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マイクロソフトの財務レポート プロセスを Microsoft Azure に移行する

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本ポストは以下ブログ記事の翻訳です。

マイクロソフトの財務レポート プロセスを Microsoft Azure に移行する – Inside Track ブログ

2021 年 6 15   |  Douglas Gantenbein

3 つのデスクトップ画面の前にいる男性

「マイクロソフトの財務レポート プロセスの変革を支援することは、非常にやりがいがありました」Sudhahar Jayapalan (Microsoft Finance Engineering の主任ソフトウェア エンジニアリング マネージャー)(写真: Sudhahar Jayapalan)

マイクロソフトの財務レポート プロセスを管理することは大変な仕事です。

マイクロソフトは信頼できるシステムを構築していましたが、財務データの複雑さと分量が増えるに従って、それに対応するための新しい考え方が必要になりました。

簡単に言うと、マイクロソフトは財務レポートをどのように自動化するか再考する必要がありました。

私たちの目標は、財務レポート プロセスをモダン化し、それらのプロセスをデジタル変革の取り組みの一環としてよりデジタル化することでした。そこで Microsoft Azure 製品スタックを有効活用したいと考えました。Azure Data Services、Azure Data Lake など、Azure にあるほとんどすべての機能です。

– Bridgette Link (Microsoft Finance Business Intelligence グループのゼネラル マネージャー)

Microsoft Finance Engineering グループ (マイクロソフトのビジネス側の会計部門を支援する組織) は、Microsoft Azure を使用してツールを作成しました。当社の財務担当者はこのツールを使用して、大量の財務情報をより簡単に理解、分析できます。Microsoft Azure によって、チームは財務情報から価値を引き出し、その情報を主要関係者に結び付けることができました。

Mercury 2.0 と名付けられたこの取り組みの目標は、世界中の 100 を超える国と地域で、マイクロソフトの多数の基幹業務と事業に関するレポート作成タスクを合理化、簡素化することです。

マイクロソフトの Finance Business Intelligence グループのゼネラル マネージャーである Bridgette Link は、次のように述べています。「マイクロソフトでは、さまざまな財務プロセスが非常に複雑です。私たちの目標は、財務レポート プロセスをモダン化し、それらのプロセスをデジタル変革の取り組みの一環としてよりデジタル化することでした。そこで Microsoft Azure 製品スタックを有効活用したいと考えました。Azure Data ServicesAzure Data Lake など、Azure にあるほとんどすべての機能です。」

Mercury は、財務諸表を作成するという点で当社のバックボーンとなっています。ウォール街はこれらの財務諸表を受け取り、マイクロソフトの報告書はすべて Mercury に基づいています。財務コンプライアンスと数値のレポートに関して、これ以上重要なシステムはありません。

– Arthur So (Microsoft Finance Business Intelligence グループのディレクター)

Mercury 2.0 は、収支報告、財務報告、財務決算、費用配分、運用レポートなど、広い範囲の財務情報を処理できるように設計されています。また Mercury 2.0 では、より多くの財務プロセスを自動化すること、可能な限りプロセスを簡素化すること、さまざまなビジネス ユニット間で標準化を行うことも目標としています。

データ プラットフォームのアーキテクチャ

物事を簡素化して高速化することは簡単ではありません。この図は、複雑に交錯したデータ ソースと、マイクロソフトの財務レポート プロセスを高速化および改良するために Mercury 2.0 で使用される分析ツールを示しています。Mercury 2.0 は、マイクロソフトの過去 10 年間の財務の数字を処理した Mercury 1.0 の足跡を引き継いでいます。

マイクロソフトの Finance Business Intelligence のディレクターである Arthur So は次のように述べています。「Mercury は、財務諸表を作成するという点で当社のバックボーンとなっています。ウォール街はこれらの財務諸表を受け取り、マイクロソフトの報告書はすべて Mercury に基づいています。財務コンプライアンスと数値のレポートに関して、これ以上重要なシステムはありません。」

Mercury 1.0 のアップグレード

Mercury 1.0 は会社の原動力でしたが、そろそろ更新のタイミングでした。

Finance Engineering の主任プログラム マネージャーである Timm Rulison は次のように述べています。「私たちは Mercury 1.0 でとても良い仕事をしました。しかし、他社と同様に、従量課金ベース (サブスクリプション) モデルに移行するなど、ビジネス プロセスを変更しました。このモデルは、利幅は小さいものの、処理量は増えるモデルです。この結果、収益データの急激な増加に直面しました。」

Spark は、すべてのデータを取得し、それを単一のパイプラインに移動するプログラミング言語です。これにより、はるかに高いレベルのスケーリングが確保されます。また、仮想化を利用できるようになります。SQL では必ずしも仮想化を利用できるわけではありません。

– Timm Rulison (Microsoft Finance Engineering の主任プログラム マネージャー)

Mercury 1.0 は、1989 年に最初にリリースされた歴史のあるリレーショナル データベース管理ツールである Microsoft SQL Server に基づいています。1989 年は、インターネット上にわずか 100,000 台のホスト マシンしかなかった時代です。SQL は信頼性の高い製品ですが、その最新のバージョンですら、まだ「ビッグ データ」ソリューションとして設計されていません。

ここで登場するのが、Microsoft Apache Spark コネクタです。これは大規模なデータ処理のためのコネクタであり、Microsoft Azure スタックはこうした大規模なデータ処理を行えるように設計されています。

