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2026/03/17

Fabric を中核とした統合データ基盤により需要予測の精度向上を実現、電力小売のグローバルエンジニアリングが予測 AI を内製化し、予測時間短縮と精度高度化を同時に達成

電力小売事業によって、全国 4,000 以上に上る顧客施設にコスト メリットのある電力を提供している株式会社グローバルエンジニアリング。この事業で極めて重要な役割を担っているのが、日々の電力需要を予測する業務です。従来は人手でデータを集めて計算が行われていましたが、予測に時間がかかることと、属人性が高いことが大きな課題になっていました。需要予測は会社の収益を大きく左右するため、安定的な予測を短時間で行うことが求められました。

需要予測システムの基盤として採用されたのが Microsoft Fabric です。データの取り込み・変換・蓄積・可視化をひとつのプラットフォームで実現し、機械学習モデルの更新、推論・予測・データ加工などのパイプラインを構築。予測モデルの作成・検証には Azure Machine Learning を組み合わせ、専門家不在の環境でもわずか 2 か月で 400 ~ 500 モデルを検証。Power BI による可視化までを Fabric 内で完結させ、データ活用基盤の内製化を実現しています。

この需要予測システムの提供によって、日々の予測業務に要する時間が半減。予測を間違えれば会社の収益に影響を与えてしまうという心理的な負担も軽減されました。予測精度も向上しており、平常時の予測誤差は以前に比べて 30 ~ 40% 低減しています。また Fabric でデータ基盤を構築したことで、データ活用も活発化。今後はさまざまなシステムのデータを Fabric の OneLake に集約していく計画です。

Global Engineering

収益を左右する電力需要の予測業務、時間がかかることと属人化が大きな課題に

2000 年から段階的に開始され、2016 年に全面自由化された電力小売。この事業を 2014 年からスタートし、全国 4,000 以上に上る顧客施設にコスト メリットのある電力を提供しているのが、株式会社グローバルエンジニアリング (以下、グローバルエンジニアリング) です。従来と変わらない安定した電力供給、自社発電所・電力取引所・発電事業者といった多様な選択肢を組み合わせることで実現した安価な料金設定、多業種での高い供給実績によって、多くの顧客から選ばれる存在になっています。

その事業運営において、極めて重要な役割を担っているのが需要予測です。グローバルエンジニアリングでは DNC (Demand-side Network Center) という専門組織を社内に設置、ここで日々需要予測が行われています。

「当社では、日本卸電力取引所に対して翌々日分の電力売買に関する入札を毎日行っていますが、適切な入札を行うには、精度の高い需要予測が欠かせません」と語るのは、グローバルエンジニアリングで DX・AI戦略推進室 室長を務める児島 瞬 氏。入札は需要予測にもとづいて行われますが、その精度は会社の収益を大きく左右する要因になると説明します。

「従来は手作業で基幹システムなどからデータを集めて表計算ソフトで計算していましたが、大きく 2 つの課題がありました。第 1 は予測に時間がかかること。第 2 は属人性が高く、予測が外れることもあることです。安定した予測を短時間で行うには、機械学習を活用してきちんとしたデータを揃え、それを人が見て判断できる体制が必要だと考えていました」。

そこで 2024 年 8 月には、予測データのための機械学習モデル作成の検討を開始。すでに基幹システムを Microsoft Azure 上で構築していたこともあり、マイクロソフトに相談を持ちかけます。

「社内にはデータ サイエンティストのような専門家がいないため、当初は外注することを考えていました」と児島 氏。これに対してマイクロソフトから出てきた提案は、驚くべきものだったと振り返ります。

「それは、Azure Machine Learning (Azure ML) を使えば GUI でモデルの作成や調整を行えるため、専門家でなくても機械学習に取り組める、というものでした。この提案を受け、内製で進めることを決断しました」。

児島 瞬 氏, DX・AI戦略推進室 室長, 株式会社グローバルエンジニアリング

“データ連携やデータ レイクに関する他社のソリューションも見てきましたが、それらでできることは全て Fabric でカバーできます。一度 Fabric でシステムを作ってしまえば、さまざまな用途で使えるのです。これはデータ活用における『勝てるソリューション』です。今回のプロジェクトはデータ活用基盤内製化の第一弾ですが、今後は他のシステムからもデータを取り込み、Fabric の OneLake に集約したいと考えています。”

児島 瞬 氏, DX・AI戦略推進室 室長, 株式会社グローバルエンジニアリング

機械学習初心者だった担当者が、わずか 2 か月で 400 ~ 500 の機械学習モデルを検証

提案を受けた翌月には Azure ML の検証に着手。2024 年 10 月までの 2 か月間で手応えをつかんだ上で、2024 年 11 月から本格的なモデル作成をスタートします。Azure ML における機械学習モデルの作成・検証について、グローバルエンジニアリング DNC SAC でチームリーダーを務める井田 睦美 氏は次のように語ります。

