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AI で日本を変革: イノベーションの最前線に立つ企業 5 社 

※本ブログは、米国時間 5 月 8 日に公開された “Transforming Japan with AI: 5 companies from the front lines of innovation” の抄訳を基に掲載しています。 

この記事は、AI の活用による成果拡大を狙う世界各地のお客様に焦点を当てた、AI 世界ツアー シリーズの一環です。世界的な AI イノベーション (英語) により、責任ある AI を利用して社会的影響力を強め、ビジネスを変革しているお客様を紹介しています。ぜひご覧ください。 

AI は日本における変革を急速に加速させ、イノベーションの推進、新たな機会の創出、組織の可能性を見直すきっかけとなっています。製造、金融サービス、医療、IT といったさまざまな業界の企業で、効率性向上、サービス改善、競争力維持を目的として、AI を中核業務に組み込んでいる事例が見られます。同時に、政府機関や行政機関でもレベルを問わず、住民サービスの提供方法を刷新し、変化する社会のニーズに対応するために AI を活用しています。 

中でも最も刺激的な進展の 1 つが、AI エージェントの台頭です。AI エージェントとは、人間による最小限の入力で推論、応答、行動してくれる自律システムです。AI エージェントは将来の日本において中心的役割を果たす可能性を秘めています。たとえば通訳エージェントは、日本企業において長年課題となってきた言語の壁を乗り越え、積極的に自信を持って世界経済に参加するための助けとなる可能性があります。 
Microsoft AI でビジネスの未来を築く 

マイクロソフトはこの潮流に乗り、勢いを後押しできることを誇りに思います。当社が提供する AI ツール エコシステムやクラウド プラットフォーム、地域の強力なパートナーシップの拡大を通じて、マイクロソフトは日本が新時代をリードするために必要な支援をすることに力を注いでいます。それには、クラウド インフラストラクチャの拡張、サイバーセキュリティの強化、人材育成、研究の高度化を重視した、日本における過去最大規模の投資が含まれます。 

先日東京で開催した Microsoft AI Tour では、これらの実現がより現実味をおびたものとなりました。私はこのイベント中、数千人のビジネスリーダーや開発者と共に、AI の未来を探る機会に恵まれました。熱意と野心にあふれる皆様との取り組みから、ある事実が明確になりました。それは、日本がただ AI を取り入れ始めたというだけでなく、AI が日本の未来を形作り始めつつあるということです。 

A group of people sitting on a stage


日本航空、AI 搭載アプリの活用で機内報告業務を変革 

日本のフラッグシップ キャリアである日本航空株式会社 (JAL) は、客室乗務員による機内の報告業務を効率化する AI 搭載アプリ「JAL-AI」を開発しています。これまで医療的な緊急事態や遅延などの報告には最大 1 時間ほどかかることもありました。今回、マイクロソフトの小規模言語モデル Phi-4 を利用することで、客室乗務員がキーワードを入力して関連するオプションを選択するだけで、AIが詳細なレポートを生成できるようになりました。この機能はオフラインでも動作します。 

このツールの導入によって報告作業時間が最大で3分の2も短縮され、その分、お客さまに対応できる時間が増え、サービス品質の向上に貢献することが期待されています。JALは将来的には、客室乗務員による口頭での説明を書き起こし、それに基づいてレポートを自動生成できるような世界観を目指しています。 

このアプリは、2023年半ばから利用されているJAL-AI(JALで利用されている幅広い種類の生成AI)の 1つです。現在、JALグループの全従業員 36,500 名(2024年3月末時点)が Microsoft Azure OpenAI Service プラットフォーム上の JAL-AIで、メールの作成、文書の要約、翻訳といった業務に AIツールを活用することができます。JAL は、生成AIを業務と顧客サービスの変革の中核に据え、人とAIが連携してパフォーマンスを向上させていくことを目指しています。 
日本航空、新しい AI アプリで客室乗務員の機内業務報告を効率化 – マイクロソフトの小規模言語モデル Phi4 を活用  

住友商事、Microsoft 365 Copilot で生産性と業務効率を改善 

住友商事株式会社は、生産性向上、従業員支援、サステナブルな事業成長を促進するための戦略的取り組みの一環として、Microsoft 365 Copilot を全社的に導入しました。この取り組みは、住友商事が 2023 年 9 月に実施したマイクロソフトの早期アクセス プログラム (EAP) への参加を受けて実施されました。このプログラムでは、経営幹部と技術系従業員が日常の実際の場面で Copilot をテストし、特に大量の情報を取り扱う従業員から高い満足度が報告されました。 

その後、Copilot は同社の従業員と派遣社員を合わせた 8,800 名全員に導入され、ポスターや動画、セミナー、プロンプト テンプレートなど、あらゆるものを対象とする堅牢なチェンジ マネジメント戦略によってサポートされています。さらに、各戦略事業部門 (SBU) において、意欲的 (自発的) に手を挙げた Copilot チャンピオンが現場アドバイザーとして関与することで、従業員の自信を高め、その動きをさらに加速させています。住友商事は、生成 AI を生活に不可欠な電話や PC などのインフラストラクチャになぞらえ、従業員に早期に導入して最先端のアドバンテージを活用するよう推奨しています。 