Rulison 氏は次のように述べています。「Spark は、すべてのデータを取得し、それを単一のパイプラインに移動するプログラミング言語です。これにより、はるかに高いレベルのスケーリングが確保されます。また、仮想化を利用できるようになります。SQL では必ずしも仮想化を利用できるわけではありません。」

さらに、Spark では大規模なデータを小規模なデータのかたまりに分割する「シャーディング」と呼ばれる処理を行うことができます。これらの小さなデータのかたまりを、広い範囲のクラウド ベースの高パフォーマンス サーバーに分散させることができます。

データベースのサイズとトランザクションの数が増加すると、データベースを照会するときの応答時間も増加します。ワークロードの管理に必要なコンピューターの数と処理能力が原因で、大規模なデータベースを維持するためのコストも急増します。一方、マイクロソフトの財務レポート プロセスを Microsoft Azure に移行し、データ シャーディングを使用することで、比較的低コストのサーバーでハードウエアとソフトウェアの要件を管理できます。

Rulison は次のように述べています。「法定要件のために、10 年遡ってデータを提出する必要があります。これは膨大なデータ量であるため、私たちはそれを月ごとにシャーディングしました。場合によっては、複数の月または年を単一のシャードに結合できます。」

複雑な財務をより高速に処理する方法

Mercury 2.0 で使用されている自動財務レポートは、現在ロールアウトの初期段階です。古いけれども現在でも有能な SQL ベースのシステムをしのぐ、ほぼリアルタイムのデータ プラットフォームのさまざまな利点が実際に示されています。

何よりも重要なのは、極めて高速であるということです。Mercury 1.0 では財務データはバッチ処理され、1 日で発行されるデータの数は多くありませんでした。

Finance Engineering の主任ソフトウェア エンジニアリング マネージャーである Sudhahar Jayapalan は次のように述べています。「Mercury 2.0 では、SAP 台帳にトランザクションが記録されるとすぐに財務データが処理され、ほぼリアルタイムでレポートを生成できます。バッチ システムでは、財務ユーザーのためにそれらのレポートを作成するのに時間がかかります。」

Mercury 2.0 は、将来のデータ増加に備えて構築されており、ワークロードの増加とともに自動スケーリングする機能が備わっています。データ利用のさまざまなシナリオに対処するために、Mercury 2.0 のアーキテクチャは、処理するデータをバッチ形式とイベント ストリーム形式の両方で取り込み、複数のエンドポイントに分散させるように設計されています。ユーザーは、Microsoft Power BIExcelWeb レポート、モバイル アプリなど、さまざまなツールを使用してデータ分析情報を受け取ることができます。

Jayapalan は次のように述べています。「Mercury 2.0 が完全な運用状態になれば、効率化と自動化が大幅に向上するでしょう。パフォーマンスが 20 30% 向上し、ユーザーに迅速にデータが提供されると予測しています。私たちはシステムを改善し続けています。そのため、システムにはユーザーが法定のコア財務システムを利用する方法が反映されています。」

Mercury 2.0 のもう 1 つの目標は、パーソナライズされたエクスペリエンスを提供することです。

Jayapalan は次のように述べています。「このシステムは、AI と機械学習を活用して、ユーザーの日々の操作に基づいてユーザーのニーズを特定するように設計されています。」

その他の改善点として、よりグラフィカルで使いやすいインターフェイスがあります。たとえば、特定の種類の情報を参照するための音声コマンド機能や Microsoft Cortana 自然音声言語製品などです。また、会計担当者の手動作業を強化または置き換えるための組み込み分析もあります。

素晴らしいコラボレーション

Link は、Mercury をまったく異なるチーム間の注目すべきコラボレーションの例であると見なしています。このケースでは、財務チームとエンジニアリング チームによるコラボレーションです。

彼女は次のように述べています。「私たちが Microsoft Azure を使用して財務チームに提供できる機能について、財務チームは非常に熱心でした。実際に、私たちはその情熱に少し驚きました。エンジニアリング チームには本当に感謝しています。」

Mercury 2.0 では、より使いやすい詳細なエクスペリエンスが提供されるだけでなく、マイクロソフトが必要とする揺るぎない信頼性と基盤となる数値の提供に重点が置かれています。

So は次のように述べています。「私たちは多くの顧客エンリッチメントと、より優れた顧客分析を提供できます。Mercury 2.0 ではユーザーの環境設定が保存されます。たとえば、今後のコストに関してどのような情報を参照したいかなどです。また、特定の条件が満たされた場合に事前にアラートを送ることができます。」

また、Mercury 2.0 はモバイルでの利便性が向上するように設計されており、たとえば、財務情報をユーザーが必要とする主要な数値に絞り込むことができます。

So は次のように述べています。「100 万件のレポートを携帯電話に詰め込むことは、正しいモバイル エクスペリエンスではありません。小さいデバイス用に最適化されるべきです。」

最後に、複雑な財務レポートの要件を抱える多国籍企業はマイクロソフトだけではないため、Mercury 2.0 は明らかに商用としての可能性を秘めています。

Jayapalan は次のように述べています。「モダンな損益システムは、上場しているすべての企業にとって重要です。マイクロソフトがこの種のシステムを Microsoft Azure で実行できれば、他の大企業も同様に実行できます。」

Link は次のように述べています。「今後数か月で、マイクロソフトは引き続き Mercury 2.0 を改良し、会社のその他の部署にロールアウトしていきます。これは、お客様に Azure の能力を紹介するためのショーケースと言えます。」

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