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2025/09/24

AI 活用による生産性向上に取り組む鹿島。Microsoft Unified の CodeWith を活用し、内製化に必要な開発プロセスの知識を習得

業務の効率化と生産性向上を目指す鹿島は、IT 活用に積極的に取り組んでいる。競争力の源泉となる重要データや AI を活用したシステム開発では、スピードやセキュリティの観点から、自社で開発・運用することが重要と判断し、内製開発への取り組みを開始した。

鹿島は、内製開発の仕組み作りに Microsoft Unified の AI Apps CodeWith プログラム(以下 CodeWith と省略)を採用。鹿島ITソリューション部  の若手メンバーがマイクロソフトのソリューション アーキテクトの支援のもと Azure 上で AI アプリを開発。その過程で開発作法や勘所、問題解決のノウハウ、進め方などを学び、内製開発の基礎を固めた。

CodeWith で得た知見やノウハウを、社内向け対話型 AI の改善に活かす。さらに、セキュリティなどのルールを定めた内製開発ガイドラインの策定と、新人教育コンテンツとして解決の道筋、具体的解決策などを可視化した内製開発マップの作成に取り組んでいる。

Kajima Corporation

重要データ活用、競争力強化につながる開発を内製化

1840 年創業、高度な建設技術を通じ、「技術立社」として社会やお客さまと信頼関係を築く鹿島。DNA として脈々と受け継がれているのが、「全社一体となって、科学的合理主義と人道主義に基づく創造的な進歩と発展を図り、社業の発展を通じて社会に貢献する。」という経営理念です。生活をより豊かにする建築物、時代のランドマークとなる建造物など幅広い領域で事業を展開。また、土木事業を通じ社会基盤の整備に数多く携わっています。

鹿島は、中期経営計画 (2024~2026) を、技術立社として新たな価値を創出し、社会やお客さまとともに未来を開拓していく計画としています。デジタル化の推進による生産性向上・業務の効率化にも積極的です。IT 活用領域が広がる中、生成 AI を利用し業務改善を図るためにも内製開発のニーズが高まっていると、鹿島ITソリューション部データ・システム技術グループ 課長代理 佐藤 眞輝 氏は話し、こう続けます。

「鹿島では、各事業部門がシステム開発を IT ベンダーに委託しています。高い専門性を必要とするからです。一方ITソリューション部は、全従業員が利用するプラットフォームを提供する役割を担っています。全社観点の IT において、課題となっているのが重要データの活用です。ベンダーに社内データを渡すことなく、『こういうことがやりたい』と要望を伝えて開発してもらうことは可能です。しかし、多くの時間を要するため、ビジネスの変化やスピードに応えることが難しいのが現状です。これを打開するため、重要データを活かし、競争力強化につながるシステムを内製化するべく体制を整えています」

内製化のきっかけとなったのが、鹿島専用対話型 AI「Kajima ChatAI」の独自開発でした。

内製化に向け、実践を通じて開発作法や手法を学ぶ

Kajima ChatAI は、Azure が提供する生成 AI モデルを活用した Azure OpenAI を基盤に、社内向けに構築された対話型 AI です。入力された情報が外部に漏れるリスクはなく、従業員認証や利用履歴の記録など独自機能も備えており、安全に利用できる環境を整えています。

2023 年 6 月、業務効率化や生産性向上を図るために、鹿島および国内グループ会社の従業員 2 万人を対象に Kajima ChatAI の運用を開始。課題について、鹿島ITソリューション部データ・システム技術グループ主任 清水 諒 氏は話します。

「Kajima ChatAI の開発は、ITソリューション部の若手メンバーが中心でした。知識もスキルもほとんどない状態から、自分たちで必要な情報を調査・入手し進めました。課題は、開発したメンバーが別部門に異動した場合に運用が困難になることです。開発の手順やノウハウのドキュメント化が求められました。こうした内製開発の課題は、AI に限らず異なる技術テーマでも共通しています」

属人化が懸案事項となっていたと鹿島ITソリューション部データ・システム技術グループ 植中 友樹 氏は振り返り、こう付け加えます。「内製開発を進めるためには、個人で習得したスキルやノウハウを共有する仕組みが必要でした」

内製開発の基礎を固めるために、スキルだけでなく開発作法や手法を学ぶことはできないか。鹿島がマイクロソフトに相談したところ、CodeWith の提案を受けました。CodeWith はマイクロソフトのソリューションアーキテクトと一緒に、Azure 上に PoC( 概念実証 )もしくは MVP(Minimum Viable Product、実用最小限製品 )の AI アプリをアジャイル開発により 2 週間で構築するプログラムで、内製開発に向けた知見やノウハウも身に付けることができます。