従業員が日常的に使用している Microsoft 365 ツールに生成 AI を直接組み込むことで、時間のかかる反復的な作業を排除し、従業員全体の創造性と効率性を高めることを目指しました。それらの取り組みは既に目に見える効果を上げています。報告によると、効率性と生産性が向上したことにより年間 12 億円のコスト削減が達成され、同社のビジョンである「No.1 事業群」の実現にまた一歩近づきました。 
住友商事が日本企業で初めて Microsoft 365 Copilot をグローバルに全社導入 

Turing、Microsoft Azure で自動運転の実現を加速 

Turing 株式会社は、完全自動運転の実現を目指して、高度な AI モデルのトレーニング、開発、展開を加速させるために Microsoft Azure を活用しています。同社は Azure のスケーラブルなコンピューティング能力と堅牢なインフラストラクチャを活用して、複雑な AI ワークフローの効率化と開発時間の短縮を実現し、安全な自動運転技術の可能性を開拓しています。 

東京都教育委員会、生徒向けの AI ハッカソンを開催 

東京都立小石川中等教育学校は、東京都教育委員会が主催する、公立の中学校および高校の生徒を対象としたハッカソンに参加しました。このハッカソンは、Microsoft CopilotPower PlatformAzure Open AI をハンズオンで体験してデジタル スキルを学ぶことを主な目的としたもので、生徒たちはこれらのツールを活用して AI とローコード技術を実践的な環境に適用し、独自のプロジェクトの企画から完成まで完了させました。 

すべての参加チームがプロジェクトを無事に完了し、完遂率は 100% となりました。この成果は、生成 AI と利用しやすい開発プラットフォームを教育に取り込む有効性を示しています。生徒が実際のツールを使用して、構想から実際の実行までを経験することが可能です。 
日本の経済成長を AI で加速する 

アイシン、AI 搭載音声文字起こしツールでアクセシビリティを向上  

自動車部品企業として知られるアイシン株式会社は、まったく耳が聞こえないまたは聴覚に障碍を持つ方に向けて、音声をリアルタイムでテキスト化する AI 搭載アプリ「YYSystem」の開発をさらに進化させています。生成 AI や翻訳サービスといった Microsoft Azure の AI ツールを基盤とするこのシステムでは、高精度な文字起こし、要約、翻訳が可能です。 

この機能は当初、新型コロナウイルス感染症の流行中に従業員のコミュニケーションを支援するために開発されましたが、まったく耳が聞こえないまたは聴覚に障碍を持つ従業員にとって、特に有用であることが示されました。聴覚障碍者に特徴的な話し方を認識して文字に起こすことができるため、多くのユーザーに新たなつながりやインクルージョンをもたらす画期的な機能となります。 

この成果によりアイシンは、官公庁や小売店舗にも導入することでコミュニケーションのインクルージョンを推進し、この技術をより広く一般に普及させようとしています。 
日本のアイシン株式会社が生成 AI を活用して、聞き取りに困難のある人々を支援

日本のすべての人々に AI を 

日本における AI の恩恵は、テクノロジ分野にとどまらず、あらゆる個人、あらゆる企業、あらゆるコミュニティにおける機会の創出にまで広がります。AI は、学校の教室、公共機関、企業のオフィスなどで、既に私たちの働き方、学び方、サービス提供の仕方を変革しつつあります。そして、その勢いはますます増しています。 

日本マイクロソフトは、この変革をよりインクルーシブかつ広範に展開していくことに深く取り組んでいきます。その実現のために、インフラストラクチャだけでなく人材にも投資をしています。2024 年後半に開設されたマイクロソフト リサーチ アジア東京 (英語) は、日本独自のニーズと展望に合致した、Embodied AI、Societal AI、ニューロサイエンスといった分野の先端研究の拠点となり、この取り組みの重要な一歩となります。 

A large hall with people in it

東京で開催された Microsoft AI Tour では CyberSmart AI も発表しました。これは AI 搭載のサイバーセキュリティ ツールを中小企業に提供する新たな取り組みで、対象となる組織には無料でご利用いただけます。また、AI スキル ナビゲーターの手により、2027 年までに日本で 300 万人が AI を使いこなせるように支援するという野心的な目標を設定しました。 

これらに加え、クラウドおよび AI インフラストラクチャへの 29 億ドルの投資、開発者向けワークショップの拡充、特定分野のエキスパート (SME) に向けた AI セミナー、女性技術者プログラム、国連大学との提携による新たなマイクロ ディグリー プログラムといった取り組みが、マイクロソフトと日本との長期的なパートナーシップを表しています。 
当社のビジョンは明確です。マイクロソフトは、日本でただ強力な AI を利用できるようになるだけでなく、すべての人を手助けする存在となることを目指しています。 


AI への取り組みをサポートする関連資料 

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