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2025/04/24

エイジスが新たな事業領域に対応するため基幹システムを刷新、Dynamics 365 と Azure 上のマイクロ サービスの組み合わせで柔軟性の高いシステムを実現

日本初の「棚卸ビジネス」を立ち上げ、業界 No.1 のシェアを獲得している株式会社エイジス。近年、この主力事業は飽和状態になりつつあり、新規事業の開拓が急務に。しかし既存の基幹システムは棚卸ビジネスに特化しており、他の事業での柔軟な活用が困難な状況でした。また OS をバージョンアップするには基幹システムのベースになっていたプラットフォームの移行が必要だったことも問題になっていました。

この問題解決に向け、基幹システムの全面的な刷新を決断。Dynamics 365 や Azure などのマイクロソフト サービスを前提に、クラウド ネイティブなシステム構築が目指されました。開発パートナーにはハイブリィド株式会社を採用。システム全体のコアとして Dynamics 365 を採用し、システム全体の共通基盤を確立したうえで、Azure 上でマイクロ サービス型のアプリケーションを稼働。

まだ開発プロジェクトは始まったばかりですが、上記システム構成は柔軟性に優れ、新たな事業領域でも活用しやすくなると評価されています。また開発の初期段階から Azure DevOps を活用した CI/CD の仕組みも実装。開発環境からステージング環境、本番環境へのデプロイ自動化、テスト段階でのセキュリティ担保やデプロイ ミス回避、スピードアップを実現。生成 AI 活用も積極的に進めています。

Aegis Co Ltd

さらなる成長のため事業領域を拡大、そのために必要となった基幹システムの刷新

1978 年に日本で初めて「棚卸ビジネス」を立ち上げ、40 年以上にわたって流通小売業を中心とした顧客の要望に対応し続けてきた株式会社エイジス (以下、エイジス)。主力事業である国内棚卸サービスは 1,500 社以上に利用されており、この業界では No.1 のシェアを獲得。サービス実施店舗数は年間延べ約 100 万店に上っています。

また海外ではアジア主要各国で事業を展開するほか、2022 年に米国カリフォルニア州に「エイジスUSA」、2023 年にシンガポールに「エイジスリテイルソリューションシンガポール」を設立し、世界 10 か国/地域のグローバル ネットワークで国際事業の拡大を加速。棚卸サービスの他にも、改装や集中補充、ミステリー ショッピング リサーチをはじめとした様々なサービスを展開しており、「世界に展開するリテイルサービス」へと事業を拡大し続けています。

このような事業拡大の背景として「主力である国内棚卸ビジネスが成長期からフェーズが遷移し、主力事業の一本足打法では成長が難しくなっているからです」と説明するのは、エイジス 執行役員でDX戦略本部長 兼 情報システム部長を務める後藤 啓太 氏です。2024 年 4 月には新たな中期経営計画「vision50」を策定し、2029 年 3 月期に連結売上高 500 億円を目指していますが、そのためには既存事業を深化させると共に、「新たな事業」にも積極的に取り組む必要があるのだと語ります。

このようなビジネス構想を実現するうえで大きな課題になったのが、既存基幹システムをどうするかでした。この基幹システムはパッケージ ベンダーが提供するプラットフォームをベースに、棚卸ビジネスに特化した形へとカスタマイズされており、新たなビジネス領域では活用しにくいものだったのです。

これに加えて「このプラットフォームがこのままでは OS のバージョンアップに対応できず、プラットフォームそのもののマイグレーション (バージョンアップ) が必要になるという問題にも直面していました」と言うのは、エイジス 情報システム部 デジタルイノベーショングループで統括マネジャーを務める井片 大貴 氏です。カスタマイズの量が多かったこともあり、マイグレーションにはかなりの時間とコストがかかると想定されたと振り返ります。

後藤 啓太 氏, 執行役員 DX戦略本部長 兼 情報システム部長, 株式会社エイジス

“マイクロソフトを選んだ最大の理由は、当社が目指す未来を最短で実現してくれるベンダーだと考えたからです。当社では以前より AI 活用を構想してきましたが、この領域のリーダーであるマイクロソフトとは 2022 年ころからやり取りを続けてきました。それ以来、当社のビジネス構想に関する提案をはじめ、他社事例の紹介など、様々な支援を受けています”