2024 年 12 月に、鹿島は CodeWith を採用。2025 年 1 月から実施に向けて準備を始めました。プログラムのテーマに「Kajima ChatAI の機能追加、内製開発のベースづくり」を設定。それに合わせ、必要な環境や知識を整理し、知識不足の箇所に関して勉強会を開催しました。

清水氏は当時を振り返ります。「Azure OpenAI を活用し Kajima ChatAI を開発していたので、マイクロソフトのアーキテクトに聞きたいことがたくさんありました。CodeWith は、まさに当社が求めていた『学び』を得られるものでした」

武田 淳弘 氏, ITソリューション部 データ・システム技術グループ, 鹿島建設株式会社

“今回、マイクロソフトのアーキテクトと一緒に開発できたことで、判断や考え方とともに標準化、ドキュメント化のポイントを学べました。”

武田 淳弘 氏, ITソリューション部 データ・システム技術グループ, 鹿島建設株式会社

マイクロソフトのソリューションアーキテクトが一緒に開発

2025 年 2 月、鹿島における CodeWith がスタート。参加メンバーは Kajima ChatAI 開発メンバー、マネージャーに佐藤氏、オブザーバーに事業部門の担当者です。「事業部門が参加したのは、ITソリューション部と共同で内製開発を進めるためであり、当プログラム内でも事業部門からのフィードバックをスプリントレビューで得る仕組みが設けられました」(清水氏)

植中 友樹 氏, ITソリューション部 データ・システム技術グループ, 鹿島建設株式会社

“マイクロソフトのアーキテクトと一緒に、「必要なインプット」と「目指すアウトプット」を明確にした上で設計を詰めたことで、開発がスムーズにまわるようになりました。”

植中 友樹 氏, ITソリューション部 データ・システム技術グループ, 鹿島建設株式会社

CodeWith は、スプリントと呼ばれる短期間の反復サイクルで、計画、設計、開発、テストなどの工程を繰り返します。実際に手を動かすのは、鹿島のメンバーであり、マイクロソフトは支援役として常にそばでサポートする体制です。「エキスパートの先輩がそばにいる感覚に近いと思います」(清水氏)
今回、伴走型で支援した日本マイクロソフト クラウドソリューション アーキテクト 土田 純平は、具体的な内容について言及します。

「まず、システム設計における構造や構成要素、技術的選択肢などを議論しました。開発段階では、各スプリントは管理しやすいサイズのタスクに分割して取り組むため、毎朝チームで集まり、前日の進捗を確認してその日の優先タスクを決めました。困っていることや、協力が必要な点を確認したあと、各自が作業に入ります。当プログラムの特長は、マイクロソフトのソリューションアーキテクトと鹿島さまのメンバーの距離の近さです。マイクロソフト側は、いつでもリクエストに対応できるようオンラインで待機しています」

スプリントを上手く進めるためには、複数人で分担し並行して開発を進めるスタイルを、身につける必要があります。「アジャイル開発では、アウトプット(成果物)が、次のサイクルで必要となるインプット(情報、リソースなど)となります。当初はインプットとアウトプットの整備が上手くできませんでした。マイクロソフトのアーキテクトと一緒に、「必要なインプット」と「目指すアウトプット」を明確にした上で設計を詰めたことで、開発がスムーズにまわるようになりました」(植中氏)

マイクロソフトのソリューションアーキテクトは、ソースコードのレビューを実施。Azure 上で開発と運用を緊密に連携する Azure DevOps によりソースコードを共有し、さまざまなアドバイスをおこないました。日本マイクロソフトのクラウドソリューションアーキテクト 大田 一希は、一般的なレビューとの違いを話します。「改善点の指摘はもとより、オンラインで画面を共有しながらペアプログラミングをおこなうことや、共にエラーの解決策を導き出し、ITソリューション部のメンバーがツールや手法を使って対処するのをサポートしました」

土田は、「課題解決そのものではなく、一緒に解決していくプロセスにこそ、当プログラムの真髄はあると思います」と語ります。

支援を受けた立場から清水氏は、「悩みの本質を見極めて、どういう視点や考え方で解決に向かえるかを具体的に体験できたことで、実践で役立つ『学び』になりました」と話します。

