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2025/05/22

日本製鉄、DX を加速。Microsoft 365 Copilot を戦略的導入し、段階的拡大で生産性と効率化の成果を最大化

「総合力世界 No.1 の鉄鋼メーカー」を目指す日本製鉄。DX により従来の業務スタイルを刷新し、生産性向上、意思決定の迅速化を図る取り組みを進めている。その一環として、従業員エンパワーメントを向上するべく生成 AI の活用を検討。従業員が日常業務で利用しやすい生成 AI を求めていた。

全従業員が仕事で利用している Microsoft 365。それを使う際に、生成 AI がアシストしてくれる Microsoft 365 Copilot (以下、Copilot)は、同社が求めていたソリューションだった。Microsoft SharePoint Online を利用し、適切な権限設定ができている状態であり、Copilot をすぐに使い始めることができた。

同社では 4,400 シートの Copilot を導入し、1 カ月間で約 2 万件の Microsoft Teams 会議の AI メモ利用、約 4,500 件のメールスレッドの要約、Microsoft Copilot Chat を活用した社内ファイル検索で 5 万回以上のプロンプト送信など規模拡大効果が表れた。パイロット 導入の結果から試算し、年間数万時間の業務効率化を見込む。なお、日本製鉄グループ全体では、Copilot 導入を 11,000 シートまで拡大している。

Nippon Steel Corporation

生成 AI を活用し従業員エンパワーメントを向上

所属・役職は 2025 年 2 月取材時点

日本における製鉄業の歴史とともに歩む日本製鉄。世界経済の発展に伴い、鉄の需要が伸び続ける中で事業フィールドも世界へと広がり、2023 年の粗鋼生産ランキング※では世界 4 位、国内では 1 位でした。同社が目指すのは、技術、コスト、グローバルを強みとする「総合力世界 No.1 の鉄鋼メーカー」です。また、2050 年のカーボンニュートラル実現に向けて温室効果ガスが発生しない水素還元製鉄に挑戦し、すでに試験炉で世界に先駆けて 二酸化炭素排出量を 43% 削減することに成功するなど脱炭素化にも積極的に取り組んでいます。

同社は、「粗鋼 1 億トン・連結事業利益1 兆円」を目指し、強靭な事業構造へと進化するべく DX を強力に推進しています。同社の DX 戦略について日本製鉄 執行役員 デジタル改革推進部長 情報システム部長 星野毅夫氏は話します。「当社の DX は『ロケーションフリー』『データドリブン』『エンパワーメント』といったデジタル技術がもたらす 3 つの効果を発揮することで、従来の業務スタイルを刷新し、生産性向上、意思決定の迅速化、課題解決能力の強化を図っていきます。デジタル技術の活用を前提とし、既存の生産や業務のプロセスを見直すことが重要であると考えています」

従業員の能力を最大限に引き出す「エンパワーメント」に欠かせないのが生成 AI です。同社は、生成 AI 活用レベルを、レベル 1 「公開情報のみで使用」、レベル 2 「社内情報をプロンプトに含めて使用」、レベル 3 「社内データから作成したナレッジベースと組み合わせて使用」、レベル 4 「社内ナレッジベースを追加学習した専用モデルを構築して使用」の 4 段階に分けて取り組みをおこなっています。

同社は、日常業務の生産性向上に関わる、レベル 3 の生成 AI 活用において Copilot に着目しました。「レベル 3 は、社内データと生成 AI を組み合わせて本格的に業務変革に取り組むステップです。Copilot 等の生成 AI は日本語が通じるという点で、これまでのツールとは全く異なります。現場の業務課題を解決するポテンシャルに期待しています」(星野氏) 

※出典:世界鉄鋼協会(ワールド・スチール) 

星野毅夫 氏, 執行役員 デジタル改革推進部長情報システム部長, 日本製鉄株式会社

“生成 AI 活用レベル 3 は、社内データと生成 AI を組み合わせて本格的に業務変革に取り組むステップです。Copilot 等の生成AIは日本語が通じるという点で、これまでのツールとは全く異なります。現場の業務課題を解決するポテンシャルに期待しています”

