【ガバメントクラウド利用対象法人・団体様向け】 ガバメントクラウド 活用戦略セミナー 〜法改正を活かす!ガバメントクラウドの未来戦略〜
2025 年 4 月 10 日に、品川の日本マイクロソフト本社にて「ガバメントクラウド 活用戦略セミナー」が開催され、オンライン、オフライン合わせて 200 名ほどの参加者が、ガバメントクラウドの現在地について熱心に耳を傾けました。
日本マイクロソフトは、2022 年度に政府共通のクラウド基盤ガバメントクラウドのクラウドサービス提供事業者に認定され、Microsoft Azure を提供しています。冒頭挨拶に立った日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 パブリックセンター事業本部 官公庁本部長の桑原達也は、「活動を進めるなかで皆さまにご紹介できる事例や Azure の特徴、活用方法などがナレッジとして蓄積されてきました」と述べ、本セミナーの意義を強調。最初の登壇者として、日本マイクロソフト株式会社 執行役員 常務 クラウド & AI ソリューション事業本部長の岡嵜禎を紹介しました。
「Microsoftの AI 戦略とクラウドで加速する DX」
日本マイクロソフト株式会社
執行役員 常務 クラウド & AI ソリューション事業本部長
岡嵜 禎

岡嵜からは、最新の生成 AI に関する情報共有とガバメントクラウドでの利用可能性について、デモを交えた講演がおこなわれました。
まず岡嵜は、生成 AI が画期的と評される理由について「自然言語」「推論エンジン」のふたつのキーワードを挙げました。生成 AI の登場によって、30 年近く変わらなかった GUI(Graphical User Interface)が大きく変わろうとしており、領域によっては人間がおこなうのと遜色ないパフォーマンスを実行できるようになっている、と岡嵜。このような変革の時代において、生成 AI に関わる領域のサービスでマイクロソフトが最大のシェアを占めており、生成 AI のユースケースの 6 割以上でマイクロソフトの生成 AI サービスが利用されていることを、数字を示して説明しました。
続いて岡嵜は、生成 AI の進化を示す 3 つのキートレンドを提示しました。
1. 試行からビジネス活用のフェーズへ移行
2023 年が生成 AI の試行錯誤の年だったのに対し、2024 年は本番で活用する動きが始まり、2025 年はその流れが加速、官公庁でも同じペースで進んでいくはず。
2. エージェント化の加速
最近よく聞かれるようになった AI エージェントとは「より人間らしい、人に近い形の対応をお願いできる」ツールであり、特に自律性がキーワードになる。
3. マルチモーダル、マルチモデルによる革新
これからは自然言語だけでなく、音声、画像、映像などをインプット・アウトプットで活用することで、生成 AI にはより大きな可能性が期待される。
そして、これらのキートレンドから岡嵜は「エージェント化の加速」をピックアップし、AI エージェント活用の局面においてマイクロソフトが提供する 3 種類のエージェントを紹介しました。
それは汎用的なビルトイン型エージェント、他社が提供するエージェントと連携可能なサードパーティ型エージェント、そして顧客のニーズに合わせて開発可能なカスタマイズ型エージェントです。

なかでもカスタマイズ型エージェントは、コード開発未経験者でもローコード・ノーコードで開発できる「Microsoft Copilot Studio」と、より複雑な開発が可能な「Azure AI Foundry」が用意されており、「顧客の状況に合わせた AI ツールチェーンが提供できる」と、岡嵜はマイクロソフトのラインナップの充実度をアピールしました。
ガバメントクラウドでも活用可能な AI エージェント
ここで岡嵜は、AI エージェント活用の可能性を示すユースケースとして、財務担当の一員として財務諸表のレビューをする財務専門 AI エージェントと、新入社員受け入れ準備をする AI エージェントのデモを紹介。
さらに実際のユースケースとして、民間企業のお客様の事例を紹介しました。これは、製造現場での問題に対して、複数の専門エージェントが連携して回答するシステムで、すでに現場での活用が始まっています。岡嵜は成功のポイントとして、このシステムはお客様がもともと有していた問題解決フローを AI エージェントに置き換えたものであるため、企業文化として受け入れられやすかった点を挙げました。
また、官公庁内でのいくつかのを紹介し「ガバメントクラウド上で AI エージェントを活用する取り組みがすでに始まっているので、ぜひ参考にしてほしい」と岡嵜は述べました。
最後に岡嵜は、マイクロソフトが提供する価値について、生成 AI を活用したアプリケーションをつくるためのソリューションを幅広く提供していること、OpenAI の言語モデルが動く唯一のクラウドでありながら、他のさまざまな言語モデルも組み合わせられること、そして安心・安全に活用するための仕組みを提供し、法務的なサポートにもコミットしていることを強調して、セッションを終了しました。
「公共情報システムでのガバメントクラウド利用について」
デジタル庁
Chier Cloud Officer
山本 教仁 氏

