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2025/09/08

新たな人材育成と開かれた共創の場の確立へ。学校法人立命館は “自由な挑戦” を Microsoft 365 Copilot などの活用によって加速

「ソーシャルコネクティッド・キャンパス」を標榜する学校法人立命館は、2024 年 4月に大阪いばらきキャンパスに竣工した H 棟を起点として、日本マイクロソフトと協働する「Microsoft Base Ritsumeikan」を開設。さらに「QULTIVA (カルティバ)」という、創発性人材育成を行うための新たなプラットフォームをスタートさせています。

さらに 2025 年に入ると QULTIVA での共創の 1 形態としてマイクロソフト版の QULTIVA もスタート。Teams を使って遠隔値を結ぶコミュニティを形成することで、立命館のすべてのキャンパスから学生を募集。学びの過程をデータとして残し、Microsoft 365 Copilot によって分析するなど、その後の指導に永続的に活かしていく試みを進めています。

さらに、立命館独自の生成 AI 開発に向けて Microsoft Copilot Studio と Azure AI Foundry も調達。Copilot Studio ではまず、煩雑な学内の承認手続きなどを効率化するために例規集を参照したチャットボットを作成。自然言語で問いかければ、手続きに必要な書類やプロセスなどが確認できるようになっています。Azure AI Foundry は、より高度な生成 AI 活用のために今後の活用が計画されています。

The Ritsumeikan Trust

開かれたキャンパスをさらに発展させ、自由な挑戦を促す空間へ

立命館は今、建学の精神である「自由と清新」を基に、未来社会のあるべき姿とその実現に向けたあくなき挑戦を掲げる「学園ビジョンR2030 」の実現に向けて、さまざまな取り組みを推進しています。

その一環として、2024 年に大阪いばらきキャンパスに、映像学部・研究科と情報理工学部・研究科の2学部2研究科が、2024 年に移転することを契機として、社会とシームレスにつながりながら新たな価値を創出し続ける「ソーシャルコネクティッド・キャンパス」の具現化に着手。

“挑戦と失敗を繰り返しながら、未来を⾃由に創り出していける場所” =「TRY FIELD」というコンセプトに基づいた H 棟を竣工し、さまざまな取り組みを推進しています。

学校法人立命館 理事補佐 総合企画室 副室長であり、立命館大学 副学長 社会共創推進本部 本部長を務める三宅 雅人 氏は、次のように説明します。

「元々、大阪いばらきキャンパスは『塀や門のない開かれたキャンパス』として人々の待ち合わせ場所として利用されるほど地域に親しまれてきました。このキャンパス内には、常に地域の方々や社会人と学生が交差してきたのです。その出会いをより確実なものとして、社会課題を解決するための実証実験や新たな社会共生価値の創造を目指して自由に挑戦できる空間へと、変革を進めているのです」

大阪いばらきキャンパス H棟の 1 階と 2 階、4 階の一部は地域の企業などが大学と交わり、教育研究活動プロセスへの参画を促す「クリエイティブ・コンプレックス」エリアとして整備されています。特に目を引くのが、2 階に設置された「Learning Infinity Hall」です。このホールは 228 名を収容し、6 名ごとに分けられた 38 のブースにモニターとカメラ、スピーカー、マイクなどが設置されており、個別にオンライン ディスカッションが行えるようになっています。各ブースは近接しており、仕切りもありませんが、驚くことにマイクやスピーカーの干渉によるハウリングなどが一切生じないように、緻密に音響空間が設定されているのです。

4 階は、企業や自治体などとの連携の場となる「Co-Creation Hub with Ritsumeikan」となっています。 企業や自治体が持ち込んだ課題を、文理の幅広い領域の教員や学生と共創する空間が広がっており、さらに 5 階には、企業と教員、携わる学生とがプロジェクトを組んで共同研究を行うための部屋が用意されています。

そしてこの H 棟の “玄関口” にも見える、キャンパスプロムナード「桜の路」に面した場所に開設されているのが「Microsoft Base Ritsumeikan」です。

産官学連携を促進する「Microsoft Base Ritsumeikan」

Microsoft Base Ritsumeikan は、日本マイクロソフトが利用者の DX 実現やスタートアップなどの支援を目的として運営している「Microsoft Base」を、日本の教育機関として初めて設置した施設です。

2024 年 4 月に開設されて以降、一般・学生を問わず、体験型のイベントやハンズオン セミナーが 120 以上開催され、1 年の間にこの施設を利用した学生は累計で3,700を超えています。

