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【インタビュー】Microsoft Azureの導入実績から見る自治体・医療の現場でも選ばれる理由

※ この記事は 2017年05月18日に DX LEADERS に掲載されたものです。

業務システムの導入・リプレイスにおいて「クラウド化」は検討のテーブルに一度は上がることだろう。どのような検討ポイントと、メリット・デメリットが存在するのか。Microsoft Azure(以下Azure)の導入実績を多数持つ、株式会社インテリジェンス ビジネスソリューションズ (7月よりパーソルプロセス&テクノロジー株式会社へ社名変更)のシステムソリューション事業部 サービスイノベーション統括部の萬濃 忠氏、小田島 哲也氏に話を伺った。

コストダウン、災害対策、導入スピードの早さがクラウドの特徴

「導入のきっかけとして多いのは、お客様の社内のサーバやハードウェアの更改のタイミングが多いでしょうか。これまでは物理で新しいハードウェアを購入してリプレイスすることが多かったのですが、最近はクラウドにリプレイスすることが多くなりました。」(萬濃氏)

クラウドを導入する理由は大きく3点あるといえる。

1点目は、コスト。夜間休日も含む故障時の対応のコスト、物理サーバを購入した場合の置き場所・電源・空調工事の運用コストを下げるという点が大きい。クラウドに移行することにより、情報システム部門が運用ではなく、社内のIT戦略など上流の仕事に従事することも期待できる。

2点目は、東日本大震災を受けてのDR(Disaster Recovery)対策もポイントだ。

「災害などがあっても大事なデータが消えないよう、ビジネスが止まらないように、データを安全なところに置いておく必要があります。これもオンプレミスで行うとなると東日本に拠点があるとしたら、西日本にもデータセンターを借りることになり、コストがかかります。」(萬濃氏)

その点、Azureの場合は、関東近郊と西日本にデータセンターを持っているため、バックアップをおくこともできる。データセンターの距離は500マイル以上離れているため、地震などの災害時にも強い。

3点目は、導入スピードの早さ。2016年3月、総務省が”自治体情報セキュリティ強化対策事業”を立ち上げ、2017年7月までにインターネット閲覧環境を業務システム系とインターネット接続系とに分離するなどの対策を求めている。しかし、準備期間も短いため、ネットワーク工事やパソコンの台数を増やすなど物理的に対策をしていては間に合わない可能性もある。そこで、いくつかの自治体は、Azureなどのクラウド環境を用意し、総務省の要求を満たそうとしている。

「Azure上にPCデスクトップ環境を構築し、インターネットの情報はAzure上で見る。自分のパソコンにデータを落とすことができないので、万が一怪しいファイルをダウンロードしてしまったとしても、庁舎内のネットワークには入らず被害の拡大を防ぐことができます。」(萬濃氏)

上記は、働き方改革を受けてテレワークを推進したい企業に対しても効果を発揮する。社内のAzure上にデスクトップの環境を構築し、テレワークで作業をする従業員は仮想環境などからアクセスすることで、安全に作業ができるようになる。

パーソルプロセス&テクノロジー株式会社 萬濃 忠氏、小田島 哲也氏

Azureの利点1―DR対策とセキュリティ面から

クラウドを検討する立場として気になることは、どのクラウド製品を使用するのが良いか、というところだろう。その点はどうだろうか。小田島氏は以下のように語る。

「Azureの利点としてはWindowsの製品との親和性が高いというところでしょうか。他にも、先ほど触れたデータセンターの場所ですね。他の大手クラウド事業者の場合、DR対策が十分取れた国内のデータセンターがなく、バックアップ先が海外になる可能性もあります。その場合、データを国外に出したくない事業者様は悩まれる点になります。また、Azureの場合は円立ての請求となるため為替レートの影響も受けづらいです。」(小田島氏)

また、クラウドは社外にデータを置くため、セキュリティについても懸念材料となる。

「Azureの場合クラウドセキュリティ推進協議会が認定するクラウドセキュリティゴールドマークを取得しています。」(小田島氏)

クラウドセキュリティゴールドマークとは、クラウドセキュリティ推進協議会が定める自主監査の要件をクリアし、かつクラウド情報セキュリティ外部監査人により、外部評価手続に従って自主監査の品質が評価されたときに与えられる認証のことである。ゴールドマークを取得している企業は日本マイクロソフトとNTT東日本の2社のみである。