「Azure ML に学習用データを投入すれば、自動的にモデルが作成されます。しかも並列でモデル作成が行えるため、短時間で数多くのモデルを検証できます。今回は 1 日 10 ~ 20 パターンのデータを投入し、わずか 2 か月で 400 ~ 500 ものモデルを検証、その中から精度の高いモデルを選定しています。まったく知識がない状態からスタートしましたが、数をこなすうちに短期間で使いこなせるようになりました」。

2025 年 1 ~ 2 月には、この需要予測システムのためのデータ基盤も構築。ここでは Microsoft Fabric が活用されています。

「本番環境のデータ パイプラインは、大きく 3 種類あります」と井田 氏。第 1 はモデル自体の精度を向上させるためのモデル更新のためのデータ パイプラインです。基幹システムからモデル更新用データを投入し、機械学習のモデルを更新します。これは精度低下が検出された場合に実行されますが、そうでない場合でも月に 1 回はモデル更新が行われています。

第 2 は推論・予測・加工のデータ パイプライン。基幹システムから推論用データを作成し、機械学習モデルで推論、その結果を実績データなどと組み合わせることで、実務利用データ (人が予測を行うためのデータ) を生成・提供します。実務利用データは Azure Blob Storage に蓄積され、Microsoft Power BI で可視化するためのレポート用データも生成。DNC の需要予測担当者は、Power BI で可視化されたデータをもとに予測値の微調整を行い、必要に応じて Blob Storage から実務利用データをダウンロードして活用します。

そして第 3 が、モデル精度評価です。予測データと実績データとの比較を行い、モデル精度が低下した場合には、モデル更新データ パイプラインのトリガーを生成します。

2025 年 9 月には「さらに良いモデルを作るには専門的な知見も必要」だと感じ、兵庫県神戸にある「Microsoft AI Co-Innovation Lab KOBE (神戸ラボ) 」のプログラムにも参加。基礎を改めて学ぶことで、Azure ML や Fabric への理解が深まったと井田 氏は振り返ります。「1 日 7 ~ 8 時間× 1 週間のコースは非常に内容が濃く、もっと学びたいと思いました」。

さらに児島 氏は「マイクロソフトからは他にも様々な形でサポートをいただきました」と言及。マイクロソフトには何でも相談でき、マイクロソフト側にまだ回答がないチャレンジングな質問でも、次の打合せまでには回答がもらえていたと振り返ります。「本番環境のシステム構成に関しても丁寧なアドバイスをいただけたため、システム構築も効率的に進められました」。

井田 睦美 氏, DNC SAC チームリーダー, 株式会社グローバルエンジニアリング

“Azure ML に学習用データを投入すれば、自動的にモデルが作成されます。しかも並列でモデル作成が行えるため、短時間で数多くのモデルを検証できます。今回は 1 日 10 ~ 20 パターンのデータを投入し、わずか 2 か月で 400 ~ 500 ものモデルを検証、その中から精度の高いモデルを選定しています。まったく知識がない状態からスタートしましたが、数をこなすうちに短期間で使いこなせるようになりました。”

井田 睦美 氏, DNC SAC チームリーダー, 株式会社グローバルエンジニアリング

予測時間が半減し誤差も低減、データ活用が広がったことも大きなメリット

機械学習で予測データを作成することで、予測に必要な時間は半減しました。「以前は毎日半日かけて予測が行われていましたが、今では 2 時間程度で日々の予測が完了します」と井田 氏。「最近では電力小売に加えて、蓄電施設などを活用したエネルギー マネジメント事業にも注力しており、DNC で行うべき業務が増えていいますが、人員を増やすことなく対応できています」。

心理的な負担も軽減していると指摘するのは児島氏です。前述のように、需要予測は会社の収益に大きな影響を与える業務であるため、プレッシャーも大きくなりますが、適切なデータで支えることで、より安心して予測が行えるようになったのです。

予測の精度も向上しています。平常時の予測誤差は、以前に比べて 30 ~ 40% 低下しているのです。

その一方で、データ基盤に Fabric を活用したことで、データ活用の幅も広がったことも、大きなメリットだと評価されています。Fabric はデータの取り込みから変換、可視化まで、エンド トゥ エンドのデータ サービスとなっており、その中には Power BI も含まれているからです。例えば基幹システムのデータ活用は、以前は外注で各種帳票を作成する必要があり、多面的なデータ活用は困難でしたが、現在では Power BI で自由自在に可視化できるようになっています。

「データ活用のチャレンジがすぐできるため、これまで以上に内容の濃い議論が行えるようになりました」と児島 氏。これは内製化したからこそ実現できたのであり、外注のままではこうはいかなかったと言います。そして内製化の取り組みは、今後さらに広げていく計画だと語ります。

「データ連携やデータ レイクに関する他社のソリューションも見てきましたが、それらでできることは全て Fabric でカバーできます。一度 Fabric でシステムを作ってしまえば、さまざまな用途で使えるのです。これはデータ活用における『勝てるソリューション』です。今回のプロジェクトはデータ活用基盤内製化の第一弾ですが、今後は他のシステムからもデータを取り込み、Fabric の OneLake に集約したいと考えています」。

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