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2025/08/21

市民に “伝わる” 情報提供へ。府中市は、市民への情報提供・発信の強化・改善に向けた生成 AI チャットボットを Copilot Studio を活用して内製

東京都府中市では、2022 年度から 8 か年におよぶ「第 7 次府中市総合計画」を策定。市民の利便性の確保と市民サービスの効率化を図るため、新庁舎の建設を開始。2023 年に新市庁舎への移転を行うのと同時に自治体情報システムを α モデルから β´モデルへと移行。市民の利便性向上と行政事務効率化の両輪で、デジタル化を推進しています。

庁内システム基盤としてMicrosoft 365 を採用した府中市では、2024 年から Microsoft 365 Copilot および Copilot Studio を導入して、生成 AI 活用による行政業務の効率化にも着手。さらに「活用の幅を広げても追加費用が発生しない」ことを一助として、Copilot の活用を直接的な市民サービスへと拡大することを決定。Copilot Studio を活用して生成 AI チャットボット「AIサイト内検索ボット」を内製しています。

「AIサイト内検索ボット」をわずか 2 か月弱で完成させると、有志職員によるユーザーテストを実施。誤答を招く基になった ホームページ上の文言などを見直すことで正答率を 90% にまで上昇させると、2025 年 6 月 4 日に正式にリリース。職員の負荷を増やすことなく市民の利便性を向上させる、まったく新しいホームページ運用を開始しています。

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市民の利便性向上と行政事務効率化に貢献する「デジタル化の推進」

2024 年に市制施行70周年を迎えた東京都府中市は、26 万人を超える自治体へと成長。市庁舎への交通の便が良いこともあり、かねてから各課の窓口には毎日のように大勢の市民が順番待ちの列をなしていました。

そうした状況を改善し、市民の利便性の確保と市民サービスの効率化を図るために府中市では、2023 年度に “東京都多摩地区でもっとも古い庁舎” となっていた庁舎から、「おもや」と名付けられた最新の庁舎へと移転。自治体情報システムも、既存の α モデルから β´モデルへと移行し、市民の利便性向上と行政事務効率化の両輪で、デジタル化を推進しています。

府中市 政策経営部 情報戦略課 課長補佐 小笠原 雄作 氏は、「おもや」が完成した 2023 年度に「働き方が大きく変わった」と振り返ります。

「β´ モデルに移行すると共に、庁内システム基盤として Microsoft 365 などの SaaS 活用が始まったことでDX 推進にも積極的に取り組むことができ、テレワークの推進やペーパーレス化が一気に進みました。窓口の混雑緩和に関しても、『書かない窓口』という標語を掲げて、主な申請書類はご自宅で事前に作成いただけるように、市のホームページが改良されています」

そして 2024 年度に入ると、さらに DX を加速させる取り組みが実施されます。それが、庁内業務への生成 AI = Microsoft 365 Copilot および Copilot Studio の活用でした。

小笠原 雄作 氏, 政策経営部 情報戦略課 課長補佐, 府中市

“私たちが第一に重視したのは『専門性の高さ』よりも『汎用性の高さ』でした。Microsoft 365 Copilot は、Teams や Outlook、Word に Excel といった Office ツールとほぼ一体化して活用できます。Teams の Web 会議を要約してくれる機能も非常に便利ですし、Outlook でメールの下書きを瞬時に作成してくれるのも助かります。業務効率化への期待が非常に高かったのです。”

小笠原 雄作 氏, 政策経営部 情報戦略課 課長補佐, 府中市

最新の GPT モデルを安心・安全に活用できる「責任ある AI」

府中市が Microsoft 365 Copilot および Microsoft Copilot Studio を選択した理由は、下記の 4 点にあると小笠原 氏は言います。
       
         1. Microsoft 365 との親和性が高いこと
       
         2. 機能等が適宜アップデートされる SaaS であること
       
         3. 安心・安全に活用できる AI であること

         4. Microsoft Copilot Studio 活用による応用範囲の広さ

「私たちが第一に重視したのは『専門性の高さ』よりも『汎用性の高さ』でした。Microsoft 365 Copilot は、Teams や Outlook、Word に Excel といった Office ツールとほぼ一体化して活用できます。Teams の Web 会議を要約してくれる機能も非常に便利ですし、Outlook でメールの下書きを瞬時に作成してくれるのも助かります。業務効率化への期待が非常に高かったのです。それに、SaaS で提供されていますので、常に最新の GPT モデルを利用できる期待感もあります。また、マイクロソフトが『責任ある AI』を明言しており、業務で入力したプロンプトや情報を Copilot に再学習させないように保護するほか、意図しない著作権侵害などが発生した際にもある程度の補償を約束されていることも重要なポイントです。それに、Copilot Studio を使えばローコードでチャットボットが作成できるなど、活用の幅を大きく広げることができます。これらすべてが Copilot の魅力でした」