山本氏はまず、ガバメントクラウドの概要を解説しました。ガバメントクラウドとは、技術要件を満たした民間クラウドとモダンな IT ガバナンス機能を組み合わせた共通クラウドサービス利用環境であり、国や地方公共団体だけでなく、独立行政法人や一部の民間事業者も利用できます。
クラウド事業者のサービスを利用者が自由に選択して使用できる点がガバメントクラウドの大きな特徴、と山本氏。それらのクラウドが持つメリットを最大限活用するために、デジタル庁では「なるべくそのまま利用できる」方針を打ち出していると説明しました。
その方針を担保するために、デジタル庁では厳格なガバナンスを設定しています。まずマイナンバーカード等を使った厳格な本人確認を入り口として、その上で予防的統制と発見的統制を実施。特に発見的統制に力を入れており、問題があればすぐに気づけるような仕組みを構築しています。

管理者は GCAS(ガバメントクラウド支援サービス)を使って環境の作成・削除をしたあとは、選定したクラウドの機能を利用しながら自由にシステムを構築・運用することができます。
山本氏は、ガバメントクラウドは一人ひとりのニーズに合ったサービスや機能の提供を目的とした基盤であり、そのために接続性の確保やセキュリティ対策、コストと負荷の軽減、そしてナレッジの共有といった施策を展開していると、デジタル庁の取り組みを紹介しました。
法改正によって民間事業者もガバメントクラウドを利用可能に
2025 年 3 月に施行された法律改正により、公共情報システムを提供する民間事業者であれば、SaaS などの形でガバメントクラウドを利用することが可能になりました。山本氏は「ぜひ積極的にクラウドを使って、国民の皆さまにより便利なサービスをつくっていただきたい」と会場に呼びかけ、ガバメントクラウドを利用する 5 つのメリットを紹介しました。
1. クラウドの最新技術やベスト プラクティスをそのまま利用可能
生成 AI などの最新技術を、安全に使える環境が提供される。
2. 公共情報システムの基盤に求められるガバナンスが整備済み
デジタル庁が選定した事業者のクラウドを安全に利用できる。
3. 事務負担や構築負担の軽減・コストメリット
ルール設定や調達などの業務を低減し、ボリュームメリットでコストも減らせる。
4. ガバメントクラウドを活用する付加サービスの利用
まもなく、クラウド間をつなぐマルチ・クラウド・ネットワークやモダンな開発環境を利用できるようになる。
5. ノウハウや事例の共有
今後、成功したユースケースなどの情報を収集・整理して共有する予定。
コストや業務負担を減らしながら、常に生成 AI などの最新技術や最新の開発環境を利用できるというメリットに加えて、今後もより便利に使える機能が追加されていく予定、と山本氏。「削減されたコストや工数を、国民向けのサービス開発や事業者様の開発・運用に充てていただくことで、さらなる価値を創出することが可能です」と、利用価値を強調しました。

最後に山本氏は、「ガバメントクラウドの利用を始めていただいた皆さまには、ぜひモダンにシステムをつくっていただきたい」とリクエスト。国や省庁ではモダン開発が必須とされており、地方自治体でも将来的に求めていくことになっています。山本氏は「コスト削減や多様なサービスの利用、組織をまたがった連携などのためには、閉じたシステムではなく安全に開かれたシステムが必要」とモダン化の必要性を訴えて、セッションを終了しました。
「ガバメントクラウドにおける Microsoft Azure 概要と特徴」
日本マイクロソフト株式会社
パブリックセクター事業本部 技術戦略本部 CCoE
公森 義貴

