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2025/09/12

ロート製薬が Dynamics 365 でグローバル ERP を構築、2 層型のシステム構成で各国の状況に柔軟に対応できる基盤を確立

事業のグローバル展開を積極的に進めているロート製薬は、100 社を超えるグループ企業を抱え、世界 110 か国以上に商品を届けています。各国の法規制を遵守し、現地の文化や価値を尊重して、ローカル ビジネスの特性を生かした事業展開も重視しています。一方で、ERP は各国で個別に導入、運用されており、各国のビジネス オペレーションを尊重しつつも、グループ内での SCM (サプライチェーン マネジメント) やファイナンス データの連携が難しく、今後の成長を見据える上で大きな課題となっていました。

課題解決の条件を満たすため、2 層型のシステム構成で新たな ERP を導入することを決定しました。導入する ERP パッケージとして、横断型 SCM の構築が可能で、Microsoft 365 との親和性が高く、進化と共に成長できる Dynamics 365 を採用。各国で導入される ERP を「Tier 1」、グローバル共通の基盤となる ERP を「Tier 2」と位置付け、インターフェイスとして Microsoft Fabric を採用し、データ連携と活用のための統合基盤を構築しています。

2025 年 3 月には、米国のメンソレータム社に導入された Tier 1 とグローバル基盤となる Tier 2、Microsoft Fabric の本番稼働がスタート。これによって米国からの情報収集が迅速化され、管理会計システムへのデータ登録時間も削減しました。次は、グループ会社で共通となり得る部分を ”コアテンプレート” として、米国に導入したものをベースにローカライズを行い、各国グループ会社の状況に合わせながら、段階的に Dynamics 365 の展開を進めていく計画です。

ROHTO Pharmaceutical

ローカル ビジネスの成長を尊重しながらグローバルの成長を目指す

1899 年 (明治 32 年) に創業して以来、胃腸薬や目薬、外皮用薬などを製造販売し、2000 年以降は「Obagi (オバジ)」「肌ラボ」「メラノCC」など、スキンケア領域にも進出しているロート製薬株式会社 (以下、ロート製薬)。近年では再生医療事業も手掛けており、農業などの一次産業やレストランなどの食事業にも挑戦、コア バリューである「健康」を通じて、人々や社会に「Well-being」を届けています。

その一方で、グローバル展開にも積極的に取り組んでいます。1988 年に米国のメンソレータム社の経営権を取得したことが海外進出の足がかりとなり、現在では世界 110か国以上に商品を届けています。

その基本的なスタンスについて「ローカル ビジネスの成長を尊重しつつ国際的な相乗効果を生み出すことで、将来のグローバルな成長につなげようとしています」と語るのは、ロート製薬 基幹情報システム部で部長を務める森 康充 氏。しかし従来の基幹システムは、このような取り組みを十分に支えられるものではなかったと振り返ります。

その理由について「各国に個別の ERP が導入されていたため、業務や情報がサイロ化していました」と説明するのは、ロート製薬 基幹情報システム部 グローバルITセンターでマネージャーを務める木野 恭子 氏です。これらの ERP 間ではデータが連携しておらず、SCM や連結情報をグループ間で共有する際、多くの手作業が発生していました。「本社に提出されるレポートもフォーマットが統一されておらず、自由闊達な議論を生み出すものの、人的負担が大きく、業務の俗人化が進む要因となっていました」。この問題を根本から解決するため、2020 年 11 月にグローバル ERP の構築に向けた検討をスタート。その翌年の 4 月には、本格的なスタディを行うためのプロジェクト チームが発足しています。

森 康充 氏, 基幹情報システム部 部長, ロート製薬株式会社

“以前のマイクロソフトにはドライなイメージがありましたが、Unified や FastTrack が当社のチームと一体となってサポートしてくれたことで、そのイメージが根本から覆りました。グローバル ERP の展開はロート製薬にとって大きなチャレンジですが、当社側のメンバーも安心して取り組めています。Tier 1 である各国の Microsoft Dynamics 365 の展開はこれから本格化していきますが、各国の良さをきちんと反映できる統合プラットフォームになると期待しています”