例えば、Microsoft 365 Copilot などの生成 AI とその可能性について、日本マイクロソフトのエバンジェリストが解説するイベントが行われた際には満員盛況となり、オンライン視聴による参加者も多くいたといいます。

また、この施設はコワーキング スペースとして一般の方にも開放されており、Wi-Fi や数人で共有できるモバイルバッテリーなどが利用可能。多くの社会人に活用されています。

三宅 氏は「Microsoft Base Ritsumeikan に刺激を受けているのは学生だけではありません」と話します。

「この施設で最新の技術に触れてリピーターになっている学生も多くいます。生成 AI に関するイベントの際には『生成 AI について、こんな深い話は初めて聴けた』といった反応が多かったとも聞いています。しかし、刺激を受けたのは学生だけではなく『どうすれば DX を推進できるか?』と悩まれている地域の企業の方々にとっても、大いに刺激を得ていただけたようで、規模の大小を問わず、DX 推進について悩まれている企業の方々からイベント開催について相談を受けたこともあります。そうした経験を含めて、この Microsoft Base Ritsumeikan が気づきと出会いを得られる場として、当初の想定を超えて機能し始めていることを実感しています」

新しい人材育成の可能性を、生成 AI で深める

そしてもう 1 つ、大阪いばらきキャンパスの中で日本マイクロソフトが深く関わっている取り組みが 2025 年 5 月からスタートしています。それが、立命館大学が 2024 年 4 月から取り組んでいる新しい人材育成プログラム「QULTIVA (カルティバ)」の “マイクロソフト版” というべき取り組みです。

QULTIVA は、「自己意思明確化」や「失敗を恐れない姿勢」「本質的思考」など、7つのマインドと3つのスキルを中心とした 10のコンピテンシー (優れた成果を出す人物に共通する「行動特性」) の習得を支援するプログラムです。

このプログラムは全 16 学部対象の講義の中に組み込まれており、学生たちへの指導に活かされています。

新しくスタートしたマイクロソフト版の QULTIVA は、上述のプログラムとは独立した取り組みとして、100 名の学生を募集して開始されています。三宅 氏は、この取り組みを開始した理由について「学生たちへの指導内容を一過性のものとしないように、データを安全な場所に蓄積させ、生成 AI で分析・活用することが重要でした」と説明します。

「10 のコンピテンシー習得に関する学びは、とてもパーソナルなものです。プログラム開始時と中間時点、そして最後の 3 段階と、他者からの評価を踏まえて教員などからアドバイスしていくのですが、その内容はデータとしては残らず、風化してしまいます。しかし、5 年 10 年とこのプログラムを継続していく中で、1 か所にデータを蓄積し、分析活用できれば、もっとこのプログラムの可能性を伸ばせるのではないかと考えたのです」

こうしてスタートしたマイクロソフト版の QULTIVA は Microsoft Teams を利用したビデオ会議でコミュニティを形成するため、大阪いばらきキャンパス以外の学生たちも、気軽に参加することが可能となっています。

Teams で行われたワークやディスカッションなどは、すべて安全に保存され、立命館大学だけの Microsoft 365 Copilot を通して分析や次の知識として、活用されます。また、コミュニティに参加するメンバーの学年や背景、知識量には個人差があります。生成 AI がその差を埋め、ワークやディスカッションにおける「コミュニティ活性化の効果も期待している」と三宅 氏は言います。

三宅 雅人 氏, 理事補佐, 総合企画室 副室長, 立命館大学 副学長 社会共創推進本部 本部長, 学校法人立命館

“10 のコンピテンシー習得に関する学びは、とてもパーソナルなものです。その内容はデータとしては残らず、風化してしまいます。しかし、5 年 10 年とこのプログラムを継続していく中で、1 か所にデータを蓄積し、分析活用できれば、もっとこのプログラムの可能性を伸ばせるのではないかと考えたのです。”

三宅 雅人 氏, 理事補佐, 総合企画室 副室長, 立命館大学 副学長 社会共創推進本部 本部長, 学校法人立命館

TRY FIELD を加速させるために、Copilot Studio を活用

ソーシャルコネクティッド・キャンパスとして、TRY FIELD のコンセプトを実践する大阪いばらきキャンパスを起点に、学園全体では常にさまざまな挑戦が行われています。