後藤 啓太 氏, 執行役員 DX戦略本部長 兼 情報システム部長, 株式会社エイジス

未来に積極投資する姿勢を評価しマイクロソフトを選択

これらの問題を乗り越えていくためにエイジスが着手したのが、基幹システムの刷新に向けた取り組みでした。そして最終的にそのコアとして採用されたのが、Dynamics 365 です。

「まずグローバルで使える ERP 製品を複数ピックアップして比較検討を行ったのですが、いずれもかなり高額な投資が必要になることが分かりました」と後藤 氏。これに対して Dynamics 365 は海外でも使えるのはもちろんのこと、中堅規模の企業でも対応できる金額で導入できるのだと言います。「実はこれと並行して SFA のリプレース検討も進めていたのですが、そこでも Dynamics 365 が有力な候補になっていました。そこで両方合わせて Dynamics 365 に統合すべきだと判断したのです」。

しかしエイジスがマイクロソフトを選択したのは、導入コストだけが理由ではありませんでした。

「マイクロソフトを選んだ最大の理由は、当社が目指す未来を最短で実現してくれるベンダーだと考えたからです。当社では以前より AI 活用を構想してきましたが、この領域のリーダーであるマイクロソフトとは 2022 年ころからやり取りを続けてきました。それ以来、当社のビジネス構想に関する提案をはじめ、他社事例の紹介など、様々な支援を受けています」 (後藤 氏)。

2023 年 4 月には新基幹システムを Azure 上でクラウド ネイティブな形で構築するという方針を決定。同年 6 月には「複数事業を包含できる」システムのための要件をまとめ上げ、クラウド ネイティブなシステム構築に知見のあるパートナーの選定に着手します。このとき 3 社から提案を受けた結果、2023 年 8 月にハイブリィド株式会社 (以下、ハイブリィド) の提案が採用されることになります。

「当社ではまずお客様の状況を徹底的にヒアリングし、エイジス様の成長戦略と ERP 導入目的を理解したうえで、かなり掘り下げた内容の提案をさせていただきました」と言うのは、ハイブリィド 代表取締役の中山 大輔 氏。その内容について次のように説明します。

「今回の提案ではまずアジリティを高めるため、マイクロ サービスでのシステム構成を前提としました。次に他システムとの連携も重視、中核となるのは Dynamics 365 ですが、現行システムも残るからです。システム間連携は個別にインターフェイスを作らず、中央に統合データベースを置き、API で接続する方法を採用。また、API 基盤や認証基盤、データ分析基盤も共通基盤とし、その上で各種アプリケーションを動かすことにしました」。

井片 大貴 氏, 情報システム部 デジタルイノベーショングループ 統括マネジャー, 株式会社エイジス

“基幹システムは全刷新していくことになりますが、使えるロジックは踏襲すべきだと考えています。しかし既存コードの中には設計書が残っていないものもあります。今回解析したストアドプロシージャは20年前に作成されたものですが、Copilotの活用によって1時間程度で解析できました。情報を外部に出さないとコミットしているため、安心して使えるのも大きなメリットです”

井片 大貴 氏, 情報システム部 デジタルイノベーショングループ 統括マネジャー, 株式会社エイジス

共通基盤の上にアプリケーションを実装、CI/CD の仕組みも早い段階から組み込む

2023 年 11 月には、このコンセプトを具現化したシステム アーキテクチャの全体像が完成。会計と営業支援は Dynamics 365、業務基盤となる新基幹システムはマイクロ サービス型で新規開発、分析基盤は Power BI、認証基盤には Microsoft Entra ID を活用しています。

「私どもの考え方としては、会社ごとの固有性が小さいものはパッケージで、自社の強みを発揮すべき領域や変化の激しい領域はスクラッチ中心で開発すべきだと考えています」と中山 氏。これを実際のシステム アーキテクチャに反映させた結果、マイクロソフトが「Cloud Adoption Framework」で提唱している「Azure ランディング ゾーン」に近いものになったと言います。

また後藤 氏も「Dynamics 365 や Azure で提供されている基盤機能の上でマイクロ サービス型のアプリケーションを動かすことで、きわめて柔軟な全社統合基盤を確立できます」と述べています。「以前からマイクロソフトとディスカッションしてきたことが、ハイブリィドが参画することでより具体的な形になりました」。

