ディスカッションしている織田 浩義さんと大西 隆 氏

ディスカッションしている織田 浩義さんと大西 隆 氏

第 1 章:企業と個人の双方にメリットをもたらすように、テレワークの質的向上を図る

 


織田 浩義 (以下、織田)

本日は、貴重なお時間をいただきありがとうございます。大西会長とお会いできて、非常に光栄です。大西 様は日本学術会議会長を務められているほかに、産官学連携によるテレワーク推進フォーラムの会長も務められています。

実は私は、日本マイクロソフトが全社で取り組むテレワーク プロジェクトの担当をしておりまして、本日のこの機会に、テレワークに関するご見識を拝聴させていただけることを楽しみにしてきました。

 

大西 隆 氏 (以下、大西 氏)

いえいえ、こちらこそご足労いただき、ありがとうございます。

 

織田

早速ですが、テレワーク推進フォーラムでは、2015 年 11 月に特別プロジェクトとして「テレワーク月間」を開催されると伺っています。このプロジェクトが実現するに至った背景などお伺いしたいのですが。​​​​​​​

 

大西 氏

テレワーク月間の目的はやはり、テレワークの普及・促進に向けて、より大きなムーブメントを起こすことになります。以前にも、「テレワークデイ」という取り組みもありましたが、今度は「月間」という規模で、さらに盛り上げていこうというねらいがあります。​​​​​​​

 

織田

世間の、「テレワーク」に対する認知度を高めるということですね。​​​​​​​

 

大西 氏

そうですね。国土交通省が毎年行っている調査結果を見ると、日本におけるテレワークの普及も、かなり進んできたという事実があります。ですからテレワーク月間においては、単に「認知度向上」を図るだけではなく、日本におけるテレワークの質的な向上を助けるために、さまざまな情報を提供していこうという狙いも含んでいます。​​​​​​​

どのくらいテレワーク導入が進んでいるかと言いますと、2010 年から 2012 年までテレワーク人口が右肩上がりに増え続け、2014 年度の調査結果では、「狭義のテレワーカー注 1」人口が、全国に約 1,070 万人。「在宅型テレワーカー」人口が、全国に約 550 万人となっています。

 

(参考リンク:「平成26年度 テレワーク人口実態調査-調査結果の概要-」国土交通省 (PDF) )

 

大西 氏の写真

大西 氏の写真

テレワーク人口のピークは 2012 年で、2013 年以降は減少傾向が続いているのですが、この理由をしっかりと分析して、次の施策に活かすことが重要です。

その参考データの 1 つとして、さきほどの調査回答者の「テレワーク時間の増減意向」というデータがあるのですが、「在宅型テレワーカー」は、「テレワーク時間を増やしたい」と回答する率が増えているのに対し (26%) と回答しているのに対し、「広義のテレワーカー注 2 (狭義以外)」は、「減らしたい・やめたい」と答える割合が増えているのです (17.3%)。

そして、「減らしたい・やめたい」と回答した理由として、もっとも多かったのが「労働時間が長くなってしまうから」という答えでした。

 

織田

なるほど。それはやはり、テレワークの実施方法、あるいはマネジメントの仕方に課題がありそうですね。

 

大西 氏

マネジメントは特に重要ですね。テレワークだから夜間でも働けるわけですが、だからと言って四六時中働くことわけにはいけません。時間を区切って、個人の生活を守る必要があります。​​​​​​​

テレワークの実施は、企業・組織にとっては「効率化」をもたらし、労働者個人には「ワーク ライフ バランスの改善」をもたらすものでなくてはいけません。企業・組織と個人が、お互いに Win – Win の環境を実現できることが、テレワークの重要なメリットです。

だからこそ、テレワーク月間においては、テレワークの量的な拡大を図るだけではなく、質的な向上に貢献することが重要だと考え、準備・検討を進めてきました。

 

織田

そうして、質と量の両方からテレワークが拡大していくことで、もっと大きな成果が生まれてくるとお考えでしょうか。今の日本には、たとえば「少子高齢化」や「地方創生」など、さまざまな課題がありますが、テレワークが、その解決に貢献することも可能だとお考えでしょうか。​​​​​​​​​​​​​​

ディスカッションしている織田 浩義さんと大西 隆 氏

ディスカッションしている織田 浩義さんと大西 隆 氏

大西 氏

そうですね、たとえば「雇用の創出」という観点では、活用事例が昔からあります。代表的な例は、「翻訳」など、個人のスキルを活かしつつ、場所を問わずに分業できる仕事です。

あるいはまた、主婦のネットワークを構築して、市場調査や商品調査を行うといったことも例として挙げられるでしょう。

このように全国に住んでいるさまざまなタイプの人を ICT で結びつけ、組織することで、地方の雇用創出も図れるでしょう。

 

さらに、「少子高齢化」について言えば、フルタイムで働くことが難しいシニア人材も、テレワークであれば働きやすくなります。

妊娠・出産を機に退職される女性たちにとっても、時間と場所に縛られないテレワーク活用によって、所得を得る機会が増えるのは、良い話なのではないでしょうか。

 

働くことも、人生の一部です。自分の生活を充足させながら、仕事を通じた社会との関わりを続けていける社会へと、日本が発展していくことが大切なのだと思います。

 

注 1: 国土交通省の調査では、週 8 時間以上、オフィス以外の場所で ICT を活用して業務している人を「狭義のテレワーカー」と定義

注 2: 同調査において、普段の仕事に ICT を活用し、自分のオフィス以外でも ICT を利用できる環境下で仕事を行っている人を「広義のテレワーカー」と定義

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