アメリカ政府の捜索令状に対する、マイクロソフトの異議申し立てについて


原文掲載日 : 2015 年 4 月 9 日
執筆者:ブラッド スミス - 最高法務責任者

 

昨晩 (2015 年 4 月 8 日) マイクロソフトは、アイルランドのデータセンターに保存されている顧客のメールを提出するようアメリカ政府から命じられたことに対し、法的に異議申し立てを行っている件で答弁書 (PDF)を提出しました。

 

マイクロソフトは、答弁書で表明しているとおり、本件において法律はプライバシーを支持するものと確信しています。

 

マイクロソフトは、2014 年 12 月の訴訟で多くの組織や個人 が法廷助言書 (Amicus brief) を提出したことを喜ばしく思いました。その中には、テクノロジーやメディアを代表する企業、コンピューター科学の専門家、ならびに大西洋両岸の何百万人もの会員を代表する同業者団体および擁護団体が含まれています。

 

またすでに述べたとおり、今回の訴訟には、クラウド コンピューティングの将来にとって重要で広範囲に影響を及ぼす政策課題が関係しています。

端的に言えば、今回の訴訟の内容は、インターネットのグローバルな性質を維持しながら、私たちがどのようにプライバシーを保護し、かつ政府がどのように人々の安全を維持しながら国家主権を尊重できるのかというものです。

 

政府と意見が合わない点もたくさんありますが、時代遅れのECPA (電子通信プライバシー法) などを現状に合わせる必要がある点については意見を同じくしています。

今回の訴訟で議論されている ECPA は、成立からすでに 30 年近く経過しています。情報技術時代において、これはあまりに長すぎます。

 

アメリカにおいてマイクロソフトは、EPCA の改正と、国際関係の改善を実現する最善の方法について重要な議論が行われると確信しており、また両者にとって重要な政策上の検討課題が存在すると確信しています。

法執行機関は、その職務を遂行する能力を備えると同時に、世界中の人々が持つ個人のプライバシーと国家主権を含む基本的権利を尊重しなければなりません。本訴訟では、法律を解釈し直すだけになる可能性もありますが、そうではなく私たちが望んでいるのは、改正を行うにあたり、アメリカ政府が、議会や他国の政府と連携することです。

 

今回の訴訟で政府が主張している見解よりも、解決への道は近いのです。

 

マイクロソフトは、今回の訴訟で政府が取り上げた課題に対処できる可能性のあるアイデアについて、すでに議会は検討を進めていると確信しています。

 

それを示す良い例の 1 つが超党派によって導入された、法執行機関によるアクセスに関する法律 = 「LEADS 法 (The Law Enforcement Access to Data Stored Abroad Act)」 です。

 

これは下院と上院の両方で導入されました。LEADS Act は、米国以外の市民や在住者を含め、あらゆるところで人々に強力なプライバシー保護を提供しつつ、法執行機関の要求に対する政府のいくつかの懸念に対応するものと考えられます。

 

さらに重要なのは、LEADS 法 は他国にとって模範となる手法を採り入れていることです。私たちに必要なのは、アメリカだけでなく、世界各国で同様に機能するモデルなのです。

 

刑事共助条約などの既存の法的合意は現代化しなければなりません。

こうした合意の下、米国政府を含む各国政府はすでに自国の外に保存されているデジタル情報を取得する仕組みを持っていますが、改善の余地はあります。

 

最終的には法規を維持し、かつ国境を越えて効果的に機能する広く受け入れられた改正ルールが必要です。
米国政府は、改正を行うために他国と連携し、その調査と訴訟に対して表明されている支持を合理化するにあたり、主導的な役割を果たすことができます。

 

また、こうした課題に対処するために可決される国内の新法は、他国の主権、基本的人権、およびすべてのユーザーのオンライン プライバシーを尊重する必要があり、一方的に制限なく情報へアクセスする権利を要求するような凶器であってはならないのです。

 

マイクロソフトは、ECPA (電子通信プライバシー法 : Electronic Communications Privacy Act) が改訂されるまで、裁判所は論拠のしっかりした判例に基づき、政府の影響力の及ぶ範囲が米国の国境を越えて拡大しないよう制限するべきだと考えています。

 

過去を振り返ると、クラウド コンピューティングの黎明期を迎えるずっと以前の 1986 年に同法規が制定されたとき、議会が捜索令状の影響範囲を地理的に拡大しようと計画した形跡はありません (この点について政府が異議を唱えていないことも同じく注目に値します)。

 

それどころか、議会の目的が実体のある書類や通信文書と同じ法的保護をデジタル情報について保証することであったのは明白であり、マイクロソフトが信条とする理念は維持されるはずです。

すでに述べたとおり、マイクロソフトは、皆様のデータは皆様のものであると考えています。

 

マイクロソフトは、引き続き 2015 年が解決に向けた年になる必要があると考えますし、解決への道は近いと信じています。

 

マイクロソフトは、議会とホワイトハウスがこのチャンスを逃さず法律を現代化し、国際的解決策を前進させるよう強く働きかけていきます。

 

→ Microsoft の答弁書 (PDF)はこちらからご確認いただけます(英文)

この記事は 2015 年 4 月 9 日に Microsoft On The Issues に投稿された記事 Our legal challenge to a US government search warrant の翻訳です。最新情報については、翻訳元の記事をご参照ください。