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2025/04/24

DX 文化への変革に取り組む日本郵政。Azure OpenAI Service で生成 AI 活用ポータルをリリースし、半年で 70 以上のミニアプリを作成

お客様と地域社会を支える「共創プラットフォーム」を目指す日本郵政グループ。その実現に向けて DX を加速させる中、従業員とお客様の体験価値向上を図るべく、内製化による生成 AI 活用に積極果敢に取り組んでいる。生成 AI 活用を牽引する先頭集団の一員として可能性を切り開く取り組みに挑む。

 

Azure OpenAI Service を使って、開発者とユーザーが利用する生成 AI 活用ポータルをリリース。マイクロソフトの迅速な対応が、安全安心を最重視する日本郵政のきめ細やかなセキュリティを支える。またマイクロソフトの技術支援により RAG( 検索拡張生成 )を活用する環境構築も急ピッチで進める。

半年間で ポータルを通じて利用できるミニアプリ数は 70 以上。要約、相談、壁打ちなどが人気となり、ミニアプリ実行回数が直近では 月間 2 万回を超えた。利用者アンケートでは回答者の 8 割が効果を実感。今後、現場の力をお客様と向き合うことに傾注できるように生成 AI 活用をさらに進めていく。

JAPAN POST HOLDINGS Co Ltd

生成 AI を活用し体験価値向上へ内製化で取り組む

高齢化、人口減少、ライフスタイルの多様化など社会が変化する中、日本郵政グループは変革に向けて大きく動き出しています。地域に寄り添う全国約 2 万 4000 の郵便局ネットワークを基盤に、リアルな郵便局とオンラインでサービスを提供するデジタル上での体験を融合。お客様と地域社会を支える「共創プラットフォーム」を目指しています。

“目指す姿”の実現では、DX( デジタル トランスフォーメーション ) が鍵を握ります。「DX はスピード重視でアジャイルに開発し、トライ & エラーを繰り返し積極果敢に前へ進んでいくことが求められます。創業 150 年を超える歴史を有し、従業員約 40 万人の大組織では、これまで培ってきた文化が DX 推進の足枷となっていた側面も大きいと思います」と日本郵政 常務執行役 グループ CDO( 最高デジタル責任者 ) 飯田 恭久 氏は話し、解決に向けた戦略について言及します。

「2021 年にグループ全体の DX を支援するグループ会社『JP デジタル』を設立しました。各事業会社からの出向社員と、データサイエンティストや UX UI デザイナー、開発エンジニアなどの専門人材による DX 実行部隊です。事業会社に戻った出向社員は、実践を通じて身に付けた DX のスキルや知見を生かすことで推進力となります。JP デジタルと、日本郵政に 2023 年度に設けた DX 戦略を立案し実行する DX 戦略部の両輪で DX を加速させています。お客様 ID 「ゆう ID」のグループ共通化と付加価値の向上、郵便局アプリの拡充、郵便局のポイントサービス『ゆうゆうポイント』など、デジタルにおけるお客様接点の強化を図っています」

2024 年度から日本郵政は生成 AI の活用に着手。飯田氏は「生成 AI はまだ各社が試行錯誤している時期です。日本郵政グループはこうした新しい技術要素の取り込みが遅れがちでしたが、今度こそ周回遅れにはならず、先頭に追い付けるように可能性を切り開いていきたい」と強調し、こう付け加えます。

「2024 年度に、JP デジタル内に生成 AI 専門チームを立ち上げました。日本郵政グループの業務で生成 AI の活用により、どんな“いいこと”があるのか。気づきを与え、固定概念を覆す突破口にしていきたいと思います。生成 AI はあくまでも手段です。従業員やお客様の体験価値向上を実現するために『内製化』で取り組んでいきます」

日本郵政の生成 AI 活用は、STEP1. 「従業員が使って生成 AI に馴染む」、STEP2.「特定業務に活用範囲を拡大」、STEP3.「お客様体験価値向上に向けた活用」の 3 つのステップで展開。「生成 AI は、スマートフォンよりも早く普及すると思っています。3 つのステップを、スピード感をもって進めていきます」と飯田氏は語ります。