クラウドは社外に重要なデータを預けるから不安という顧客の声も多かったそうだが、最近ではお金を自宅の金庫に保管するよりも銀行に預けたほうが安心、という考えから、クラウド運用に積極的な事業者も多くなっているようだ。

Azureの利点2―小さく始め、やめやすい

Azureを導入したことにより、業務においてどのような効果があるのだろうか。同社が手掛けた導入事例で一例を出していただいた。

「国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)の事例です。ここでは、新薬の開発のため製薬会社が治験を依頼し、新薬投与結果のカルテなどを製薬会社の社員が確認する業務があります。ただ、カルテは病院の外に持ち出すことができません。製薬会社の社員は、病院まで行って、カルテのデータを見せてもらう。このカルテも決められた部屋の中で、医師立会いの下でしか見ることができないため、コストがかかっていました。そこで、Azureを使って、安全に外からカルテを閲覧できる環境を作ることで、製薬会社が病院まで出向かなくてもオフィスの専用端末からカルテを閲覧できるようになった。それにより、新薬開発のコストも抑えられるようになりました。」(萬濃氏)

病院側も、製薬会社との調整や医師立会いの調整もしなくてもよくなり、業務を削減できた。また、カルテのデータは海外からも確認できるようになったため、新薬の開発をグローバルにできる下地を作ることができた。

「製薬会社は、暗号化済みのUSBをパソコンに挿し、Azureのデスクトップ環境に入る。ログインする際は、携帯にショートメッセージや、電話をして本人確認をするため、多重での認証が可能です。」(萬濃氏)

このシステムは夜間シャットダウンするようになっている。AzureのIaaS環境はシャットダウンすると課金が止まるようになっているため、利用者が少ない夜間をシャットダウンしている。

「使わないときにシャットダウンできる、というのもクラウドの利点です。クラウドは必要なかったら、シャットダウンすればコストも掛かりません。また、やめようと思ったときにはデータをすぐ消すことができます。」(萬濃氏)

物理のハードウェアはリース期限まで持ち続ける必要がある。不要になったときもデータ自体はすぐに消えるが、ハードウェアの環境はすぐには消せないため、負の遺産が残る可能性がある。

その点クラウドは、実運用が叶わなかった際もストップしてデータを消すだけで、やめやすい。逆に、想定以上に利用が伸びた場合は物理のハードウェアを増設するよりも簡単に稼働台数を増やすこともできるのだ。

「何を使うか」ではなく「何のために使うか」目的を検討して最適なソリューションを

「クラウドを導入することで、ビジネスのスピードが上がるというのは大きいポイントです。また、Azureの場合は、新技術への対応も早い。IoTやAIなどにも対応しているので、新技術に踏み込みやすいのではないでしょうか。」(萬濃氏)

ただ、一点注意すべき点は、物理のハードウェアとAzureの価格で比較をしたときに、規模によってはクラウドのコストが安いとは限らない。冒頭でも触れた運用コストをはじめとしたヒトのコストや、セキュリティの懸念点などを総括的に見たうえで、判断をする必要がある。また、新しく始める取り組みであれば、オンプレミスで構築するより、クラウドで構築する方が小さく始めることもできる。

そして、最も重要なことは、”何を(どのクラウド製品にするかorオンプレミス)使うか”ではなく、”何のために使うか”を検討したうえで選定することである。クラウドにもオンプレミスにもそれぞれ利点があるため、業務によって使い分けるなど最適化を行うことでより業務がスピーディに効率的に進むことが期待できるといえよう。

「今後の展望としては、クラウドはインターネットでつながっているので、オフィスにいなくても遠方の人と一緒に仕事をすることもできるはずです。何らかの事情をお持ちで、自宅で仕事せざるを得ない人とも一緒に仕事ができ、場所にとらわれずにビジネスができるようになります。」(萬濃氏)

クラウドの進化により、オフィスにいないとできない、ということも減ってきた。働く人は、インターネットさえつながっていれば、どこでも仕事ができる。働き方改革は、誰でも働ける、どこにいても働ける、生産性を向上することなどを推奨している。クラウドは、これらを満たすためにも必要なツールであるといえよう。

取材・文:池田 優里

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