森 康充 氏, 基幹情報システム部 部長, ロート製薬株式会社

各国との「シェアリング & ラーニング」を行ったうえで 2 層型 ERP の導入を決定

ここでまず行われたのが、経営観点での課題の整理と、それらの課題を解決するためのシステム構成の検討でした。課題として挙げられたのは、以下の 4 点です。

  1. 原材料の調達業務のうち、手作業で行う部分も多く、煩雑で工数がかかる。

  2. 国境を越えたグループ間サプライチェーンがあり、そのやり取りも手作業であるためリードタイムが長い。

  3. 会計レポートのフォーマットが各国まちまちであり、手作業でのチェックとフォーマット変換に手間がかかっている。

  4. ローカル ERP、管理会計、連結決算システムが別れており、多重入力が必要。

さらに、ロート製薬固有の企業文化にも配慮する必要がありました。これについて、ロート製薬 経理財務部でアカウンティンググループ マネージャーを務める増田 新輝 氏は次のように説明します。

「ロート製薬は各国現地の文化や習慣を尊重し、現地の声をしっかり聞きながら事業を行うという文化があります。そのためこのプロジェクトでも、主要な生産国や販売国から意見をもらいながらディスカッションを行う『シェアリング & ラーニング』を徹底的に行いました。これによって各国の状況を深く理解したうえで、プラットフォームの構成を検討していったのです」。

その結果採用されたのが、各国に導入する ERP を「Tier 1」、グローバルに統合された ERP 基盤を「Tier 2」とする、2 層型のプラットフォームでした。またこれを実現するための ERP パッケージとしては、Dynamics 365 を選定しています。

「当初はデータウェアハウスで統一されたグローバルプラットフォームの構築も検討しましたが、各国の業務特性や成長戦略を踏まえた複数の検討を経て、柔軟性と拡張性に優れた2層型システムが最適であるとの判断に至りました。基盤として Dynamics 365 を選定した理由は、横断的なSCMの構築が可能であり、ITの進化に伴って継続的な成長が見込める点に加え、費用対効果の高さが評価されたためです。また、既存の Microsoft 365 との高い親和性や、Microsoft Power Platform を活用できる拡張性も、選定における重要な要素となりました」 (木野 氏)。

木野 恭子 氏, 基幹情報システム部 グローバルITセンター マネージャー, ロート製薬株式会社

“当初はデータウェアハウスで統一されたグローバル プラットフォームの構築も検討しましたが、各国の業務特性や成長戦略を踏まえた複数の検討を経て、柔軟性と拡張性に優れた 2 層型システムが最適であるとの判断に至りました。基盤として Dynamics 365 を選定した理由は、横断的な SCM の構築が可能であり、IT の進化に伴って継続的な成長が見込める点に加え、費用対効果の高さが評価されたためです。また、既存の Microsoft 365 との高い親和性や、Microsoft Power Platform を活用できる拡張性も、選定における重要な要素となりました”

木野 恭子 氏, 基幹情報システム部 グローバルITセンター マネージャー, ロート製薬株式会社

Tier 1 と、Tier 2 間に Microsoft Fabric を置くことでさらなる柔軟性向上とデータ活用が可能に

2023 年 4 月には要件定義に着手。その後、Tier 1 と Tier 2 とのデータ連携に、Microsoft Fabric を活用することも検討されていきます。2023 年度末には、各国の Tier 1 と、グローバル基盤となる Tier 2 のインターフェイスに Microsoft Fabric を活用するシステム構成に決定。2024 年 4 月から Tier  2 と Microsoft Fabric の導入がスタートします。採用の理由について、ロート製薬 基幹情報システム部 グローバルITセンター デベロップメントチームでリーダーを務める前田 達也 氏は、次のように説明します。

「今回の Microsoft Dynamics 365 導入プロジェクトでは、集めた情報をいかにして有効活用できるようにするかが重要になります。『データを集める』といっても、各国で個別の ERP を導入している現状では決して簡単なことではありません。しかしマイクロソフトのプラットフォームであれば、Microsoft Dynamics 365 に集めるためのデータの変換から管理、その後のデータ活用など一連を Microsoft Fabric で行うことができ、グローバルなデータ基盤をシンプルな形で確立できます」。