飯田 恭久 氏, 常務取締役 グループCDO, 日本郵政株式会社

“日本郵政グループの業務で生成 AI の活用により、どんな“いいこと”があるのか。気づきを与え、固定概念を覆す突破口にしていきたいと思います。生成 AI はあくまでも手段です。従業員やお客様の体験価値向上を実現するために『内製化』で取り組んでいきます”

飯田 恭久 氏, 常務執行役 グループCDO, 日本郵政株式会社

生成 AI 活用ポータルは従来の IT ツールと一線を画す

2024 年 6 月、STEP1.「従業員が生成 AI に馴染む」の実現に向け生成 AI 活用ポータルの α 版をリリース。社内の浸透を図るために、マスコットキャラクターも生成 AI で作成し「Polaris(ポラリス)」と名付けた。命名者の日本郵政 DX 戦略部 マネジャー 山田 義治 氏は名称の由来について「Polaris は北極星とも呼ばれている、こぐま座の恒星です。Polaris を道標に、みんなで生成 AI を活用し、変革 (DX) 文化を生み出していこうという“想い”が込められています」と話します。

生成 AI 活用ポータルは、従来の IT ツールと一線を画します。「経営幹部や飯田 CDO から、研修やトレーニングしないと使えないものではなく、スマートフォンのアプリと同様、誰でも簡単に使えるようにしてほしいというリクエストがありました」と、日本郵政 DX 戦略部 次長 財前 幸一郎 氏は明かし、こう続けます。

「これまではベンダーに IT ツールの導入を依頼、時間をかけて構築、ユーザーに提供していました。生成 AI 活用ポータルの場合、ユースケースを増やしてユーザーの体験価値を向上させていくために、内製化によりユーザーの要望に迅速に応えることができるようにしました。また、ユーザーの使い勝手にもこだわっています。必要な機能を選んで即座に利用できます。例えば要約機能を利用したい場合、そのミニアプリを選択し要約したい内容を貼りつけてボタンを押すだけです。ChatGPT ですと生成 AI に指示を出すプロンプトを作成する必要があります。『プロンプトとは何か』からスタートしていると、その時点で時間もかかり途中であきらめてしまう人も出てくると思います。ミニアプリは、ユーザーがプロンプトを書く必要はありません。ユーザーは利用するだけでいいのです」

生成 AI 活用ポータルを支えるインフラ選定では、安全安心が最重視されました。「マイクロソフトは、公平性、信頼性と安全性、プライバシーとセキュリティ、透明性など『責任ある AI の原則』を定めています。また、顧客データを学習に利用しないと明記しています。日本郵政グループの IT 導入では、セキュリティチェックが非常に厳しく入ります。今回、Azure OpenAI Service だからこそ、スムーズに進むことができたと思っています。マイクロソフトも、セキュリティに対する細かい確認事項に対し迅速に応えてくれました。生成 AI 活用ポータルは JP デジタルがテナントの Azure 環境に構築されており、閉じた環境のもとでセキュリティが担保されています」(山田氏)

信頼と将来性も採用のポイントとなりました。「Azure OpenAI Service は、生成 AI 分野のリーダー的役割を担っているとの認識がありました。ChatGPT をはじめとするさまざまな AI モデルを利用できるという先進性も魅力でした」と山田氏は付け加えます。

半年間で内製により作成されたミニアプリ数は 70 以上

生成 AI 活用ポータルの α 版リリース後、2024 年 12 月までの半年間でミニアプリ数は 70 個を超えました。ミニアプリは、すべて内製により Azure OpenAI Service を利用しプロンプトベースで作成。驚くべきは、ミニアプリ作成のスピードです。ユーザーにヒアリングしてその場でミニアプリを作り、使ってみて要望があればそれを改善していくというサイクルをまわしています。「従来、ユーザーが課題を持っていても、それを IT で活用する場合に予算や投資対効果など高いハードルがありました。生成 AI 活用ポータルは、個人の課題解決プラットフォームになると肌で感じています」(山田氏)

ポータルを広めるために“口コミ”を大切にした点も特徴的です。使って便利だと思った人が、ほかの人に率直に感想を伝えることにより「使ってみたい」という気持ちが広がっていきました。山田氏は口コミによる効果について説明します。