星野毅夫 氏, 執行役員 デジタル改革推進部長情報システム部長, 日本製鉄株式会社

Microsoft 365 環境のもと Copilot をすぐに使って効果を検証

Copilot の採用理由について同社 情報システム部 主査 森内花穂氏は説明します。「日常業務における生成 AI 活用に関して検討を進めていました。従業員は、全社導入している Microsoft 365 を使って日々の仕事をしています。それらを使う際に、生成 AI がアシストしてくれるというのは、まさに“求めていたこと”だったのです」と話し、こう続けます。

「当社ではデータ共有基盤として Microsoft SharePoint Online を利用しているため、Copilot は既存の権限設定で社内データにアクセスできました。新たなファイル保管場所の用意や、検索用クローリング、権限設定の検討も不要で、すぐに使い始める環境が整っていました」

同社は、2024 年 2 月に Copilot の検討を開始。同年 4 月には 300 シートから Copilot 導入をスタートしました。検証に参加するユーザー選定について同社 デジタル改革推進部 主査 蓼沼聖昂氏は話します。

「当社は、DX 人材施策として業務でデータを高度に活用できるシチズンデータサイエンティストを育成しています。デジタルで課題解決するマインドを持っている人材です。シチズンデータサイエンティストと、先行するレベル 2 の活用で Azure OpenAI Service を検証していたコミュニティに対して募集をかけ、部門や職種に配慮し人選しました」

Yusuke Yoda, IT Infrastructure Promotion Department, DENSO

“当社ではデータ共有基盤として Microsoft SharePoint Online を利用しているため、Copilot は既存の権限設定で社内データにアクセスできました。新たなファイル保管場所の用意や、検索用クローリング、権限設定の検討も不要で、すぐに使い始める環境が整っていました”

森内 花穂 氏, 情報システム部 主査, 日本製鉄株式会社

2025 年 1 月のライセンス更新における判断材料とするため Copilot 導入のためのパイロット期間は4 カ月間となりました。日本マイクロソフトの協力のもと、Copilot 利用者に対しプロンプト集や使い方ガイドを提供し、オンライン勉強会も開催。勉強会では、星野氏から「Copilot を展開していくうえで推進役を担うみなさんに大いに期待しています」という、シチズンデータサイエンティストのモチベーションを高める動画メッセージも流しました。

Copilot の普及は、経営層と現場の一体感がポイントとなります。シチズンデータサイエンティストの能力を最大限に生かすために、マネジメント層もデジタルマネジメント教育を受け、現場でデジタルを活用した業務変革への貢献に対し評価する体制づくりに取り組んでいます。また Microsoft Teams を使って Copilot に関する情報発信や利用者同士の情報共有をおこなうコミュニティもつくりました。

パイロット期間の最終段階では、社内展開に向けたユースケース発掘を目的に「Copilot プロンプトコンテスト」を開催。Copilot 先行企業から社内コンテストが活用促進に効果的であるということを聞いていたと蓼沼氏は話し、こう続けます。

「テーマとして業務課題を解決する事例がそろい、最優秀賞は、Copilot を使って設備トラブル対策の有効性を分析する画像解析プログラミングの開発支援(動画:専門外のプログラミングもたった半日で|Meet my Copilot(日本製鉄株式会社))でした。従来人手でおこなっていた作業を、Copilot が代替することで効率化とともに判断の高度化を実現できます。また、フェーズの異なる仕様書の差異比較を、Copilot を使って効率的におこなう事例は審査員特別賞となりました。さまざまな発注シーンで適用できる汎用性も評価ポイントとなりました」

蓼沼氏は「日本マイクロソフトにもコンテストの審査員として協力してもらいました。当社の活用レベルを高く評価していただいたコメントは、経営層も含め社内に対するアピール材料となりました。コンテストの様子は、発表した事例と一緒に社内ポータルで公開しており、『使ってみたい』という声も寄せられています」と付けくわえます。

パイロット期間中、最も利用されたのが、要約や議事録作成に役立つ Teams 会議の AI メモでした。「プロンプトの書き方を悩む必要がなく、簡単にできる点が高い利用率につながったのだと思います」(蓼沼氏) 

