事例紹介 社会参画

パソコンがつなぐ地域の縁
シニアの活力が街に広がり始めた

新陽パソコン倶楽部
高橋 泰子さん (写真右)

シニアたちの作品をデジタルサイネージで公開

人々が行き交う札幌駅前通の地下歩行空間。ここに設置されるデジタルサイネージに Project SHINYO の作品が流れると、色彩豊かなイラストに目を奪われ、思わず立ち止まる人がいる。

「札幌市から作品を発表しないかというお話があって、以前からシニア向けの ICT イベントに協力してもらっていた日本マイクロソフトにサポートしてもらう形でスタートしました」
と話すのは、Project SHINYO のリーダーであり、シニア情報生活アドバイザーの高橋 泰子さん。札幌市が「創造都市さっぽろ発信空間」として運営を支援するデジタルサイネージのコンテンツのひとつとして、札幌のシニアたちに発表の場を提供。日本マイクロソフトは作品制作のための技術支援や教材の提供、イベントへの協力などを行っている。

週に 1 回、地元の新陽会館に各自が PC を持ち込んで集まっている。シニア情報生活アドバイザーのメンバーも何人かおり、お互いに教え合いアイデアを出しながら楽しく取り組んでいる。

Word の描画機能を駆使して創作にチャレンジ

Word で作成中のイラスト。さまざまな図形や線を組み合わせていくことで、絵が苦手な人でも容易に描画できる。「これが Word で?」と驚くような表情豊かな作品が次々と生まれている。

Project SHINYO は、札幌市北区の新陽会館を拠点とする「新陽パソコン倶楽部」の中から描画が得意なメンバーが集まったチームだ。

会館に週 1 回のペースで集まる同倶楽部の会員数はシニア情報生活アドバイザーを含め約 50 名。
70 歳という平均年齢が信じられないくらい活気あふれる皆さんである。活動もユニークで、高齢者向けのパソコン教室というと Microsoft Office といった基本的なソフトの習得がまず思い浮かぶが、同倶楽部ではそのステップを越えて、Word や Excel の描画機能を独自に工夫した創作にチャレンジしている。
そのイラストが独創的でメンバーそれぞれの個性が表現されており、見ていて楽しい。

そして、これらのイラストを使ってオリジナル ストーリーを創作し、高橋さんが Windows ムービー メーカーで約 5 分の動画に仕上げたのがデジタルサイネージで発表する作品。

「日本マイクロソフトからはシニア向けの ICT 教材を提供してもらい、その時々で担当の方にいろいろ相談しています。
私たちはできる限り自分たちで勉強して工夫していこうというスタイル。それでも分からない時にいつでも的確なアドバイスをもらえるので、とても頼もしい存在ですね」

作品をきっかけにコミュニティが生まれる

作品の公開がスタートしたのは 2011 年 5 月末。以来ほぼ 3 か月に 1 回のペースで新作を発表している。自分たちが創作したイラストが動画となり公共のスペースで流れるのだから、同倶楽部の活動がさらに活発になったのは言うまでもないだろう。
デジタルサイネージで公開されたコンテンツを対象としたコンテストでは、審査員特別賞を受賞。作品が家族や孫の間で話題となり、自宅でも PC と向き合う時間が増えたという。創作の楽しさを手中にしたばかりでなく、想像以上の反響を得て驚いている。

「作品を見て私たちの活動を知った札幌市民の方から寄付のご連絡があり、札幌市との繋がりを通して、この寄付を基に札幌市立大学に ICT 基金を設立することができたのです。このことをきっかけに、楽しいだけでなく、もっと社会に貢献していくことを考えていきたい、そう思うようになりました」
同じように作品がきっかけとなって、市民の女性から「はさみ泳いでる」という詩が持ち込まれ、その詩にあわせてデジタルサイネージの作品と同様の手法で絵本も制作した。

札幌駅前通の地下歩行空間「チカホ」にあるデジタルサイネージに展示されたメンバーのイラスト動画。作品の一部は「シニア ICT ちゃんねる」と題してインターネット上の動画サイトにも公開している。

さらに、札幌のシンガーソングライターが同名の歌を作曲。動画の BGM も提供してもらっている。ICT がきっかけとなったシニアたちの活動から新しいコミュニティが生まれようとしているのだ。
「みんな自分たちの経験を活かしてできることがあると自信を得ています。最近では、IT ファッションなど新しいチャレンジについて話し合っています」
PC の習得から創作が生まれ、シニアの地域での活躍がコミュニティを活性化し、社会貢献にまで視野が広がる。
高橋さん達の活力はパソコンというツールを手に入れたことで加速していく。

2011 年に札幌駅前通地下歩行空間がオープンし、それにあわせて札幌市様、Project SHINYO 様、日本マイクロソフトの 3 者で、地下歩行空間を使ったシニアの ICT 利活用促進の覚書を締結させていただきました。

パソコンを使われるシニアの方は増加していますが、仲間を作り行政とも協力しあうことで、活動の場が拡がり仲間が増え、より活動が楽しくなる、というとてもいい事例になったと思います。今後も、ICT を活用して人生をより豊かにされるための支援ができればと思います。

日本マイクロソフト
技術統括室 マネージャー
アクティブシニア
プログラム担当

大島 友子