「本社の枠を超え、支社からも問い合わせがありました。ただ押し付けるのではなく前向きに生成 AI を広める手段として、口コミが適していると思いました。ポイントは、課題感を持っている人ほど関心を持つという点です。DX 戦略部にメールや電話、ポータル上に用意したお問合せフォームなどを通じて、『生成 AI でこんなことができないか』といった相談が多く寄せられるようになりました」

ポータルの普及では、伝道師育成にも力を注いでいます。DX 戦略部は、KPI( 重要業績評価指標 )として、1 週間に 100 回以上利用するユーザーを 100 名以上にするという目標を掲げています。すでに 130 名となり目標を達成できました。「ポータルのヘビーユーザーに伝道師となってもらい、共感を伴う普及活動につなげていきたいと思います」(山田氏)

日本郵政グループ全体に展開した際に ポータルをどう活用していくか。「日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険からグループ内インターンというかたちで DX 戦略部に来てくれたメンバーに実際に 生成 AI 活用ポータルを利用しミニアプリの開発業務に従事してもらいました。また日々の業務でどう使うかを一緒に議論する中で出てきたアイデアの中から、インターン社員だけで 20 個のミニアプリを作成しました。DX 戦略部が用意したプロンプトを簡単に書ける環境を利用することで、ミニアプリの内製化強化に向けた裾野を拡大できるという手応えも感じました。今後もこのような取組を定期的かつ拡大しながら実施し、生成 AI 活用の中核的人材を育成しながら、グループ一体で生成 AI 活用に取り組んでいきます」(財前氏)

特定業務用途の生成 AI 活用に向けて評価・検証をスタート

2024 年 10 月に、UI( ユーザー・インターフェース )を改善した β 版をリリース。直後の 1 カ月間で、ミニアプリ実行回数が月間 1 万 9,000 回、直近では 2 万回を超えました。また、利用者アンケートでも回答者の 8 割が効果を実感したと答えました。

山田 義治 氏, DX 戦略部 マネジャー, 日本郵政株式会社

“従来、ユーザーが課題を持っていても、それを IT で活用する場合に予算や投資対効果など高いハードルがありました。生成 AI 活用ポータルは、個人の課題解決プラットフォームになると肌で感じています”

山田 義治 氏, DX 戦略部 マネジャー, 日本郵政株式会社

人気のあるミニアプリは、ビジネス系(要約、メール作成、Excel 関数作成、ビジネス文書変換、スピーチ原稿作成)、相談系(AI 孔明)、アイデア出しを支援する壁打ち系などがラインナップに入ります。「AI 孔明は悩み事にアドバイス(回答)してくれるミリアプリです。最初は業務に沿ったミニアプリが流行ると思っていましたが、気軽に相談できる相手として活用されており、これも実際に様々なミニアプリを作成する中でわかったことです。」(山田氏)

日本郵政グループの DX 活動は、STEP2.「特定業務に活用範囲を拡大」に進みます。生成 AI で社内データ活用するために、Azure OpenAI Service を使って RAG( 検索拡張生成 )を利用できる環境を構築し、評価・検証をスタートします。「事業部門から生成 AI を活用したいという多くの相談が DX 戦略部に来ています。マイクロソフトからアドバイスを受けながら急ピッチで環境を構築しています」と財前氏は話し、こう続けます。「例えば郵便局からは、お客様のお問合せに対する生成 AI の活用、業務で使う膨大なマニュアルの中から生成 AI が必要な情報を見つけて提示してくれるサービスなどの要望が寄せられています。生成 AI による現場の“困り事”解決に対する期待の大きさを感じています」

今後の展望について飯田氏は話します。「2025 年春には生成 AI 活用ポータルを本格リリースし、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険も利用できる環境となります。全国の郵便局への展開に向けた方針も検討しています。地域に根差した『人のぬくもり』といった郵便局の本質的価値こそが、日本郵政グループの最大の強みです。従業員の働き方改革とともに、現場の力をお客様と向き合うことに傾注できるように、生成 AI 活用による業務プロセス改革を進めていきたいと思います」

財前 幸一郎 氏, DX 戦略部 次長, 日本郵政株式会社

“事業部門から生成 AI を活用したいという多くの相談が DX 戦略部に来ています。マイクロソフトからアドバイスを受けながら急ピッチで環境を構築しています”

財前 幸一郎 氏, DX 戦略部 次長, 日本郵政株式会社

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