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ダイバーシティ×デジタル

多様な人材活用を、DX推進の糸口に

Mixed Realityのアナウンスによって、工場で機械を操作する人

GSIとは

Global Skills Initiative(GSI)は、日本マイクロソフト株式会社が様々な領域のNPO等と連携して展開する就労支援プロジェクトであり、マイクロソフトの全世界的な取り組みの一つとして、新型コロナウィルスの影響により就労・雇用に影響を受けた方達のスキルアップと雇用可能性の拡大を目的に活動しています。

GSIとデジタルとダイバーシティの三要素のコラボレーション

日本のDXの可能性

日本企業は、デジタル技術で事業を変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)や、多様な人材を活用するダイバーシティにおいて、欧米に遅れを取っていると言われます。組織で多様な世代、性別、人種が活躍することにより、従来と異なる発想が育ちます。そのような発想は、イノベーションの源泉となり、DXの推進にも繋がるでしょう。今回の記事では、DXを推進する上で、多様な人材活用が製造業の現場に与える力についてご紹介します。

近年では、製造業の現場にもDXの波が押し寄せています。DXの目標は、デジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをビジネスモデルの改善に繋げることです。テクノロジー(IT)も一翼を担いますが、その技術の活かし方にも新たな発想が必要となります。企業が多様な人財や考え方を包摂(インクルージョン)する環境を創出し、企業文化・風土の変革を通じて個人が力を発揮できる組織が整備することで、収益性が向上するとともに、ステークホルダーにも様々な恩恵がもたらされるでしょう。
そして、そのような多様な人財が積極的にDXの推進を主導することができれば、DXと人材のダイバーシティによるシナジーが生まれ、企業の競争力の源泉となるはずです。

工場でタブレットを取り扱う女性

IT活用で、多様な人材・考え方を力に

多様なバックグラウンドを持つ従業員が勤務するトヨタ・モーター・ノース・アメリカ(北米トヨタ)では、従業員に対してローコード開発*のトレーニングを実施しています。「Microsoft Power Platform」を活用することで、業務上の課題を解決する自社アプリを従業員自身が開発できるようサポートしています。
業務の中で感じたことや様々な経験値を形にできるITツールの導入・研修制度が整備されたことで、多様な考え方を持つ従業員が創造的な新しいアイデアを実践できるようになりました。これによって作業プロセスが改善され、迅速に品質の高い製品・サービスを顧客に提供する職場環境が構築されています。

*ローコード開発:コーディングの経験や知識がほとんどなくとも、短期間でアプリケーションを開発できる手法。プログラミングに大きく依存することなく、ドラッグアンドドロップ機能などの視覚的操作を用いることで開発を行う。

DX人材拡充と職場の多様性

少子高齢化が進む日本では労働人口の減少が見込まれ、それに伴って企業競争力の低下も危ぶまれています。DXは、企業の競争力維持・強化に有効な対策として期待されます。既に多くの企業が自社における人材へのDXを推し進めており、世界的にも91%もの企業が、3年以内のDX推進を検討しています。*1
その一方、多くの企業が課題として抱えるのがスキル・人材不足の壁です。しかし、もし若い世代や女性、外国人が積極的に現場に参画したら、どうなるでしょうか?パーソル総合研究所による「多文化共生意識調査」*2では、女性/障碍者/外国人を積極的に登用する企業の割合がそれぞれ15.1%/14.0%/4.1%と報告されており、女性や障碍者、そして外国人などの人材登用はまだ少ないのが現状です。
McKinsey&Companyのレポート「Diversity Matters」*3では、女性比率向上や外国人を含む文化多様性を促進している企業とそうでない企業では、業績結果・企業パフォーマンスに一定程度の違いが生じることが報告されています。「若手や女性、外国人が現場に巻き込まれることによって、従来と違う発想が得られ、イノベーションを生み出す好機ともなりえます」。(マッキンゼー日本代表 岩谷直幸氏)

外国人を含む多様な人材が能力を発揮し、企業の競争力を向上させるために

マイクロソフトと幅広い分野のNPOが連携して、新型コロナウィルスの影響下の就労支援に取り組むGSIでは、認定NPO法人 難民支援協会(以下、JAR)と連携し、日本における在留外国人・難民向けの就労支援プログラムを提供しています。
GSIのコンテンツは、ITスキル研修のみならず、日本企業における円滑なコミュニケーションをITを通じて学べる教材があり、その中には「やさしい日本語」の提供も含まれています。
「やさしい日本語」の動画教材は、日本の製造現場におけるさまざまなシーン、例えば、「ヒヤリ・ハット」事例を取り入れるなど、実際の就労現場のおける実践を意識しています。支援担当者の可部州彦さん(認定NPO法人 難民支援協会 定住支援部就労支援チーム マネージャー)は、「職場を構成する様々なバックグラウンドを持つ労働者が一緒に学ぶことで相互理解を促進できる」と話します。
GSIはこれからも多くの企業・行政・NPOとのパートナーシップを通じて、日本におけるインクルーシブ社会、すべての人々が自分らしく働ける社会の実現に取り組んでいきます。

多様性のある人々がコラボレーションして働く様子