2024 年 1 月には開発プロジェクトをキックオフ。開発は 2 ステップ✕ 2 フェーズで進められることになりました。

ステップ 1 はエイジス本体のシステム構築です。ここで、新基幹システムやカスタマー ポータル、人事/会計/業績管理などのコーポレート機能が実装されていきます。そのフェーズ 1 に含まれる経営管理 (予算管理) は 2025 年 1 月にリリース済み。2025 年 7 月までには人事/管理会計/カスタマー ポータル、2026 年 4 月には国内向けの新基幹システムもリリースされる予定です。

ステップ 2 は、国内関連会社向けと海外およびフランチャイズ向けのシステム展開です。これは 2025 ~ 2026 年度にかけて開発と実装が進められていく計画です。

この開発プロジェクトでもう 1 つ注目したいのは、当初から CI/CD の仕組みが組み込まれていることです。これに関してはハイブリィド ITソリューション本部 ITエンジニアリング事業部の本田 宏 氏が、次のように説明します。

「CI/CD は Azure DevOps の Pipelines / Test Plans を活用して実現しています。開発者がデプロイ依頼をして承認者が承認すると、開発環境からステージング環境、本番環境へと自動的にデプロイが行われます。デプロイに人手を介さないため、開発者は開発環境以外のデータを見ることができず、開発段階でのセキュリティを担保できます。またデプロイ ミスが発生しなくなり、スピードも向上します」。

中山 大輔 氏, 代表取締役, ハイブリィド株式会社

“今回の提案ではまずアジリティを高めるため、マイクロ サービスでのシステム構成を前提としました。次に他システムとの連携も重視、中核となるのは Dynamics 365 ですが、現行システムも残るからです。システム間連携は個別にインターフェイスを作らず、中央に統合データベースを置き、API で接続する方法を採用。また、API 基盤や認証基盤、データ分析基盤も共通基盤とし、その上で各種アプリケーションを動かすことにしました”

中山 大輔 氏, 代表取締役, ハイブリィド株式会社

生成 AI の利用も一気に加速、新基幹システムでも活用することでより大きな価値を

今回の基幹システムの刷新では、生成 AI も活用されています。既存システムのデータベースで使用されていたストアド プロシージャの内容を Microsoft CopilotやAzure OpenAI Service で解析しているのです。これに関しては井片 氏が次のように語っています。

「基幹システムは全刷新していくことになりますが、使えるロジックは踏襲すべきだと考えています。しかし既存コードの中には設計書が残っていないものもあります。今回解析したストアドプロシージャは20年前に作成されたものですが、Copilot や Azure OpenAI Service の活用によって1時間程度で解析できました。情報を外部に出さないとコミットしているため、安心して使えるのも大きなメリットです」。

エイジスにおける生成 AI 活用はこれだけではありません。Azure OpenAI Service を活用した社内チャット ボットや社長のアバター、Azure AI Translator による 7 か国語の翻訳システムも作成し、2025 年 2 月にリリースを開始しています。またこれら以外にも、Azure AI Custom Vision を活用した棚割分析などのチャレンジも進められています。

「AI が気軽に使えることも Azure の大きなアドバンテージです」と後藤 氏。セキュリティに関しても既に Microsoft Copilot for Security が提供されており、今後はこれも活用することでより迅速なインシデント検知などが可能になるはずだと言います。

このような AI 活用の取り組みを、マイクロソフトも積極的に支援しています。AI 活用のアイデアを生み出すためのアイデアソンを無償で開催する共に、神戸市に開設された Microsoft AI Co-Innovation Lab にも招待。エイジスでは 2024 年 4 月から Microsoft Unified も活用していますが、AI 活用をはじめとする幅広い質問に対して「迅速かつ的確に回答してもらっている」と評価されています。

「新基幹システムでも AI を活用することで、より大きな価値を生み出せるはずです。具体的に何をするのかはこれから考えていきますが、今回のシステム刷新はその地盤整備という意味でも、重要な取り組みなのです」 (後藤 氏)。

本田 宏 氏, ITソリューション本部 ITエンジニアリング事業部, ハイブリィド株式会社

“CI/CD は Azure DevOps の Pipelines / Test Plans を活用して実現しています。開発者がデプロイ依頼をして承認者が承認すると、開発環境からステージング環境、本番環境へと自動的にデプロイが行われます。デプロイに人手を介さないため、開発者は開発環境以外のデータを見ることができず、開発段階でのセキュリティを担保できます。またデプロイ ミスが発生しなくなり、スピードも向上します”

本田 宏 氏, ITソリューション本部 ITエンジニアリング事業部, ハイブリィド株式会社

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