追加費用ゼロで、生成 AI チャットボットを短期開発

府中市では、Web 会議の要約や文書作成の補助などに Microsoft 365 Copilot を活用するほか、全職員が「例規システム」や「庁内 SharePoint」に保存された一部データなど参照できる「ふくろう」と名付けたツールを Copilot Studio で独自に作成。Teams 上から、活用できるようにしています。

こうして庁内の業務効率向上に資する Microsoft 365 Copilot および Microsoft Copilot Studio の活用が多面的に進められていましたが、「もっと明確に生成 AI の有用性を示す必要性を感じていた」と、小笠原 氏は言います。

「日常業務の数々を効率化できる、非常に優れた機能が Copilot に揃っていることは十分に理解しています。しかし一方で、職員アンケートの結果や、庁内の活用度合いを Microsoft  Viva から見える Copilotダッシュボードでモニターしていると、Microsoft Copilot Chatの利用頻度に職員間・部署間で顕著な差が見られたのです。1 つには、新しいテクノロジー活用に対する気後れがあるのでしょう。また 1 つには、従来からの業務工数が可視化されていないこともあり、“効率化” の手応えが薄く感じられたということもあるでしょう。いずれにしても、生成 AI 活用に対する庁内のモチベーションを高めるためには、もっと別の活用方法で成果を示すことが有効だと考えました」

そして発想されたのが、Copilot Studio を活用した生成 AI による「AI サイト内検索ボット」です。

「すでに調達済みの Copilot Studio を内製活用するだけなので、追加費用もありません。だからこそ、年度途中に思いついたアイデアをすぐに実行に移すことができたのです」(小笠原 氏) 

この「AI サイト内検索ボット」を開発するに際しては情報戦略課と、ホームページを始めとする「市」からの情報発信を担っている秘書広報課が親密に連携。市民が自由に書いた質問文から、Copilot が的確に回答を提示できるツールとして完成されています。

しかも、開発にかかった期間は、わずか 2 か月弱しかありませんでした。

野澤 岳 氏, 情報戦略課 ネットワーク管理, 府中市

“前の課で事務処理の自動化に Power Automate を活用していた経験が活きました。GUI が非常にわかりやすく、チャットボットの開発を引き継ぐことができました。もっとも、これだけ早く対応できた背景には、日本マイクロソフトの協力もありました。”

野澤 岳 氏, 情報戦略課 ネットワーク管理, 府中市

Copilot の回答を基に、 サイト内に潜んでいた課題も解消

開発に携わった情報戦略課 ネットワーク管理 野澤 岳 氏は「以前の部署で活用していたローコード開発ツールの Microsoft Power Automate と使用感が似ており、非常に簡単に開発することができた」と話します。

「情報戦略課に今年度に異動してきたばかりなのですが、前の課で事務処理の自動化に Power Automate を活用していた経験が活きました。GUI が非常にわかりやすく、チャットボットの開発を引き継ぐことができました。もっとも、これだけ早く対応できた背景には、日本マイクロソフトの協力もありました。Copilot Studio では、質問に対する答え方を細かく調整するための機能もあるのですが、私のような素人には、その設定がどのように反映されているのか把握することが難しかったということもありましたので、日本マイクロソフトにいろいろと相談できたことはありがたかったです。また、そうした経験をした上で Copilot を活用してみると、そもそもの調整が非常に精妙に行われているということが実感できたように思います」

2024 年 11 月に「AI サイト内検索ボット」を発想した府中市では、すぐに日本マイクロソフトに相談をしました。そして、Microsoft Innovation Hub を通して「Copilot Studioで市民向けチャットボットを活用する際の Fit&Gap 分析」と、「技術的課題の解決」の 2 回のワークショップを体験し、 製品に対する信頼と内製が可能だという確信を得るに至りました。開発中も適宜、日本マイクロソフトの担当者とコミュニケ―ションを取っていたといいます。

「おかげで、2025 年の 2 月にはボット自体は完成しており、2024 年度中に公開することも可能な状況にありました」と、小笠原 氏。しかし、万全を期すために、庁内の全ての部署に協力を仰ぎ、テスト運用でさまざまな質問に対する “正答率” を確かめたといいます。

秘書広報課 広報担当 主査 秦 裕大 氏は、このテスト運用について次のように説明します。

「テストには約 350名の職員に協力してもらい、1,000 件ほどの質問を 「AI サイト内検索ボット」に投げてもらいました。その結果、いくつかの重要な質問に対して誤答が見られました。例えば、転入に関してはオンライン申請ができないのですが、生成 AI が『オンラインで申請できる』と、間違った答えを出してきたのです」