ITソリューション部のメンバーは、通常の業務をこなしながらプログラムに参加したため、時間の使い方も課題となりました。「1 回目のレビュー終了時に、自分たちで振り返る時間をつくってほしいとお願いしました。マイクロソフトの柔軟な対応により、当社の業務に合った開発スタイルを見出すことができました」(清水氏)

清水 諒 氏, ITソリューション部 データ・システム技術グループ 主任, 鹿島建設株式会社

“ただ技術だけではなく、考え方に触れることができました。当社の内製開発を整備していくうえで指標の一つになったと思います。またマイクロソフトのエンジニアから、私自身が新人に指導する際の理想像を学ぶことができました。今後は我々自身がその経験を社内の仲間に展開し、同じように導いていける存在になりたい。”

清水 諒 氏, ITソリューション部 データ・システム技術グループ 主任, 鹿島建設株式会社

新人向け教育コンテンツ「内製開発マップ」を作成

鹿島は、CodeWith 終了後、そこで得た知見やノウハウを、Kajima ChatAI の改善に役立てています。「スプリントを採り入れて、開発メンバーで共通認識を形成することで、開発の進捗を共有しフォローしやすくなりました。月 1 回のリリースも安定してきたと思います。さらに事業部門と月次定例会を開催し、改善要望を聞くとともに、開発した機能を検証してもらい、フィードバックを反映するサイクルをまわしています」(清水氏)

鹿島における内製開発の仕組みづくりでは、同プログラム参加をきっかけに大きく 2 つの施策が進行中です。1 つ目は、内製開発ガイドライン。特にセキュリティの観点から守るべきルールを定めたものです。2 つ目は、内製開発マップ。今回、悩んだこと、つまずきポイントや、解決の道筋、具体的解決策、必要な知識・ツールなどを言語化するとともに、時系列で見てわかるようにマップ化した新人向け教育コンテンツです。こうして、一度きりの成功に終わらせず、経験を組織に残す仕組みづくりが着々と進んでいます。 CodeWith を通じて『内製開発の知見を社内に残し、次につなげる』取り組みが始まったのです。

清水氏は、CodeWith について、「ただ技術だけではなく、考え方に触れることができました。当社の内製開発を整備していくうえで指標の一つになったと思います。またマイクロソフトのエンジニアから、私自身が新人に指導する際の理想像を学ぶことができました。今後は我々自身がその経験を社内の仲間に展開し、同じように導いていける存在になりたい」と話します。

「非常に有意義な時間でした」と植中氏は話し、こう続けます。「技術的疑問のひとつひとつに対し根拠をもって答えてくれました。知識が現実に結びつくため、自分自身の中で落とし込みやすかったと思います。ソースコードについても、プログラムが正常に動くだけでなく、簡潔で読みやすく、速度や質が向上する書き方など気づきが得られました」

鹿島ITソリューション部データ・システム技術グループ 武田 淳弘 氏は、「今回、マイクロソフトのアーキテクトと一緒に開発できたことで、判断や考え方とともに標準化、ドキュメント化のポイントを学べました」と話し、こう付け加えます。「伴走してくれた日本マイクロソフトの土田さんのブログや著作物も読んでいたので、一緒に開発できて光栄でした」

CodeWith について、佐藤氏は次のように評価します。「生成 AI を活用した開発では、AI、クラウドといった幅広い知識や技術が必要です。またアジャイル開発の作法や手法も求められます。それらが学べる環境を、包括的に、なおかつ各分野のアーキテクトによる伴走型で提供してもらえたことで、当社の内製開発は大きく一歩踏み出すことができたと考えています」

中核をさらに強化し、社会や顧客とともに未来を開拓する鹿島。AI 活用による生産性・業務効率化の向上に向け、CodeWith は、鹿島の若手エンジニアに寄り添い、内製開発の道を切り開く支援をおこないました。清水氏は「今回得たものは単なるシステムではなく、『自分たちで創り出す力』です。この力をもって、これからも現場の課題解決に挑んでいきます」と結びます。

佐藤 眞輝 氏, ITソリューション部 データ・システム技術グループ 課長代理, 鹿島建設株式会社

“生成 AI を活用した開発では、AI、クラウドといった幅広い知識や技術が必要です。またアジャイル開発の作法や手法も求められます。それらが学べる環境を、包括的に、なおかつ各分野のアーキテクトによる伴走型で提供してもらえたことで、当社の内製開発は大きく一歩踏み出すことができたと考えています。”

佐藤 眞輝 氏, ITソリューション部 データ・システム技術グループ 課長代理, 鹿島建設株式会社

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