続いてのセッションでは、日本マイクロソフトの公森から、ガバメントクラウドにおける Microsoft Azure のサービス内容や日本マイクロソフトのサポートについての講演がおこなわれました。
ガバメントクラウドの最大のメリットは、事前に設定された統制やセキュリティ対策が整っていること、と公森。通常、パブリッククラウドを使い始める際に必要とされる統制や管理の設定は必要なく、日本以外のデータセンターへのデプロイを制限する機能や、ログの適切な取得・保持を確保するガードレールなどがデフォルトで設けられているため、手間をかけず安全に使い始められるのです。

併用でもネットワークにつなげられる柔軟性を強調しました。
続いて公森は、ガバメントクラウドにおけるマイクロソフトのサポート サービスについて解説をしました。
デジタル庁とマイクロソフトの間でサポート契約が交わされているため、ガバメントクラウドの利用組織は別途サポートサービスを契約する必要がありません。さらに、利用組織がサポートサービスを利用する際にデジタル庁を介す必要もなく、直接やり取りができる点も大きなメリットとなります。
マイクロソフトの強固なセキュリティ対策と幅広いサービス
ここからは、ガバメントクラウドに関連するマイクロソフトのサービス ラインナップの紹介がおこなわれました。
マイクロソフトは、SaaS からオンプレミスの製品まで幅広いサービスを提供しており、ユーザーは、ガバメントクラウドにとどまらない幅広いサービスを利用可能です。またセキュリティに関しても、マイクロソフトが受け取る一日あたり 80 兆シグナルの脅威に対して、エキスパートが 3 万 5000 人体制で対応していることが紹介されました。
「マイクロソフトのセキュリティ対策は日々進化しています。もちろん Azure のセキュリティもそこに含まれています」と、公森はガバメントクラウド使用時の安全性についても太鼓判を押しました。

そして、マイクロソフトのほぼすべての製品には AI 機能が組み込まれており、それらはガバメントクラウドでも利用可能です。一方で公森は、マイクロソフトが「責任ある AI」の取り組みも重視していることを強調しました。
「AI は非常に強力な能力を持っている一方で、適切に管理されない場合、他者に対して重大な影響を及ぼす可能性があります」と公森。マイクロソフトでは厳格なフレームワークに基づいて AI 製品を開発・提供していると語り、AI 利用時のフィルタリングや不正利用監視などの取り組みについても紹介。ガバメントクラウドで AI サービスを開発する際には、有害コンテンツ検出サービス「Azure AI Content Safety」を利用できることもアピールしました。
さらに、適切な利用の範囲内であれば、生成 AI による生成物において著作権侵害の疑いへの対応といった問題が生じた場合に、マイクロソフトがコミットする「Customer Copyright Commitment」についても解説がおこなわれました。
公森は最後に「マイクロソフトは間口が広く、対応できる範囲も広いので、ぜひご相談いただきたい」と呼びかけて、セッションを締めくくりました。
この後、日本マイクロソフトのパートナー企業であるキャップジェミニ株式会社 C & CA CTOの高安 厚思氏による公演がおこなわれました。
「国土交通省様 不動産情報ライブラリでのガバメントクラウド活用事例」
キャップジェミニ株式会社
C&CA CTO
高安 厚思氏

高安氏は、同社が国土交通省から受注、協働してガバメントクラウド上で開発したシステムのユースケースを紹介し、より具体的なガバメントクラウド活用についての知見を共有しました。さらに、同社が提供する「ガバメントクラウド移行簡易アセスメントサービス」について説明しました。同サービスは、業務フローや要件定義書の調査、ヒアリングを通じて、クラウド移行の適合性を評価します。具体的には、クラウドサービス利用の可否、アプリケーション基盤の必要性、セキュリティ対策の提案などを含みます。結果報告では、システム構成の提案と見積もりを提供し、クラウド移行の計画を支援するもので、実現性について見解を得たいお客さまに最適なサービスであると紹介しました。

ガバメントクラウドの仕組みから今後の展開、そして具体的な活用方法まで、本セミナーに参加された方々は多くの有益な情報を得られたのではないでしょうか。主催の日本マイクロソフトとしても、より一層サービスに磨きをかけて、皆さまのご支援を続けてまいります。