その理由を探った結果、窓口の混雑を緩和するために導入した転入届等の「事前作成サービス」に関する記述が誤解を招きやすいものになっていたことがわかったと、秦 氏は続けます。

「今は『書かない窓口』に変更していますが、その時は『オンライン事前作成サービス』という表記になっており、なおかつ『オンラインでの申請はできない』ということが明記されていなかったのです。生成 AI は “考える” のではなく、データを読み込んだ上で “確率の高い答え” を返してきますので『オンライン』や『事前』という言葉があり、『オンラインでの申請はできない』とは書かれていないことから、誤った答えにたどり着いたのでしょう。そこで、Copilot による誤答をなくすために各担当部署と相談をして表現を変更し、正答が導かれるように改訂しました。裏を返せば、“市民の皆様にも、誤解なく伝わる言葉遣い” にするための校正作業を、Copilot を通して行っていたと言えるでしょう」
 

秦 裕大 氏, 政策経営部 秘書広報課 広報担当 主査, 府中市

“Copilot による誤答をなくすために各担当部署と相談をして表現を変更し、正答が導かれるようになりました。裏を返せば、“市民の皆様にも、誤解なく伝わる言葉遣い” にするための校正作業を、Copilot を通して行っていたと言えるでしょう。”

秦 裕大 氏, 政策経営部 秘書広報課 広報担当 主査, 府中市

生成 AI による業務改善を加速する「意識変容」

こうして正答率を 90% にまで高めた「AIサイト内検索ボット」は、2025 年 6 月 4 日に一般公開されました。

市のホームページは全部で1万ページ以上もあり、日々情報が更新されています。その更新情報は即座に Copilot に反映されるため、従来型のチャットボットのように「FAQ を新たに作成・更新する手間」も、「クローラーが巡回するのを待つ時間」も必要ありません。

また、今後も継続的にホームページの改善を図っていけるよう、「AIサイト内検索ボット」には市民の方々の意見を集めるアンケート機能も搭載されています。

秘書広報課 課長補佐 (兼) 広報メディア担当副主幹 天野 彩 氏は、本プロジェクトを通じて「生成 AI 活用によって業務効率を高めるためには、私たち自身が意識変容を起こす必要があると感じた」と話します。

「今回特に感じたことは、私たちは市の広報として市民の方々にちゃんと『伝わる』情報発信をしていたのかどうか? ということです。「AI サイト内検索ボット」には、誰もが自由に質問できます。その時、一般の方が『転入・転出』という言葉を使うでしょうか? 多分、大多数の方が『引っ越し』と書くでしょう。私たちはもっと “市民の目線” に立って言葉を選ぶ必要があるのだと感じました。また、Copilot による業務効率改善策として、秘書広報課では、各課から『広報紙』のために集めている原稿の校正作業に、試験的に利用しているのですが、これも “今まで通りの手作業が安心だ” と慣習にしがみつくのではなく、“成果を出すためにプロンプトなどを改善する” という意識に変えなければ結果も出ないと、強く実感しました」

野澤 氏も「生成 AI を活用した「AI サイト内検索ボット」の開発という新しい試みに挑戦できたことは、とても意義のある経験でした。私は異動して間もないのですが、この一歩を踏み出すために前任の方がいろいろなハードルを乗り越えたのだと想像すると、感慨深いものがあります」と、本プロジェクトを通じた意識の変化に言及しています。

最後に小笠原 氏は次のように締めくくります。

「私たち情報戦略課としては、今後も Copilot の庁内業務への活用と、市民サービスへの活用を共に深めていく取り組みを続けたいと思っています。庁内業務に関しては、例えばTeams や Power Apps を活用して『庁内コミュニケーションを活性化する掲示板』の作成・運用や、部署特化型の業務支援ボットの開発、さらには部署ごとに『AI 推進リーダー育成』を行うということも考えられます。また、新たな市民サービスとしては『多言語同時通訳による外国の方向けの相談ボット』も考えられます。生成 AI の活用には今後もいろいろな議論があると思いますが、「AI サイト内検索ボット」のアンケートを通じて得られたご意見を反映しながら、改善を重ねていく予定です」

天野 彩 氏, 政策経営部 秘書広報課 課長補佐 (兼) 広報メディア担当副主幹, 府中市

“Copilot による業務効率改善策として、秘書広報課では、各課から『広報紙』のために集めている原稿の校正作業に、試験的に利用しているのですが、これも “今まで通りの手作業が安心だ” と慣習にしがみつくのではなく、“成果を出すためにプロンプトなどを改善する” という意識に変えなければ結果も出ないと、強く実感しました。”

天野 彩 氏, 政策経営部 秘書広報課 課長補佐 (兼) 広報メディア担当副主幹, 府中市

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