「例えば、Microsoft Base Ritsumeikan の横には 350インチのスクリーンを備えたシアター教室があるのですが、ここで何をするかは、学生たちが自由に提案してくれることを望んでいます。映像や音楽などの制作物を発表する一般向けの集客イベントでも良いですし、企業の方々との共創に関わるイベントも良いでしょう。また、Co-Creation Hub with Ritsumeikan では実施済みも含め 20 以上のプロジェクトが動いていますが、その数は今後さらに増えていくと想定しています。そうした状況を鑑みて、企業や自治体との共創に参加を希望する学生 (SEEDS メンバー) を他のキャンパスからも募集したところ、現在 260 名を超える希望が届いています。衣笠キャンパスや、びわこ・くさつキャンパスなどから、交通費を払ってまで産学連携に参加したがる学生がいるかどうか、疑問視する声もありましたが、学生たちの熱意はとても高かったのです。今後も当キャンパスにおける “挑戦” は増え続けていくことでしょう」(三宅 氏)

そして現在、このTRY FIELD の動きを加速させ、更には学園全体の DX 推進を具現化するために、ローコードで独自の生成 AI 活用が実現できる Microsoft Copilot Studio の活用に向けた取り組みを推進しています。自然言語による平易な文章で問いかければ、例規集や過去の膨大な会議履歴の中から該当する情報を参照できる生成 AI チャットボットの開発がまさに進行中です。

浅田 智史 氏, 総合企画部 総合企画課 教育・研究 DX 担当課長, 学校法人立命館

“Copilot Studio であれば、プログラミングの知識がなくても生成 AI による独自のチャットボットが簡単に作成できます。例規集と会議履歴を参照できるボットは私が作成しましたが、UI などが分かりやすいため非常にハードルが低くなっています。今後はすべての学部と研究科で、校務の効率化に向けた生成 AI 活用が広がっていくことに期待しています。”

浅田 智史 氏, 総合企画部 総合企画課 教育・研究 DX 担当課長, 学校法人立命館

立命館大学独自の生成 AI 活用で、人材育成のさらなる深化へ

学校法人立命館 総合企画部 総合企画課 教育・研究 DX 担当課長 浅田 智史 氏は「この検索ボットを始めとして、立命館大学独自の生成 AI の開発を進めているところです」と話します。

「2024 年度当初は、独自にカスタム生成AIを作成することができる Azure AI Foundry を教職員に配布し、研修を重ねた上で学内の生成 AI 活用を促し、ボトムアップで各所の校務効率を改善に役立ててもらう予定で進めていました。しかし、実際にはITリテラシの高い教職員以外の多くが理解して使いこなすことは難しかったのです。AI の精通レベルに応じたツールを配置しないと、全員が AI の恩恵にあずかれないことが検証を通じて分かりました。そこで、ローコードツールである Copilot Studio を新たに調達して活用することになりました。Copilot Studio であれば、プログラミングの知識がなくても生成 AI による独自のチャットボットが簡単に作成できます。例規集と会議履歴を参照できるボットは私が作成しましたが、UI などが分かりやすいため非常にハードルが低くなっています。今後はすべての学部と研究科で、校務の効率化に向けた生成 AI 活用が広がっていくことに期待しています」

さらに来年度 (2026 年度) からは、この 2 年で培った生成 AI の経験から Azure AI Foundry を活用した、より高度な生成 AI 活用に踏み出すと浅田 氏は言います。それは TRY FIELDの未来を切り開く、新しいチャレンジです。

「今はまだ、どのような生成 AI 活用が最適なのか検討を重ねている段階ですが、早期に生成 AI 活用に踏み切った経験が戦略を定める上で活きていると思います。基本的には 16 学部で推進している QULTIVA の学びに活かしていく予定です。マイクロソフト版と同じように生成 AI によるデータ分析を行えるよう、立命館独自の生成 AI 環境を構築し、安心・安全なデータ活用を実現していきたいと思っています」

また、Microsoft Base Ritsumeikan についても、現在新しいチャレンジがスタート。衣笠やびわこ・くさつのキャンパスなどにも出張して、さまざまなイベントを開催する予定であるといいます。

最後に、三宅 氏は言います。

「生成 AI は驚くほどの速さで進化しています。3 か月も経てば古くなってしまうような技術を大学で教えていく、あるいは学習環境として学生たちに提供していくということは、簡単なことではありません。そうした、かつてない領域に対して、幸いにも本学は日本マイクロソフトからの親密なサポートをいただくことができています。これはとてもありがたいことだと思っています。今後、さらに日本マイクロソフトとの連携を密にさせていただき、Microsoft Base Ritsumeikan を通じて学生たちに、最新のテクノロジーを手ほどきしていただきたい。そう願っています」

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