同社は、アンケート作成ツール Microsoft Forms を使って、パイロット導入に参加したユーザーに対し評価アンケートを実施。定性的効果では「意思決定が高度化できた」など好印象の回答が多くありました。また定量的効果として、「Copilot を使うことで 1 日どれだけ時間を削減できたか」といった質問を設定。回答の平均値をもとに、Copilot を 4,400 シートに拡大した場合を試算し、年間数万時間の業務効率化が見込めるとの結果が得られました。

半期チャネルから月次チャネルに変更し全社展開

2025 年 1 月、パイロット導入の成果を受けて Copilot のライセンス数を 4,400 に拡大。内訳は、70%程度を各部署向け、残りを挙手制としました。100 以上ある部署のすべてで Copilot を利用する機会を提供することに配慮したと森内氏は話し、こう続けます。「各部署に割り当てたライセンスに関して、30 日間 Copilot を使用していなかった場合、ライセンスを返却してもらうルールを定めました。新たに使いたいという社員のニーズにも応えたいからです」

全社展開に向けて課題となった運用面について森内氏は振り返ります。「当社は、Excel を頻繁に使う従業員が多くいます。Microsoft 365 の更新タイミングは、自製のVBAアプリケーションなどの稼働検証をおこなうために半期チャネルです。しかし技術革新のスピードが速い Copilot は、月次チャネルが必要となります。パイロット導入時のユーザー 300 名には、暫定的にそれぞれのチャネルに対応した 2 台の PC を貸与することで、更新トラブルのリスクを回避していました。ユーザーを 4,400 名に拡大した際、コスト、管理、セキュリティなどの観点から、PC2 台運用は継続できないと判断しました」

同社は、リスクを説明し納得したユーザーに対し、月次チャネルへの変更を促しライセンスを提供。「月次チャネル運用後、トラブル報告は一切ありません。一般的にすべてのソフトで更新トラブルのリスクはあります。不具合が起きた場合、ユーザー自身で半期チャネルに簡単に戻せる手順も整えています」(森内氏) 

同社は、ワークプレイス分析ツール Microsoft Viva Insights を使って Copilot の利用状況を可視化。「2025 年 2 月に 4,400 ユーザーへ拡大後の 1 カ月間で、約 2 万件の Teams 会議の AI メモ利用、約 4,500 件のメールスレッドの要約、Microsoft 365 Copilot Chat を活用した社内ファイル検索で 5 万回以上のプロンプト送信など利用規模が拡大しています」と蓼沼氏は語り、今後のポイントについて続けます。

「新規ユーザーの活用度を引き上げるために、情報提供や施策を実施していきます。また、代表的な使い方だけでなく、業務改善に向けて Copilot の活用をステップアップするために勉強会やプロンプトコンテストなども積極的におこなっていきます。Copilot 推進役のシチズンデータサイエンティストの活躍の場も広がっていくと思います」

グループ全体ではすでに 11,000 のライセンスを導入している日本製鉄グループ。星野氏は、Copilot 活用の展望について話します。「当社における Copilot 活用はまだ始まったばかりです。継続していくためには、経営層に対し目に見える成果を示すことが必要です。また、レベル 4 『社内ナレッジベースを追加学習した専用モデルを構築して使用』にも着手していきます。法務、保全など業務特化型 AI エージェントの活用も重要なテーマです。期待しているのは、当社の長い歴史の中で培ってきた暗黙知を、生成 AI により発掘して活用することです。経験の浅い従業員も的確かつ迅速な判断が可能となります。人材不足、ベテランの知見消失といった課題を克服し、競争力の向上が図れることに意義を感じています」

「総合力世界 No.1 の鉄鋼メーカー」を目指す日本製鉄。Copilot を活用し生産性や創造性を高めた従業員 1 人ひとりが推進力となっていきます。

Yusuke Yoda, IT Infrastructure Promotion Department, DENSO

“2025 年 2 月に 4,400 ユーザーへ拡大後の 1 カ月間で、約 2 万件の Teams 会議の AI メモ利用、約 4,500 件のメールスレッドの要約、Microsoft Copilot Chat を活用した社内ファイル検索で 5 万回以上のプロンプト送信など利用規模が拡大しています”

蓼沼 聖昂 氏, デジタル改革推進部 主査, 日本製鉄株式会社

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