これと並行して、米国のメンソレータム社が、最初の Tier 1 の導入国として、2024 年 1 月からプロジェクトがスタート致しました。

ここで注目したいのは、Tier 1 の展開が一気に進められているわけではないということです。「各国の業務環境や精度、リソース状況はそれぞれ異なるため、ERP 移行のタイミングも国ごとに最適化する必要があります」と木野 氏は述べています。Tier 1 の展開においては、各国の事情を十分に理解し、相互に学び合いながら、現地の状況に即した導入スケジュールを策定・実行しています。

Tier 1 と Tier 2 の接続に Microsoft Fabric を選択したのには、このような事情も関係していると、前田 氏は述べています。

「Tier 1 の展開が完了するまでは、各国の ERP はバラバラの状態であり、マスターも揃っていません。これらと Tier 2 を効率的に連携させるには、データ変換が不可欠です。各国が Tier 2 に合わせるのではなく、Tier 2 が各国の状況に合わせやすくするために、Microsoft Fabric を活用しています」。

増田 新輝 氏, 経理財務部 アカウンティンググループ マネージャー, ロート製薬株式会社

“Dynamics 365 の導入によって情報を早期に収集できるようになりました。また、先行して Tier 1 の導入を行った米国では、以前は管理会計上に必要なデータを別システムに手作業で入力していましたが、トランザクションが連携されることで、データ登録に必要な時間も半減しています”

増田 新輝 氏, 経理財務部 アカウンティンググループ マネージャー, ロート製薬株式会社

管理会計システムへのデータ登録期間が半減、各国への段階的な展開も容易に

2025 年 3 月には、米国の Tier 1 とグローバル基盤の Tier 2、その間でデータ管理を行う Microsoft Fabric の本番稼働がスタート。これによる効果について、増田 氏は次のように語ります。

「Dynamics 365 の導入によって情報を早期に収集できるようになりました。また、先行して Tier 1 の導入を行った米国では、以前は管理会計上に必要なデータを別システムに手作業で入力していましたが、トランザクションが連携されることで、データ登録に必要な時間も半減しています」。

次の導入先も決まっており、導入プロジェクトのキックオフを予定しています。効率よく且つスピーディに導入を進めるために、米国 (メンソレータム社) に導入した内容をコアテンプレートとし、それをローカライズしたうえで展開していきます。

その一方で、Microsoft Power Platform や Microsoft Copilot の活用も始まっていきます。Dynamics 365 にデータを集約することは、今後の AI 活用を促進し、業務スピードを高めるうえでも重要になると考えられています。

本プロジェクトにおいて注目したいもう一つのポイントは、マイクロソフトの各種支援プログラムを積極的に活用している点です。Microsoft Unified の「プロジェクト品質アドバイザリ (PQA)」および「拡張指定エンジニア (EDE)」は、システム設計や導入過程で発生する技術的課題の解決を支援してくれています。一方で、「FastTrack for Dynamics 365」は、グローバル展開を見据えた標準化の推進や、ベストプラクティスの提供を通じて、プロジェクトを支援してくれています。

「以前のマイクロソフトにはドライなイメージがありましたが、Unified や FastTrack が当社のチームと一体となってサポートしてくれたことで、そのイメージが根本から覆りました。グローバル ERP の展開はロート製薬にとって大きなチャレンジですが、当社側のメンバーも安心して取り組めています。Tier 1 である各国の Microsoft Dynamics 365 の展開はこれから本格化していきますが、各国の良さをきちんと反映できる統合プラットフォームになると期待しています」 (森 氏)。

Tier 1 の段階的な展開に伴い、今後も進化を続けるロート製薬のグローバル ERP。これによってビジネスをどう変革し、グローバルな成長を加速していくのか、これからも目が離せません。

前田 達也 氏, 基幹情報システム部 グローバルITセンター デベロップメントチーム リーダー, ロート製薬株式会社

“今回の Microsoft Dynamics 365 導入プロジェクトでは、集めた情報をいかにして有効活用できるようにするかが重要になります。『データを集める』といっても、各国で個別の ERP を導入している現状では決して簡単ではありません。しかしマイクロソフトのプラットフォームであれば、Microsoft Dynamics 365 に集めるためのデータの変換から管理、その後のデータ活用など一連を Microsoft Fabric で行うことができ、グローバルなデータ基盤をシンプルな形で確立できます”

前田 達也 氏, 基幹情報システム部 グローバルITセンター デベロップメントチーム リーダー, ロート製薬株式会社

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