 4 月のリニューアルにより、AI ナビゲーターが市のホームページ情報を案内できるようになり、市民の利便性の大幅な向上が見込まれます。

また、町田市では議事録作成支援にも生成 AI が活用されています。文字起こし AI サービス「AOAI の Whisper モデル」を使用した「議事録サポート AI」は、高い精度で音声を文字に起こすことができ、職員から好評を得ているとのことです。

ここまで生成 AI を迅速に実装できたのは、クラウド サービスである AOAI を採用したからこそ、と高橋氏は言います。「“この機能を使いたい”と決めて、申し込めば、すぐに使えるようになります。このスピード感はクラウドの大きなメリットだと思っています」(高橋氏)

高橋 晃 氏, 政策経営部 デジタル戦略室長 (CIO 補佐), 町田市

“この機能を使いたい”と決めて、申し込めば、すぐに使えるようになります。このスピード感はクラウドの大きなメリットだと思っています”

高橋 晃 氏, 政策経営部 デジタル戦略室長 (CIO 補佐), 町田市

DX を加速するオープン イノベーション

町田市の DX 推進には、外部とのコラボレーションが欠かせません。

前述の株式会社NTTデータとの連携協定や日本マイクロソフトからのバックアップなど、外部ベンダーとの密接なコミュニケーションにより、クラウドシフトや生成 AI 実装がスムーズに進んでいると和田氏。「アイデアを相談すると、“こんなやり方がありますよ”とすぐに提案してくれます。エンジニアとして面白がってくれている面もあると思います」(和田氏)

ただし、闇雲にやりたいことを主張するのではなく、「このツールを使ってこんなことをやってみたい」といった形でコンセプトや手法を具体的に示すことには気を配っているそうです。

また、外部の有識者を招いて「町田市デジタル化推進委員会」を立ち上げ、DX 施策をオープンの場で議論していることも町田市の特徴です。

「デジタル化総合戦略もこの委員会で議論していただいたうえで作成しています。委員会は YouTube やメタバースで配信され、アーカイブも残ります。デジタル施策形成の過程をフルオープンにすることで、透明性を確保しています」(高橋氏)

有識者からの提言に加え、誰もが DX 施策の背景や形成プロセスを知ることができるため、納得度が増すというわけです。

DX とは破壊すること。常に改善し続ける意識が大切

町田市では今後も AI 技術の活用を進めていく予定です。和田氏は今後の AI 活用への前向きな姿勢を示します。

「生成 AI を活用した問い合わせ対応の進化や業務自動化にも取り組んでいきたい」(和田氏)

その先にあるのは「バーチャル市役所」の構想です。生成 AI がコンシェルジュとなって、職員も市民も手間なく自分のやりたいことを叶えられる世界を目指します。「デジタル化のメリットはエビデンスに基づいた改善をおこない、より良いサービスの提供ができること」(和田氏)

データを活用した行政サービスの改善にも積極的な姿勢を示します。

高橋氏は、「DX を成功させるためには一度システムをつくったら終わりではなく、そのときどきのニーズに応じてリニューアルし続けていく姿勢が重要」とアドバイスを送ります。「私は、DX とは“破壊すること”だと思っています。DX 担当者が“これがいいんだ”という守旧派になってしまったら、DX はそこで止まってしまいます」という高橋氏の言葉には、20 年以上にわたって町田市の DX を牽引してきた実感が込められています。

いち早くクラウドシフトを達成し、3D アバターや生成 AI といった最新技術を働き方改革や市民サービスの向上につなげている町田市。その真髄は絶え間なき改善への強い意思であり、それは今後も継承されていくことでしょう。「DX は破壊」という高橋氏の言葉は、多くの DX 担当者の心に響く言葉ではないでしょうか。私たち日本マイクロソフトも、歩みを止めることなく、皆さまの隣で伴走し続ける存在でありたいと思います。

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